日本推理作家協会賞 単語

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日本推理作家協会賞とは、日本推理作家協会が主催する推理小説の文学賞。

第78回(2025年)候補作

選考会:2025/5/15(木)

長編および連作短編集部門

  • 伊岡瞬『翳りゆく午後』(集英社)
  • 川瀬七緒『詐欺師と詐欺師』(中央公論新社)
  • 倉知淳『死体で遊ぶな大人たち』(実業之日本社)
  • 古泉迦十『崑崙奴』(星海社)
  • 潮谷験『伯爵と三つの棺』(講談社)

短編部門

  • 井上真偽「栴檀秘聞」(小説新潮4月号)
  • 今村昌弘「とある日常の謎について」(紙魚の手帖vol.15)
  • 斜線堂有紀「最高まで行く」(『貴女。 百合小説アンソロジー』収録)
  • 久永実木彦「黒い安息の日々」(『メロディアス 異形コレクションLⅧ』収録)
  • 水生大海「あの日、キャンプ場で」(小説推理4月号)

評論・研究部門

  • 飯城勇三『本格ミステリの構造解析 奇想と叙述と推理の迷宮』(南雲堂)
  • 大矢博子『クリスティを読む! ミステリの女王の名作入門講座』(東京創元社)
  • 小嶋洋輔・高橋孝次・西田一豊・牧野悠編『中間小説とは何だったのか 戦後の小説雑誌と読者から問う』(文学通信)
  • 佐々木真理『アーシュラ・K・ルグィン 新たなる帰還』(三修社)
  • 杉江松恋『日本の犯罪小説』(光文社)

翻訳部門

  • ジェイク・ラマー『ヴァイパーズ・ドリーム』加賀山卓朗訳(扶桑社)
  • 馬伯庸『両京十五日』齊藤正高・泊功訳(早川書房)
  • スティーヴン・キング『ビリー・サマーズ』白石朗訳(文藝春秋)
  • ジョー・ネスボ『失墜の王国』鈴木恵訳(早川書房)
  • ベンジャミン・スティーヴンソン『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』富永和子訳(ハーパーコリンズ・ジャパン)

概要

1947年に江戸川乱歩が探偵作家クラブを設立するとともに、探偵作家クラブ賞として1948年に開始。1955年から日本探偵作家クラブ賞、1963年から現在の日本推理作家協会賞という名前になった。

70年以上続いており、現存するミステリー関係の文学賞では最も歴史ある賞である。第1回長編賞受賞作は横溝正史『本陣殺人事件』(金田一耕助の初登場作)、第2回長編賞は坂口安吾『不連続殺人事件』と書けばその歴史を実感していただけるかもしれない。

レギュレーションは何度か変更されているが、現在は「長編および連作短編集部門」「短編部門」「評論その他の部門」の3部門に分かれている。1999年までは連作短編集は短編部門だったりするのでややこしい。また2023年からは、2025年の正式創設を目指して「翻訳小説部門」が試行されている。
なお、一度受賞すると、それ以外の部門でも候補になることはできなくなる(最初期はこの規定はなかったようだが、複数回受賞の達成者はいない)。
また「2作目以降を対象とする」という規定があり、デビュー作で候補になることはできない。この規定ができたがいつなのかははっきりしないが、おそらくレギュレーションの変わった第36回以降で、それ以前は檜山良昭(第32回長編賞)がデビュー作で受賞している(同じ回では竹本健治もデビュー作の『匣の中の失楽』で候補になっている)が、それ以降は原尞、北村薫、山口雅也、馳星周、京極夏彦などデビュー作が有名な作家でも候補になっていない。

基本的には若手ミステリー作家の出世作に与えられる賞だが、ベテランになってから受賞することもある。特に有栖川有栖、法月綸太郎、麻耶雄嵩など新本格の主要な作家は初期の作品で取れず、21世紀になってから受賞している。また受賞作は狭義の本格ミステリ系ばかりではなく、ハードボイルドや冒険小説はもちろん、場合によってはSF(小松左京『日本沈没』、梅原克文『ソリトンの悪魔』、菅浩江『永遠の森 博物館惑星』、山田宗樹『百年法』など)やファンタジー(古川日出男『アラビアの夜の種族』、恒川光太郎『金色機械』など)が受賞することもある。
受賞自体はその年々の選考委員がミステリーの意味をどのくらい広く取るかによるが、少なくとも候補作選びの段階では「このミステリーがすごい!」と同じぐらい(あるいはそれ以上に)ミステリーの意味を広めに取っているようで、わりと何でもあり。そのため吉川英治文学新人賞や山本周五郎賞、大藪春彦賞、日本冒険小説協会大賞あたりとダブル受賞、トリプル受賞になることも稀によくある。

短編部門は受賞作なしになることも多い。ミステリ短編の絶対数が多くない上、前述の通り他の部門で賞を獲った作家は候補にできないためである。評論・研究部門は未受賞者のガチのミステリ評論なんて年に何冊も出ないので、SF・幻想文学・純文学など非ミステリを対象にした評論・研究書や、ミステリ関連のエッセイ、さらには現実に起きた事件を扱ったノンフィクションなども対象になる。なお、受賞において日本推理作家協会の会員である必要はない。

選評は日本推理作家協会のサイトで全て読むことができる。過去の受賞作は「日本推理作家協会賞受賞作全集」として双葉文庫でも刊行されている。

大百科に記事のある受賞作

  • 日本沈没 (第27回、小松左京)
  • 魍魎の匣 (第49回長編部門、京極夏彦)
  • 秘密 (第52回長編部門、東野圭吾)
  • 葉桜の季節に君を想うということ (第57回長編及び連作短編集部門、歌野晶午)
  • 硝子のハンマー (第58回長編及び連作短編集部門、貴志祐介)
  • 独白するユニバーサル横メルカトル (第59回短編部門、平山夢明)
  • 果断 隠蔽捜査2 (第61回長編及び連作短編集部門、今野敏)
  • ジョーカー・ゲーム (第62回長編及び連作短編集部門、柳広司)
  • カラスの親指 (第62回長編及び連作短編集部門、道尾秀介)
  • 折れた竜骨 (第64回長編及び連作短編集部門、米澤穂信)
  • 地雷グリコ (第77回長編及び連作短編集部門、青崎有吾)

大百科に記事のある受賞作家

  • 横溝正史 (第1回長編賞 『本陣殺人事件』)
  • 坂口安吾 (第2回長編賞 『不連続殺人事件』)
  • 山田風太郎 (第2回短編賞 「眼中の悪魔」「虚像淫楽」)
  • 高木彬光 (第3回長編賞 『能面殺人事件』)
  • 江戸川乱歩 (第5回 『幻影城』)
  • 松本清張 (第10回 『顔』)
  • 鮎川哲也 (第13回 『憎悪の化石』『黒い白鳥』)
  • 土屋隆夫 (第16回 『影の告発』)
  • 星新一 (第21回 『妄想銀行』および過去の業績)
  • 小松左京 (第27回 『日本沈没』)
  • 泡坂妻夫 (第31回長編賞 『乱れからくり』)
  • 天藤真 (第32回長編賞 『大誘拐』)
  • 西村京太郎 (第34回長編賞 『終着駅殺人事件』)
  • 仁木悦子 (第34回短編賞 「赤い猫」)
  • 連城三紀彦 (第34回短編賞 「戻り川心中」)
  • 辻真先 (第35回長編賞 『アリスの国の殺人』)
  • 北方謙三 (第38回長編部門 『渇きの街』)
  • 皆川博子 (第38回長編部門 『壁・旅芝居殺人事件』)
  • 岡嶋二人 (第39回長編部門 『チョコレートゲーム』)
  • 船戸与一 (第42回長編部門 『伝説なき地』)
  • 佐々木譲 (第43回長編部門 『エトロフ発緊急伝』)
  • 大沢在昌 (第44回長編部門 『新宿鮫』)
  • 北村薫 (第44回短編および連作短編集部門 『夜の蝉』)
  • 綾辻行人 (第45回長編部門 『時計館の殺人』)
  • 宮部みゆき (第45回長編部門 『龍は眠る』)
  • 高村薫 (第46回長編部門 『リヴィエラを撃て』)
  • 折原一 (第48回長編部門 『沈黙の教室』)
  • 加納朋子 (第48回短編および連作短編集部門 「ガラスの麒麟」)
  • 京極夏彦 (第49回長編部門 『魍魎の匣』)
  • 黒川博行 (第49回短編および連作短編集部門 「カウント・プラン」)
  • 真保裕一 (第50回長編部門 『奪取』)
  • 桐野夏生 (第51回長編部門 『OUT』)
  • 東野圭吾 (第52回長編部門 『秘密』)
  • 北森鴻 (第52回短編および連作短編集部門 『桜の下にて春死なむ』)
  • 福井晴敏 (第53回長編及び連作短編集部門 『亡国のイージス』)
  • 横山秀夫 (第53回短編部門 「動機」)
  • 都筑道夫 (第54回評論その他の部門 『推理作家の出来るまで』)
  • 山田正紀 (第55回長編及び連作短編集部門 『ミステリ・オペラ』)
  • 法月綸太郎 (第55回短編部門 「都市伝説パズル」)
  • 浅暮三文 (第56回長編及び連作短編集部門 『石の中の蜘蛛』)
  • 有栖川有栖 (第56回長編及び連作短編集部門 『マレー鉄道の謎』)
  • 歌野晶午 (第57回長編及び連作短編集部門 『葉桜の季節に君を想うということ』)
  • 伊坂幸太郎 (第57回短編部門 「死神の精度」)
  • 貴志祐介 (第58回長編及び連作短編集部門 『硝子のハンマー』)
  • 恩田陸 (第59回長編及び連作短編集部門 『ユージニア』)
  • 桜庭一樹 (第60回長編及び連作短編集部門 『赤朽葉家の伝説』)
  • 今野敏 (第61回長編及び連作短編集部門 『果断 隠蔽捜査2』)
  • 道尾秀介 (第62回長編及び連作短編集部門 『カラスの親指』)
  • 田中啓文 (第62回短編部門 「渋い夢」)
  • 円堂都司昭 (第62回評論その他の部門  『「謎」の解像度』)
  • 貫井徳郎 (第63回長編及び連作短編集部門 『乱反射』)
  • 麻耶雄嵩 (第64回長編及び連作短編集部門 『隻眼の少女』)
  • 米澤穂信 (第64回長編及び連作短編集部門 『折れた竜骨』)
  • 深水黎一郎 (第64回短編部門 「人間の尊厳と八〇〇メートル」)
  • 湊かなえ (第65回短編部門 「望郷、海の星」)
  • 若竹七海 (第66回短編部門 「暗い越流」)
  • 恒川光太郎 (第67回長編及び連作短編集部門 『金色機械』)
  • 月村了衛 (第68回長編及び連作短編集部門 『土漠の花』)
  • 喜国雅彦 (第68回評論その他の部門 『本棚探偵最後の挨拶』)
  • 古処誠二 (第71回長編及び連作短編集部門 『いくさの底』)
  • 呉勝浩 (第73回長編及び連作短編集部門 『スワン』)
  • 矢樹純 (第73回短編部門 「夫の骨」)
  • 芦辺拓 (第75回長編及び連作短編集部門 『大鞠家殺人事件』)
  • 大山誠一郎 (第75回短編部門 「時計屋探偵と二律背反のアリバイ」)
  • 芦沢央 (第76回長編及び連作短編集部門 『夜の道標』)
  • 西澤保彦 (第76回短編部門 「異分子の彼女」)
  • 青崎有吾 (第77回長編及び連作短編集部門 『地雷グリコ』)
  • 宮内悠介 (第77回短編部門 「ディオニソス計画」)

関連項目

  • 文学賞
  • 小説
  • 小説家の一覧
  • 推理小説
  • ミステリー
  • 江戸川乱歩賞
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