日本推理作家協会賞 単語

ニホンスイリサッカキョウカイショウ

3.5千文字の記事
これはリビジョン 3012706 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

日本推理作家協会賞とは、日本推理作家協会が主催する推理小説の賞。

第75回(2022年)候補作

選考会:2022/4/25(月)

長編および連作短編集部門

  • 芦辺拓『大鞠家殺人事件』(東京創元社)
  • 川瀬七緒『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』(講談社)
  • 首藤瓜於『ブックキーパー 脳男』(講談社)
  • 辻堂ゆめ『トリカゴ』(東京創元社)
  • 三津田信三『忌名の如き贄るもの』(講談社)

短編部門

  • 逸木裕「スケーターズ・ワルツ」(『小説 野性時代』2月号)
  • 大山誠一郎「時計屋探偵と二律背反のアリバイ」(Webジェイノベル 2021/10/12配信)
  • 杉山幌「光を描く」(『ミステリーズ!Vol.105』)
  • 大門剛明「手綱を引く」(『オール讀物』12月号)
  • 笛吹太郎「コージーボーイズ、あるいは謎の喪中はがき」(『コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎』書き下ろし)

評論・研究部門

  • 浅羽通明『星新一の思想 予見・冷笑・賢慮のひと』(筑摩書房)
  • 遠藤正敬『犬神家の戸籍 「血」と「家」の近代日本』(青土社)
  • 小森収『短編ミステリの二百年』全6巻(創元推理文庫)
  • 鈴木優作『探偵小説と〈狂気〉』(国書刊行会)

概要

1947年に江戸川乱歩が探偵作家クラブを設立するとともに、探偵作家クラブ賞として1948年に開始。1955年から日本探偵作家クラブ賞、1963年から現在の日本推理作家協会賞という名前になった。

70年以上続いており、現存するミステリー関係の文学賞では最も歴史ある賞である。第1回長編賞受賞作は横溝正史『本陣殺人事件』(金田一耕助の初登場作)、第2回長編賞は坂口安吾『不連続殺人事件』と書けばその歴史を実感していただけるかもしれない。

レギュレーションは何度か変更されているが、現在は「長編および連作短編集部門」「短編部門」「評論その他の部門」の3部門に分かれている。1999年までは連作短編集は短編部門だったりするのでややこしい。なお、一度受賞すると、それ以外の部門でも候補になることはできなくなる(最初期はこの規定はなかったようだが、複数回受賞の達成者はいない)。
また「2作目以降を対象とする」という規定があり、デビュー作で候補になることはできない。この規定ができたがいつなのかははっきりしないが、おそらくレギュレーションの変わった第36回以降で、それ以前は檜山良昭(第32回長編賞)がデビュー作で受賞している(同じ回では竹本健治もデビュー作の『匣の中の失楽』で候補になっている)が、それ以降は原尞、北村薫、山口雅也、馳星周、京極夏彦などデビュー作が有名な作家でも候補になっていない。

基本的には若手ミステリー作家の出世作に与えられる賞だが、ベテランになってから受賞することもある。特に有栖川有栖、法月綸太郎、麻耶雄嵩など新本格の主要な作家は初期の作品で取れず、21世紀になってから受賞している。また受賞作は狭義の本格ミステリ系ばかりではなく、ハードボイルドや冒険小説はもちろん、場合によってはSF(小松左京『日本沈没』、梅原克文『ソリトンの悪魔』、菅浩江『永遠の森 博物館惑星』、山田宗樹『百年法』など)やファンタジー(古川日出男『アラビアの夜の種族』、恒川光太郎『金色機械』など)が受賞することもある。
受賞自体はその年々の選考委員がミステリーの意味をどのくらい広く取るかによるが、少なくとも候補作選びの段階では「このミステリーがすごい!」と同じぐらい(あるいはそれ以上に)ミステリーの意味を広めに取っているようで、わりと何でもあり。そのため吉川英治文学新人賞や山本周五郎賞、大藪春彦賞、日本冒険小説協会大賞あたりとダブル受賞、トリプル受賞になることも稀によくある。

短編部門は受賞作なしになることも多い。ミステリ短編の絶対数が多くない上、前述の通り他の部門で賞を獲った作家は候補にできないためである。評論・研究部門は未受賞者のガチのミステリ評論なんて年に何冊も出ないので、SF・幻想文学・純文学など非ミステリを対象にした評論・研究書や、ミステリ関連のエッセイ、さらには現実に起きた事件を扱ったノンフィクションなども対象になる。なお、受賞において日本推理作家協会の会員である必要はない。

選評は日本推理作家協会のサイトで全て読むことができる。過去の受賞作は「日本推理作家協会賞受賞作全集」として双葉文庫でも刊行されている。

大百科に記事のある受賞作

  • 日本沈没 (第27回、小松左京)
  • 魍魎の匣 (第49回長編部門、京極夏彦)
  • 秘密 (第52回長編部門、東野圭吾)
  • 葉桜の季節に君を想うということ (第57回長編及び連作短編集部門、歌野晶午)
  • 硝子のハンマー (第58回長編及び連作短編集部門、貴志祐介)
  • 独白するユニバーサル横メルカトル (第59回短編部門、平山夢明)
  • 果断 隠蔽捜査2 (第61回長編及び連作短編集部門、今野敏)
  • ジョーカー・ゲーム (第62回長編及び連作短編集部門、柳広司)
  • カラスの親指 (第62回長編及び連作短編集部門、道尾秀介)
  • 折れた竜骨 (第64回長編及び連作短編集部門、米澤穂信)

大百科に記事のある受賞作家

  • 横溝正史 (第1回長編賞 『本陣殺人事件』)
  • 坂口安吾 (第2回長編賞 『不連続殺人事件』)
  • 山田風太郎 (第2回短編賞 「眼中の悪魔」「虚像淫楽」)
  • 高木彬光 (第3回長編賞 『能面殺人事件』)
  • 江戸川乱歩 (第5回 『幻影城』)
  • 松本清張 (第10回 『顔』)
  • 鮎川哲也 (第13回 『憎悪の化石』『黒い白鳥』)
  • 星新一 (第21回 『妄想銀行』および過去の業績)
  • 小松左京 (第27回 『日本沈没』)
  • 泡坂妻夫 (第31回長編賞 『乱れからくり』)
  • 天藤真 (第32回長編賞 『大誘拐』)
  • 西村京太郎 (第34回長編賞 『終着駅殺人事件』)
  • 連城三紀彦 (第34回短編賞 「戻り川心中」)
  • 辻真先 (第35回長編賞 『アリスの国の殺人』)
  • 北方謙三 (第38回長編部門 『渇きの街』)
  • 皆川博子 (第38回長編部門 『壁・旅芝居殺人事件』)
  • 岡嶋二人 (第39回長編部門 『チョコレートゲーム』)
  • 船戸与一 (第42回長編部門 『伝説なき地』)
  • 佐々木譲 (第43回長編部門 『エトロフ発緊急伝』)
  • 大沢在昌 (第44回長編部門 『新宿鮫』)
  • 北村薫 (第44回短編および連作短編集部門 『夜の蝉』)
  • 綾辻行人 (第45回長編部門 『時計館の殺人』)
  • 宮部みゆき (第45回長編部門 『龍は眠る』)
  • 高村薫 (第46回長編部門 『リヴィエラを撃て』)
  • 折原一 (第48回長編部門 『沈黙の教室』)
  • 加納朋子 (第48回短編および連作短編集部門 「ガラスの麒麟」)
  • 京極夏彦 (第49回長編部門 『魍魎の匣』)
  • 黒川博行 (第49回短編および連作短編集部門 「カウント・プラン」)
  • 真保裕一 (第50回長編部門 『奪取』)
  • 桐野夏生 (第51回長編部門 『OUT』)
  • 東野圭吾 (第52回長編部門 『秘密』)
  • 北森鴻 (第52回短編および連作短編集部門 『桜の下にて春死なむ』)
  • 福井晴敏 (第53回長編及び連作短編集部門 『亡国のイージス』)
  • 横山秀夫 (第53回短編部門 「動機」)
  • 山田正紀 (第55回長編及び連作短編集部門 『ミステリ・オペラ』)
  • 法月綸太郎 (第55回短編部門 「都市伝説パズル」)
  • 浅暮三文 (第56回長編及び連作短編集部門 『石の中の蜘蛛』)
  • 有栖川有栖 (第56回長編及び連作短編集部門 『マレー鉄道の謎』)
  • 歌野晶午 (第57回長編及び連作短編集部門 『葉桜の季節に君を想うということ』)
  • 伊坂幸太郎 (第57回短編部門 「死神の精度」)
  • 貴志祐介 (第58回長編及び連作短編集部門 『硝子のハンマー』)
  • 恩田陸 (第59回長編及び連作短編集部門 『ユージニア』)
  • 桜庭一樹 (第60回長編及び連作短編集部門 『赤朽葉家の伝説』)
  • 今野敏 (第61回長編及び連作短編集部門 『果断 隠蔽捜査2』)
  • 道尾秀介 (第62回長編及び連作短編集部門 『カラスの親指』)
  • 田中啓文 (第62回短編部門 「渋い夢」)
  • 円堂都司昭 (第62回評論その他の部門  『「謎」の解像度』)
  • 貫井徳郎 (第63回長編及び連作短編集部門 『乱反射』)
  • 麻耶雄嵩 (第64回長編及び連作短編集部門 『隻眼の少女』)
  • 米澤穂信 (第64回長編及び連作短編集部門 『折れた竜骨』)
  • 深水黎一郎 (第64回短編部門 「人間の尊厳と八〇〇メートル」)
  • 湊かなえ (第65回短編部門 「望郷、海の星」)
  • 若竹七海 (第66回短編部門 「暗い越流」)
  • 恒川光太郎 (第67回長編及び連作短編集部門 『金色機械』)
  • 月村了衛 (第68回長編及び連作短編集部門 『土漠の花』)
  • 喜国雅彦 (第68回評論その他の部門 『本棚探偵最後の挨拶』)
  • 古処誠二 (第71回長編及び連作短編集部門 『いくさの底』)
  • 呉勝浩 (第73回長編及び連作短編集部門 『スワン』)

関連商品

ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。

関連項目

  • 文学賞
  • 小説
  • 小説家の一覧
  • 推理小説
  • ミステリー
  • 江戸川乱歩賞
関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/07(日) 05:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/07(日) 05:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP