悪魔の詩(あくまのうた、あくまのし 原題はThe satanic verses)とは、インド系イギリス人サルマン・ラシュディの小説である。1988年発表。日本では1990年に翻訳。ブッカー賞ノミネート作品。
その内容からイスラム教徒を中心として世界各地で出版禁止・検閲強化を求めるデモが大規模な形で行われ、イギリスでは同国で類をみない8000人規模の教徒がデモに参加したと伝えられる等、世界的な問題作として広く知られている。
インド系イギリス人サルマン・ラシュディの書いた小説で、出版の際に内容が反イスラム的であるとされる。
この題名からしてコーランの無明時代の三柱の女神について書かれた節に由来しているほか、ムハンマドの12人の妻の名前と同じ売春婦が作中登場するなど、話のあらすじ自体はイスラム云々いう話でこそないものの、各所に反イスラム的な要素が盛り込まれており、世界中のムスリムの反発をよんだ。
前述の反イスラム的な記述から、イランのホメイニ師からファトワー(イスラム法に基づく勧告、法解釈)に基づく死刑宣告が出版関係者に対してなされ、イランがイギリスに対して国交断絶をするなどの影響が出たほか、トルコ語翻訳者の集会が襲撃され37人が殺害されたほか、出版関係者が襲撃されイタリアやトルコでは死傷者が出るなどの襲撃事件にまで発展。イタリアやノルウェーの翻訳者も襲撃されけがを負った。
なお、ファトワーを取り消せるのはそれを発した本人のみであるが、ホメイニ師が死んだことで誰も死刑宣告が取り消せなくなってしまった。
(もっとも、1998年に時のイラン大統領ハタミ氏はこうした動きに反対し、今後一切関与しないと公式発表している。このことなどから、「反『悪魔の詩』運動」は一概に足並みのそろった表現規制運動とは言いがたい、といった事情もあるようである)
このように、たった一冊の小説からテロやら国交断絶やらの大騒動になったことや、宗教や信仰のためなら人間はいくらでも残虐になり得るということを示す事件として知られている。
この小説を日本語に翻訳した五十嵐一教授も1991年に殺害され、未解決事件となっている。
1989年に、出版会見でパキスタン人の男に襲撃されるなどその予兆はあったのだが、2年後の1991年7月11日に筑波大学のキャンパス内で殺害され翌日発見された。その殺し方はイスラム圏によくある殺害方法で、犯人が捕まらないまま2006年に時効を迎えている。
原作者のサルマン・ラシュディは2022年、ニューヨークへ渡米していた際に、自身も同一派に襲撃された。
この事件については容疑者が逮捕され、2025年5月には拘禁25年の地裁判決が下された。
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最終更新:2026/10/18(日) 05:00
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