SCP-210-FR 単語


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ウサギ

1.6千文字の記事

SCP-210-FRとは、シェアード・ワールドSCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)……ではなくウサギである。

名は『Un Lapin (ウサギ)』。

概要

SCP-210-FRはウサギである。特別収容プロトコル?いいえ、それはウサギである。

……ふざけているのではない。本当に、元の報告書にはこう書いてあるのだ。ではこれはわけわからないオb……ウサギ止まりなのだろうか。いいや、ちゃんと旧説明なるものが折りたたまれている。以下、その旧説明を見ていこう。

SCP-210-FRは体長38cm、体重2.1kgのウォーレンという名の黒ウサギで、毛皮は12mmの厚さであり、1日に350gのハーブ野菜を消費する。なるほど、ふつうのウサギである。

SCP-210-FRは体長14.9インチ、体重4.6ポンドの消炭色のアナウサギ(Oryctolagus cuniculus)である。視野は240°(頭の回転を含めると360°)であり、最高速度40km/hで走ることが可の大きさは7cm。まだふつうのウサギでしかない。というか、38cmは14.9インチだし、2.1kgは4.6ポンド、と消炭色といい、同じことを言い直してないか?

SCP-210-FRは質量と体重を持ち、000000の毛色をした毛皮を持つウサギの雌個体。嗅膜は8億個の受容体から構成され、触毛は均82mm。鼓動は毎分180回行われている。……だから同じことだって!000000なんて色コード出してくるまで同じことを言わなくても……。

このあとも、SCP-210-FRが脊椎動物であり、がどうたらこうたらと、ふつうのウサギの説明が続く。しかし6パラグラフで唐突に、「この生物120℃以上の温度に耐えることができません。」と不穏なコメントが入る。

そして7パラグラフで、なんとSCP-210-FRは情がこもった特製シチューであると説明される。料理されてしまった。3種のネギシャラント産ブランデー、ヨーロッパブドウジュースで漬け込んだSCP-210-FRのシチューはおいしいらしい。SCP-210-FRは幸せであるという。SCP-210-FRは慈悲深く、彼女は私であり、他人であり、なんでもないがゆえにすべてである。彼女は犠牲となり、味のない人生から救い、他者が必要とするときは地に還る。SCP-210-FRはもうない。SCP-210-FRはある。

そして研究主任博士不幸にも心不全でなくなった。次の研究主任は報告書を全面改訂することがめられている。SCP-210-FRは前研究主任の自宅のテーブルの上で発見された。脱走することもなかった。


何を言っているかわからないという人も多いだろう。このウサギは「その人にこのウサギについて詳しく知りたいと思わせ、このウサギへの信仰心を湧き起こさせ、やがては取り込ませたいとまで思わせる」という精神を与える、ふつうのウサギなのである。

ゆえに報告書前半はウサギならあたりまえのことを延々と述べられており、後半でウサギシチューになって消費され、その後それを消費した博士に召され、ウサギ再生したのである。そして次の研究主任もまた、同じ文章で報告書を書き始めている。おそらく、次の研究主任もこのウサギ再生ループに巻き込まれ、ウサギをとにかく調べ、信仰し、何らかの形でウサギを食べて亡くなるのだろう。

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最終更新:2025/12/18(木) 17:00

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