進化は止まらない。
N700系新幹線電車とは、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)及び九州旅客鉄道(JR九州)に在籍している新幹線車両である。
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700系新幹線電車の後継車両として、また300系新幹線電車・500系新幹線電車の置き換え用車両として、JR東海とJR西日本が共同開発した。2005年に量産先行車(Z0編成・9000番台)が落成、2007年7月1日から営業運転を開始した。最高速度は山陽新幹線区間で300km/h、東海道新幹線区間で285km/h(2015年3月ダイヤ改正までは270km/h)である。
本形式最大の特徴のひとつが車体傾斜装置の搭載である。
東海道新幹線区間内に点在する半径2500mのカーブでは従来の車両で270km/h走行すると既定値(0.09G)を超える横Gがかかってしまうため、カーブ上の速度は255km/hに制限されていた。N700系では車体傾斜装置により車体を最大1度傾けることで、半径2500mのカーブを最高速度で走行しても規定値以下の横Gに収めることが可能となった。その結果、東海道新幹線区間での255km/h制限区間でも270km/hで走れるようになり、時間短縮に成功している(ちなみに理論上では279.5km/hまでの走行が可能であり、N700A化を受けて後述のとおり最高速度が285km/h(半径2500mのカーブ上は279.5km/h以下)に引き上げられることとなった)。
なお、この車体傾斜装置はデジタルATC(ATC-NS)が整備されている東海道区間のみで、山陽区間では線形が良く320km/hまでは車体傾斜が必要ない(※半径4000mのカーブの場合。)為使用されていない。そのかわり、車体の水平制御に活用されている(Z→X/G・N→K/F編成のみ)。山陽新幹線においてもデジタルATCの導入が行われたが、前述の通り線形が良い為、今後車体傾斜が使用されるかは不明。
もう一つの大きなチャームポイント特徴に、各車両間に設けられた全周幌がある。これは空気抵抗を少しでも低減するため設けられた、車体側面から上面に至る車体断面のほぼ全周を覆う、軟質樹脂製のブロックを並べて形成されたカバーである。この全周幌、新品の時はマシュマロのような色と感触なのだが、金属粉などの汚れが食い込むと非常に落ちにくいらしく、すぐにドロドロに汚れてしまうのが残念なポイントである。
またダイヤが過密化している東海道新幹線において、いち早く後続列車から逃げ切れる速度に乗せるため、通勤電車並みの起動加速度2.6km/h/sを有し、わずか3分で270km/hに達する。その発進加速力は他の新幹線車両(大半は起動加速度1.6km/h/s程度。700系は2.0km/h/s、E6系は在来線モード時のみ2.0km/h/s)と比較すると驚異の一語に尽きる。この高加速力こそがN700系の高性能のキモと言って良いだろう。
開発当初は「700N」。N700は通称だったが、2004年5月に正式名称として採用された。形式番号はグリーン/普通合造車が760番台、グリーン車が770番台、普通車が780番台となり700系と区別している。
グリーン車には777形という形式の車両があり、歴代新幹線でもごく希少(他には22-2・22、222-2・22、E444-4の5両のみ)な総ゾロ目車両が2両存在した(777-7、777-77)後述のA仕様改造で改番されて消滅してしまった・・・
300系・500系を順次置き換え、2010年3月13日のダイヤ改正時から東海道・山陽新幹線を直通する定期ののぞみ号がN700系で運転されている。さらに2012年3月17日ダイヤ改正からすべての定期ののぞみ号がN700系で運転されている。2014年3月15日のダイヤ改正では名古屋以西各駅停車タイプの「ひかり」の大半をN700系に置き換えてスピードアップを図り、「こだま」も東京~名古屋間運転の列車の大半にN700系が投入されるなど(一部時間帯を除く)大幅に増加する反面、臨時「のぞみ」は700系のまま据え置かれることが発表されており、今後はN700系の優れた起動加速度を活かすべく停車駅の多い「ひかり」「こだま」に優先投入し東海道新幹線各列車の全体的なスピードアップを図っていくことが示唆されるものとなっている。実際、2017年3月のダイヤ改正で全ての定期「ひかり」がN700系となり、臨時「のぞみ」を差し置いて全列車N700系化が達成された。
また、九州新幹線直通用に同系をベースとした7000番台と8000番台が開発されており、こちらは試験走行が山陽新幹線で行われたのち、2010年秋以降に九州新幹線で走行試験を行い、2011年3月12日から最速達列車「みずほ」と準速達列車である「さくら」を中心に山陽新幹線直通の運用を開始した。一部時間帯には各駅停車タイプの「つばめ」としても使用されている。
2011年5月30日には700系置き換え用のN700A(1000番台)の投入が発表され、2013年2月から営業運転を開始した。従来型との相違点は、ブレーキ強化、台車振動検知システム・定速走行装置の搭載などがあげられる。
また、2015年3月14日に東海道新幹線での最高速度を270km/hから285km/hに引き上げ、最高速度285km/h運転を行う車両はN700Aおよび改良型N700系(N700a)が充てられている。2015年春のダイヤ改正以降は東京~新大阪間の最速所要時間が3分短縮され最速2時間22分となると同時に、日中に同区間を2時間30分で走破する「のぞみ」が11年半ぶりに復活する。
2020年3月に落成した4000番台(JR西日本・F23編成)をもって製造終了となり、以後はN700S系の量産に移行したが、試作車・代替新製車を含めた全両数は2,993両に達し、歴代新幹線車両でも0系に次ぐ大所帯となった。
しかし、後継となるN700Sの配備が進んだことで、2020年から廃車となる編成も出始めた。
2005年に製造された、JR東海所有の量産先行車で、量産化改造されずに300系J1編成の後継として試験を継続している。2014年に0番台と同様の改造が行われている。
X0編成は喫煙室がなく、700系同様に10(グリーン車)・15・16号車(新製当初は3・4号車も)が喫煙車に指定されており、床下ダクトの位置・形状が量産車と違う。この点が運用に支障をきたす事から、営業用に用いる事は出来ない。
パンタグラフ付近には架線計測装置が取り付けられているほか、度々試作部品や試験用装置の搭載が行われている。
現在は1号車の一部の窓が塞がれて騒音計測用の集音器らしきものが取り付けられていたり、1・2号車のみ戸締め警告ランプが撤去され、2号車の屋根に用途不明のアンテナが取り付けられるなど、試験車両としての役割を担っている。またX編成に改造される前からN700系改相当の各部改良を試験的に施されていた模様。
2019年2月8日付でN700系初の廃車となり、リニア・鉄道館に保存される1・8・14号車を残して全車解体された。
JR東海所有のZ編成。2007年から2012年にかけて計80編成製造され、300系J編成を置き換えた。
最終のZ80(現X80)編成は2012年3月1日に落成。配置状況は以下の通り(2023年10月1日時点。全編成改造済)
車両所 | 所属編成 |
東京交番検査車両所 | X31・X33・X35・X37・X51~X79(奇数番編成) |
大阪交番検査車両所 | X30~X40・X42・X50~X80(偶数番編成) |
登場後、N700Aにて採用された機能の一部(中央締結ブレーキディスク・定速走行装置)を搭載する改造が2013年度~2015年度の3年間、改造費230億円をかけて浜松工場にて全般検査(オーバーホール)と併せて行われた(■)。
改造が行われた車両は従来のロゴマークに小さく「A」の字が追加され、編成名及び車番も「X」で「2000」番台と変更される。改造第1号は、X65(旧Z65)編成。2013年9月末時点で13編成が、2015年4月1日時点では69編成が改造を完了しており、2015年度中に全80編成のX編成化が完了した。
X59編成は、2015年6月30日に新横浜駅 - 小田原駅間を走行中に発生した放火テロ事件(のぞみ225号テロ事件)により1号車(783-2059)が大きな焼損を受け廃車となり、車体がN700A仕様で同番号の2代目が代替新製(帯およびロゴは他のX編成と同様)され2016年6月に浜松に陸送されている。
2017年度から、全編成に対しN700A(第3次車)の標準仕様となる新開発ブレーキライニングとパンタグラフ状態監視機能・台車振動検知システム・ATC状態監視機能関係の追加改造が行われた。
2020年7月からN700S量産車による置き換えが開始されている。最初に廃車になったのはX12編成。
JR西日本所有のN編成。700系と違いJR西日本のオリジナル性は全く出されておらず、唯一の違いはJRロゴのカラーのみ。2007年から2010年にかけて計16編成製造された。
2020年10月1日時点では16編成全てが博多総合車両所に在籍している。Z編成と同様にN700Aの機能の一部を搭載する改造が2013年度から2015年度にかけて博多総合車両所にて行われ、改造が行われた車両は東海車同様ロゴマークに「A」が追加され、編成名及び車番も「K」で「5000」番台と変更された。改造第1号は、K4(旧N4)編成(2013年10月25日改造)。
JR東海車に続き、2016年3月7日に全16編成のK編成化が完了。3月8日から全編成N700Aタイプでの運行となっている。なお、2017年にやらかしたのはこのグループのK5編成。
同時期製造のJR東海車(X編成)には廃車が発生しているものの、K編成は2023年度までN700Sで置き換えられることはなく、2023年以降はN700Sの機能の一部を追加する改造が全般検査に合わせて実施されている。K編成のS化改造はK9編成の第8全検から開始となった。
2024年2月14日の社長会見でN700S3000番台を追加投入のうえ、既存のN700系5000番台のうち4編成を2026年までに順次8両編成へ改造し500系を置き換えることを発表した。種車は1号車~3号車・8号車~11号車・16号車で、グリーン車(8~10号車)については絨毯の撤去などが行われる予定。
2008年に量産先行車としてS1編成が製造され、その後2010年から2012年にかけて増備が行われ、JR西日本所有のS編成が合計19編成、JR九州所有のR編成が11編成製造された。2010年には量産先行車(S1編成)と量産車S2編成が山陽新幹線で試運転を行い、R1編成も熊本総合車両所に搬入された。
東海道区間には営業車両としては乗り入れないため、車体傾斜装置は設置していない(準備工事のみ)。
主に「みずほ・さくら・つばめ・こだま」や700系7000番台「ひかりレールスター」を置き換える形で「ひかり」に充当されている他、運行状況によっては特発「のぞみ」にも充当される。
内装は700系7000番台の理念を踏襲しつつ発展させ、普通車指定席はグリーン車に迫る広さの2&2シートが引き続き採用された他、新たに6号車の半室にグリーン席が用意された。グリーン席は普通車指定席との差別化を図るために枕タイプのヘッドレストやレッグレストが取り付けられ、他のN700系グリーン車と比べても上質で重厚感のある造りとなっている。なお普通車自由席は通常の3&2シートである。
外装には陶磁器の青磁を連想させる独特の蒼白い塗装が施されており、紺色を金縁で囲った一本のラインが窓下に引かれている。
九州新幹線区間内の急勾配に対応するため全電動車編成(通常のN700系は両先頭車のみ付随車の14M2T編成)となっており、また、台車は0・3000番台と違い500系やレールスター等で使用されている台車をベースとし、桜島を抱える九州新幹線区間内の火山灰対策として駆動部の防塵性能が向上している。
なお、当初の計画ではJR九州車は全10編成の予定だったが、集約臨の関係から2012年7月にR11編成が増備された。2012年10月1日時点の配置状況は以下の通り。
車両所 | 所属編成 |
博多総合車両所 | S1~S19 |
熊本総合車両所 | R1~R11 |
2012年以降、順次寿命を迎える700系C編成の一部を置き換えるために増備されている番台区分。Aは「Advanced」のA。
基本構造の変更は、Z編成投入後にJR東海が保有する小牧研究施設(同社総合技術本部技術開発部)で開発した定速走行装置(定速装置は通常時は使用すると早着してしまうため使用しない)・中央締結式ブレーキディスクの採用をはじめ、車体傾斜装置の動作曲線半径(曲線半径5,000mまで拡大)を変更するなど、安全性・乗り心地の向上が図られている。
内外装の変更点は、車体のブルーラインの上に大きな「N700A SHINKANSEN series N700 Advanced」のロゴマークが描かれる他、座席モケットのデザインもZ編成からより落ち着いた柄に変更され、車内照明を一部LEDへ変更することから電気消費量がZ編成に比べ約20%の削減となっている。また、2014年度以降の新製車はすべてのトイレに温水洗浄機能がつき、車内の自動販売機を廃止し、無線LAN設備に交換される。
ロゴやモケットの柄等はプレスリリースを参照(■)
ただしN700系との外見上の違いは非常に少なく、見慣れなければ見分けを付けるのは難しい。特に車体そのものにはほとんど変化はない。
編成記号はJR東海保有車は100系新幹線電車でかつて使用していたG、JR西日本保有車が300系で使用していたFで、書類上は2012年8月25日に最初のG1編成が完成(※2012年6月30日時点で日本車輌製造が、”N700A完成”と明記→■)。JR東海は、2012年8月21日に浜松工場にて報道機関のみにN700Aの第1編成を公開した(■■■)。
東海道・山陽新幹線区間の試験走行を行い、2013年2月8日「のぞみ203号」「のぞみ208号」より営業運転を開始した(但し、運用自体は区別されずZ・N編成と共通運用)。JR東海は2012年度に6編成、2013年度に7編成、2014年度~2016年度に18編成(毎年度6編成)を増備する計画で1000番台は計31編成となり、N700系は0番台80編成と合わせJR東海所有編成全体の8割以上となる。
またJR西日本は、2013年12月頃にN700AとしてN700系4000番台を1編成投入(N編成改造に伴う車両不足解消が主目的)。2016年度末までに追加で8編成(F2~)が投入され、最終的に2019年度末までに全24編成が導入され製造終了となった。
2016年度からJR東海では、700系C編成置き換え用に新開発ブレーキライニング、パンタグラフ監視機能・台車振動検知システム・ATC監視機能を搭載したG編成(第3次車)の仕様車両を2019年度までに20編成(最終的には、48編成→後に51編成投入を以て置換完了)投入される他、既存のG編成も追加改造される。2021年以降はN700Sの機能の一部を追加する改造が実施されている。
2020年10月1日時点の配置状況は以下の通り。
車両所 | 所属編成 |
東京交番検査車両所 | G1~G51(奇数番の編成) |
大阪交番検査車両所 | G2~G50(偶数番の編成) |
博多総合車両所 | F1~F24 |
2020年7月より運行を開始した、N700系の後継車にてフルモデルチェンジ車である。詳細は当該記事(N700S)を参照。
↓浜松工場へ戻るところ
↓迷列車で行こうシリーズから
掲示板
203 ななしのよっしん
2024/02/14(水) 19:46:00 ID: G2qiJwE3+Q
西日本のN700Aの短編成化による500系置き換え、座席の2×2化は特にプレリースに記載がないから2×3にサービス低下するのかな?
204 ななしのよっしん
2024/02/20(火) 20:06:18 ID: Q1a/OUc3QR
N700Aは向こう15年は使用されることは確定か
トンネルが多い山陽新幹線なのに
>>202
新幹線は確実に止められるように制輪子は大きめにとってるから弱いブレーキでもそこそこ音がする。
それに、新幹線は手動ブレーキだと回生ブレーキが働かないというのもある。
205 ななしのよっしん
2024/03/31(日) 05:57:52 ID: 2ba/FuSmbJ
>>203
短編成化の種車にグリーンの8~10号車が使われるから
短縮後の4~6号車はシートピッチとかそのまま、乗り得普通席に化ける
1~3号車と7~8号車は座席そのままだろうな
改造で14M2Tから6M2Tになるのと、パンタ他機器の大規模移設で285km/h止まり
従来の加速はできなくなりそうだな
500系全編成置き換える予定にはなってないからN700Sの8両導入への繋ぎか
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最終更新:2024/04/20(土) 04:00
最終更新:2024/04/20(土) 04:00
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