300km/h新幹線発進
500系新幹線電車とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が保有している新幹線車両である。
1996年1月に量産先行車が完成、1997年3月のダイヤ改正でデビュー。新幹線で初めて300km/hでの営業運転を行った。その駅間での速さからギネスにも登録された。
全長15mものロングノーズを有する、ジェット戦闘機のような前面形状と円筒形の車体断面が特徴で、まさに『弾丸列車』を具現化したかのようなデザインは子供層や来日した外国人観光客を中心に絶大な人気を博している。新幹線車両としては久々のブルーリボン賞受賞も果たした。
車体には軽量化と高剛性を両立するため、アルミハニカム構造を採用、車体表面の起伏を減らし空気抵抗・騒音の低減を図るため、乗降扉の全てをプラグドアとした。パンタグラフは「翼形」と称する独特のT字型パンタグラフであり、支柱の側面には騒音低減のためフクロウの翼の構造を参考にしたボルテックスジェネレータが設けられている。その上、新幹線車両のシンボル的パーツである先頭車屋上の静電アンテナすら、中間車のパンタグラフカバー内に持っていって隠すという空力特性・騒音への配慮ぶり。
最高速度320km/hでの営業運転をも視野に入れ、これら徹底した空力特性の追求と共に東海道・山陽新幹線用車両としては0系以来となる全電動車方式を採用、さらにセミアクティブサスペンションや車間ダンパーなど、後の新幹線車両にも受け継がれている新装備が盛り込まれている。
なお先頭部をあまりに鋭く尖らせたのは「空力特性上ここまでする必要は無かったが、カッコ良いからこうした」(設計者談)という素敵性能追求の結果。
しかし以上の通りの贅沢な構造による開発・製造費の高騰(1編成46億円。700系16両編成より約10億円高い)に加え、半径2500m(制限速度255km/h)のカーブが随所に存在する東海道区間では性能を生かしきれなかったことからわずか9編成、144両が生産されたのみに留まった。
また、座席の配置が他の新幹線車両と異なる上先頭部に乗降扉がなく、運用上支障となることや、山陽新幹線内において500系と同じ300km/h運転の可能なN700系の登場などから、全9編成中8編成(W2~9)が山陽新幹線内のこだま(8両・V編成)に順次転用され、勇退する0系の後を引き継いだ。
なお、500系量産車として最初に落成したW1編成は博多総合車両所にて保存されているが、JR西日本によると「今後W編成が(山陽新幹線)本線を走ることはない」との事(但し、W編成の停車標識はまだ山陽区間では一部で残っていたりする)。2012年2月現在は組成変更が行われ中間車のうち6両(5・6・9・12・14・15号車)が編成から外れて廃車となっているが残っているW1編成10両のうち先頭車(トップナンバーの521-1)は博物館展示の為、博多総合車両所から京都へと搬送された(残り9両は廃車)。
ちなみに少数生産であることや走りこみ不足で初期トラブルが多発した300系J編成の反省からW1編成が長期に渡って走りこみを入念に行った為、W編成は故障が少ない。
JR西日本は唯一の自社オリジナルである500系をモチーフにしたヒーロー「カンセンジャー」を2012年10月に送り出しており、2013年4月10日からV編成先頭部分にカンセンジャーをラッピングする。
16両編成で運用されていたW編成。最盛期には東京~博多間を結ぶ「のぞみ」に2時間に1本用いられていた他、登場時から続いてた山陽新幹線完結「のぞみ」1往復や臨時の「のぞみ」や「ひかり」などにも使用されていた。
しかし2007年からのN700系の増備やそれに伴う「こだま」転用のための短編成化によって徐々に減少していき、2009年11月10日からの500系使用の「のぞみ」は6号→29号の1往復のみとなった。そして2010年2月28日のW1編成運用をもって東海道・山陽新幹線を直通する「のぞみ」運用から撤退した。引退直前の2009年12月時点ではW1のほかにW7・W8編成が在籍していた。
(※ちなみに、2010年2月28日の東海道ラストランをW1編成で行う為に運用の調整が行われていた)
なお、2008年3月まで山陽新幹線完結の「のぞみ」は号数が500番台となっていて500号には500系登場時から最後まで500系が充当されていたのは有名な話である(現在は600番台、500番台は東海道新幹線完結の「ひかり」になっている)。
W1編成のみ7000番台化されなかったが、量産先行車であるW1編成と量産車であるW2編成以降では編成組成に違いがあり(電動機出力も違う)8両化出来なかった為とされている。
2014年3月28日をもって、博多総合車両所に留置されていた最後のW1編成が廃車され、0番台はすべて消滅した。(上記の通り、先頭車が1両のみ保存車両として京都鉄道博物館に搬入されている。もう片方の先頭車は引き続き博多総合車両所内で保管。)
運用されている間は基本的に「のぞみ」専属であったが、稀に臨時「ひかり」として走行したこともある。
2008年11月30日には0系新幹線の定期最終運転の続行便として「こだま」でも走行した。
上記のW編成(W1編成を除く)を8両編成化したものでV編成を名乗る。車両はW編成の1・2・3・4・13・10・11・16号車を改造したもの。山陽「こだま」として運用されており、V2~V9が現在在籍している(元編成はW2~W9)。なお、臨時で「ひかり」に充当された事もあったが、2012年3月17日のダイヤ改正で岡山-博多間の定期「ひかり」運用が設定された(441号)。わずか1年で消滅したが・・・。
最高速度は285km/hとされているが、これはパンタグラフの変更やその他環境面で300km/h運転が不可能となった為である。塗装は0番台時から変更されていないが、各車両は中間車を中心に結構細々と改造されており、喫煙室が設置されたほか静電アンテナも2号車・7号車の先頭車寄りの屋根上に移され、側面から見えるようになっている。
500系7000番台使用の列車は時刻表で見分ける事が可能だが、W編成時に毎日東京~博多間の長距離運用に就いていた事や本来の予定になかった8両化が影響しているのか故障が多くなり、充当車両が700系7000番台やN700系7000番台に変更される事が稀によくある。
6号車は元・グリーン車で元々2&2シートであったが、4・5号車は元・普通車で3&2シートだった。当初指定席は6号車の1両飲みの設定であったが、こだま向け割引きっぷの好調により元・普通車の一部を指定席にするケースが増えていた。しかし当然ながら座席の格差が顕著であったため、こだま向け割引きっぷ用のために指定席とされる場合がある4・5号車を2&2化する事となり、700系7000番台仕様のシートを新製し取り付けたものである。なお2&2化により横幅のゆとりは出来たものの、シートピッチは1,040mmのままであり、種車がグリーン車である一般向け指定席車(シートピッチ1,160mm)との格差は残されている。
また、編成の8号車には一部座席を撤去した上で子供用の擬似運転台を設置されている。この擬似運転台にはハンドルやスイッチを設置しており、これらを操作することにより速度計やATC信号などが対応して点灯する仕組みとなっている。
なお、これは子供向けである。大きいお友達は「電車でGO!山陽新幹線編」(PS2・Wii)で楽しんでください。
2014年7月から1編成(V2編成)のみ1号車を改造し「プラレールカー」として運行する。充当されるのは「こだま730号」と「こだま741号」。元々1号車は自由席のため、別途予約やきっぷ購入などは必要ない。まるでファミリーひかりの再来である
2015年11月からはプラレールカーと同じ「こだま730号・741号」にて「新幹線:エヴァンゲリオン プロジェクト」として「500 TYPE EVA」が運転される。編成はプラレールカーと同じV2編成。
2015年時点で東海道・山陽新幹線では最古参の車両でもある。
なお、2016年時点では一部編成がVVVFがGTOからIGBTに換装されている。
通称「WIN350」。将来量産車が500系として登場する事となっていた事から500系の試作車という位置づけで900番台(500-901~906の6両編成)とされた。
なお、この車両は350km/h運転の技術的検証も目的の一つであった。「実際にやってみないと分からないならやってみろ」という天の声もあった模様。
→「WIN350」
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最終更新:2025/12/14(日) 02:00
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