有理数とは整数たかだか二つの組によって得られる数の体系で、いわゆる分数の全体である。
古代で知られていたのはもちろん自然数ベースの比のことであって、負の数は含まれていない。現代的観点ではとりたてて分ける必要もないので整数ベースの比のことをいう。
2つの整数nとmを考えたとき、1をn倍したあと、mで割ることで求められる数を有理数という。(もちろんこの場合のmは0でない整数とする)
言い替えると、この方法で求めることのできない数は有理数ではない。無理数という。
古代人類にとって数とはまず自然数であったわけだが、実世界との対応、分けても長さとの対応を考える上で、ある長さの半分、半分の半分、半分の半分のそのまた半分……といったような無限の分割手続きはすぐに見いだされたはずである。いかにもその辺の子供が言いそうだし。
分割はもちろん半分に限った事ではなく、3分の1、4分の1……まあこんな風にして抽象化が進んだ結果「整数二つの比」すなわち有理数の概念へと人類は到達した。しかもこの体系内でいくらでも小さな数を生み出せるわけだから、有理数があれば宇宙の全てを記述できると考えたのも当然である。
よもや直角二等辺三角形という単純な図形が調和を破壊しようとは誰が予想しえたであろう……。
剰余の考えに基づく人工的な有限体や、それを含む体を別にすれば、四則演算フリーの最小構造である。どのような体もそのうちには必ず有理数体を含み、また有理数構造を完全に一致させる事なく体同士の対応を作る事も出来ない。四則演算体系の基本的骨格を与えているのが有理数といえるだろう。
数直線上で区間をとると、どの位置でどんなに狭い区間をとっても、その区間内に必ず有理数が存在する。専門用語を使うと、有理数は実数の中で稠密であると言う。これは無理数でも成り立つことだが、「実数はほとんどすべて無理数である」という事実から、稠密性を有理数の重要な特徴と捉えることができる。
まさかの無理数発見で破綻した有理数の世界であるが、それはあくまで数学概念上の話である。「コンピュータは0と1で動いている」という言葉があるように、世界のほとんどのことは有理数があれば間に合ってしまう。というより「無理数など存在しねぇ!」という過激な立場をとる数学者だっているのである(有名なのはクロネッカー)。そういう意味では古代人の夢見た有理数的調和の宇宙観は今でも健在なのかも知れない。
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6 ななしのよっしん
2013/02/09(土) 02:09:08 ID: SN/BJTRBOu
有理数いまむかしのところに書かれてある、
「世界のほとんどのことは有理数があれば間に合ってしまう」ってのは
少し違和感。
あれは間に合うって言うより、有限小数で扱わざるを得ないんでは。
この世の数値は誤差を含んでるからね。
それとも、この世は素粒子でできてるから、
有理数だけで間に合うって意味なんだろうか。
7 ななしのよっしん
2016/01/31(日) 00:57:46 ID: ewGZi8PydU
>>6
そこは微妙なところだと思うなー
自分としては「自然界に無限小は存在しない」という事だと思う。
但し、じゃあ現実世界を理解するための理論に無理数(実数論)が
不要かと言うと違うのではとも思うんだよね。
8 ななしのよっしん
2017/09/24(日) 08:48:05 ID: +D216cz3ld
要は分数に出来るか出来ないかってことか
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最終更新:2025/12/16(火) 07:00
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