ひかり(新幹線)とは (ヒカリとは) [単語記事]

概要

1964年 10月1日の東海道新幹線開業時に速達列車として登場。列車名は公募により選ばれた（第1位）。ちなみに東海道新幹線開業まで「ひかり」は東九州の急行列車であった。

東海道新幹線開業時には「超特急」と呼ばれていた。
これは東海道新幹線開業時には「特急こだま」に対して「超特急ひかり」と呼称が分けられており、料金も「超特急」の方が高く設定されていたためである。

山陽新幹線岡山開業時から「超特急」の名称は使われなくなった。岡山開業に伴い停車駅のパターンが多様化した為である。新規に開業した山陽新幹線では主要駅停車の速達型列車のほか、各駅停車となり「こだま」の補完的役割を担う列車も発生した。

なお「ひかり」と「こだま」の特急料金格差は、1972年の山陽新幹線岡山開業時は東京～名古屋間のみに適用区間を縮小して残ったが、続く1975年の博多開業時に完全に消滅した。この後、東海道・山陽新幹線では1992年の「のぞみ」設定まで特急料金は一本体制となった。

東海道新幹線では開業時より長らく名古屋駅と京都駅のみ停車という体制が続いたが、山陽新幹線開業で山陽区間において停車駅が下記の通り複数パターン化した。

1972.3.15	東京駅	名古屋駅	京都駅	新大阪駅	新神戸駅	西明石駅	姫路駅	相生駅	岡山駅
1～8号	◯	◯	◯	◯	↔	↔	↔	↔	◯
21～44号	◯	◯	◯	◯	◯	↔	◯	↔	◯
51～78号	◯	◯	◯	◯	◯	◯	◯	◯	◯
301～345号	◯	◯	◯	◯

その後、東海道区間でも1972年 10月に北陸連絡のため米原駅に停車する「ひかり」が設定されたのをきっかけに、1976年には新横浜駅、そして1980年には「こだま」削減の代替で小田原駅・静岡駅・浜松駅・豊橋駅・岐阜羽島駅停車の「ひかり」が設定されるようになった。1985年には熱海駅・三島駅に停まる「ひかり」も生まれた。
また、山陽新幹線区間では「こだま」の代替として新大阪駅～博多駅間の全駅に停車する「ひかり」も設定されていた。

これらの「ひかり」は「こだま」に近い列車ということで、「HK ひかり」（K・・・こだま　に近い　H・・・ひかり）や「ひだま」とも呼ばれた。

1992年 3月14日の「のぞみ」設定後もしばらくは東海道・山陽新幹線の主軸列車であった。「のぞみ」用に設計された300系9000番台は当初「スーパーひかり」と呼ばれていた。

300系・500系・700系と270km/h運転が可能な車両が揃った事、更に品川駅の開業に伴い、2003年 10月より「のぞみ」主体の体制となったため、東海道新幹線では現在「のぞみ」の補完列車となっている。
現在東海道区間に残る「ひかり」は後述する通り、一部の速達型列車を除いて東京～名古屋か名古屋～新大阪のいずれかの区間で「のぞみ」に準じる速達運転を行い、もう一方の区間では「のぞみ」の通過駅に停車する「ひだま」型の列車となっている。

一方、山陽新幹線では「ウエストひかり」から「ひかりレールスター」に至るまで、「のぞみ」誕生後も航空路線との競合の関係から、JR西日本独自のスタイルを取り入れた「ひかり」が長らく設定されていた。
しかしながら、九州新幹線全線開業に伴いその「ひかりレールスター」の大半が「さくら」に置き換えられ、広島駅・博多駅に乗り入れる「ひかり」が大幅に減少した。ただし現在でも博多駅には「ひかり広場」がある。
新大阪～岡山間では日中に「こだま」が設定されていない時間帯があり、同区間の「こだま」代替列車として東海道新幹線から岡山まで各駅停車で乗り入れる「ひかり」が存在する（基本的に後述する「静岡ひかり」）。これは四国・出雲方面の列車から乗り換える乗客を捌くのに多客期を中心に「のぞみ」「さくら」だけでは対応出来なかった場合、山陽こだまの8両編成では捌ききれない可能性がある事、岡山を跨いでそれぞれののぞみ・さくら通過駅を利用する乗客が多くない事と相生駅・西明石駅から名古屋駅・新横浜駅・品川駅・東京駅まで乗り換え無しで行けるように考慮した説がある。

岡山から新大阪駅方面へ向かう場合、この岡山ひかり（静岡に止まるので静岡ひかりとも言う）の16号車辺りの指定席を取っておくと「のぞみ」「さくら」と比べ時間がかかるものの空いてて快適に移動出来る（※多客期の場合を除く）

ジャパン・レール・パスを始め東海道新幹線・山陽新幹線の企画切符が「のぞみ」利用不可な事が多く本数の少ないひかりの指定席は混雑しがちだったが実態に合わせジャパン・レール・パスは別途のぞみ用切符を取ると乗車可能になった事、その他の企画切符も値上げと引き換えにのぞみ利用可能になったものが多くなったため多少は改善したかもしれない。

様々なひかり

山陽新幹線では航空機に対抗する目的もあって多くの愛称が付加されている。以下主なものを記述。

100系新幹線電車

Shin kansen Series 100-3000

ウエストひかり
1988年 3月13日に登場。0系を短編成化した車両を使用した。車両の老朽化と速度向上の為に後継の「ひかりレールスター」が投入され2000年 4月21日に引退。
ファミリーひかり
1995年夏に登場。3号車に「こどもサロン」を設置し、子供が遊べる空間を提供した。
シャトルひかり
1991年に登場した0系6両編成（グリーンなし）を使用したひかり。1997年廃止。
グランドひかり
100系3000番台の事。東京～博多を結ぶ速達ひかりとして活躍したが2002年 11月23日に引退した。
ひかりレールスター
2000年 3月11日にデビューした700系7000番台使用列車。ウエストひかりの後継でもある。九州新幹線博多開業後も山陽新幹線で引き続き運転される（但し、本数は毎時0～1本に減る）。その後N700系に置き換えられ、「レールスター」スジを踏襲した九州新幹線直通列車は「さくら」「みずほ」に改称された。2025年 9月現在ひかりレールスターの名を冠する列車は新下関発岡山行きのひかり590号のみで、厚狭駅を通過する以外各駅停車である。

「ひかり」データ

※「ひかりレールスター」に関しては該当記事を参照の事

車両：N700系・N700A・N700S
会社：JR東海・JR西日本
運用線区：東海道新幹線・山陽新幹線
運転区間：博多～広島～岡山～新大阪～新横浜・東京
（※「のぞみ」がメインとなってから東海道新幹線から広島以西に直通する「ひかり」は2013 年3月まで長らく設定されておらず、博多に到達するのは新大阪始発のみであった）
ひかりレールスターの編成図はこちらを、ウエストひかりの編成図はこちらを、グランドひかりの編成図はこちらを参照のこと。

編成図(16両)

1号車

2号車

3号車

4号車

5号車

6号車

7号車

8号車

9号車

10号車

11号車

12号車

13号車

14号車

15号車

16号車

自由席

指定席

グリーン

指定席♿

指定席

全席禁煙。
N700系の喫煙ルームは普通車は3号車博多寄り・15号車博多寄り、グリーン車は10号車東京寄りに存在。
2024年 3月16日以降は喫煙スペース廃止（参考：JR東海）。
特大荷物スペースつき座席は6号車～16号車指定席の最後部座席。
臨時列車の場合は指定席車両の変更がある。なお、591号は6・15・16号車が自由席。

停車駅（○：停車、△：一部停車、-:通過）

駅
名

東
京

品
川

新
横
浜

小
田
原

熱
海

三
島

静
岡

浜
松

豊
橋

名
古
屋

岐
阜
羽
島

米
原

京
都

新
大
阪

新
神
戸

西
明
石

姫
路

相
生

岡
山

新
倉
敷

福
山

新
尾
道

三
原

東
広
島

広
島

新岩国

徳山

○

○

○

○

○

○

○

○

○

○

○

○

Aタイプは通称「米原ひかり」と呼ばれ、東京～名古屋間では「のぞみ」の停車駅に加えて小田原駅か豊橋駅のいずれか1駅に停車する。名古屋～新大阪間においては「こだま」の代替列車として各駅に停車し、米原駅で北陸特急「しらさぎ」と接続する。それゆえ首都圏・中京圏から北陸方面への連絡列車としての側面も強い。下り531号のみ小田原、豊橋を通過する代わりに静岡駅に停車する。2025年現在は号数として630 番台以降が充当されている。
東京～名古屋間は後続ののぞみ号よりも先着し、名古屋駅で緩急接続を行う。
Bタイプは通称「静岡ひかり」と呼ばれ、東京～名古屋間では「のぞみ」の停車駅に加えて静岡と浜松の両駅に停車し、熱海と三島のいずれか1駅に停車する（静岡・浜松のみ停車の列車もある）。例外的に臨時列車である下り535号のみ豊橋駅にも停車する。静岡県内から首都圏・中京圏・京阪神圏方面への速達列車としての性格が強い。2025年現在は号数として500 番台前半が充当されている。
名古屋～京都間では後続ののぞみより先着し、京都駅で緩急接続を行う。
また新大阪～岡山間では先述した通り「こだま」の代替を兼ねて各駅停車となる。上りの500号は広島始発の列車で広島～岡山も各駅に停車するため、始発の広島駅から京都駅までは各駅停車である。
Cタイプは「ひかり533号」で、新横浜駅の始発列車である。
設定当初は「のぞみ」と同等のスピードで山陽新幹線の西明石駅まで走り、そこで後続の定期「のぞみ」に抜かれるダイヤとなっていた。なお2023年 3月ダイヤ改正より相鉄・東急直通線からの乗り換え客対応の為、多客期のみ運転だが新横浜駅始発の臨時「のぞみ97号」が当列車の3分後に設定された。このため、のぞみ97号設定日も含め小田原待避が発生しているが、その後は前述の通り西明石まで追い上げる。
以前300系や700系がまだ走っていた時代ではN700系による限定運用が組まれており、東海道新幹線の最高速度が285km/hに向上した際は、真っ先に285km/h対応とした列車である。
Dタイプは名古屋発着の「ひかり」である。
下りの「ひかり669号」は東京発の浜松以西への終電で、週末には混雑する傾向にある。上りの「ひかり 630・632号」は名古屋始発の列車で、東京駅に9時前に到着する。静岡県内のビジネスマンを中心に乗車率が高い。
Eタイプは名古屋発の山陽新幹線乗り入れ「ひかり531号」。2013年 3月16日より名古屋～広島間で運行している「ひかり491号」が博多まで延長された（途中新下関・小倉に停車）。
Fタイプは山陽新幹線完結の「ひかり」で1往復設定。上り592号は主要駅にのみ停車するが、下り591号は新尾道駅・厚狭駅以外の全駅に停車し広島駅で後続の「さくら541号」を退避する。