エンヘイおねとはクレクレ切なる願いであり、あの頃を懐かしむフレーズでもある。
概要
MMORPG『REDSTONE』にて、かつて非常によく見かけたチャット文章のひとつ。
「ファイヤーエンチャントとヘイストをおねがいします」という言葉が極限まで略されたものである。
ファイヤーエンチャント(以下『エンチャ』)とヘイストは『ウィザード』(以下WIZ)という職種のキャラクターが持つスキル(=呪文・魔法)であり、 エンチャが「物理攻撃に炎属性の魔法ダメージを一時的に上乗せ」、ヘイストが「キャラの移動速度・攻撃速度を一時的に高める」というものである。
その効果の体感をわかりやすく他ゲームで喩えると、 「はかぶさの剣にピオラを乗せた」感じであろうか。
その恩恵はゲームの序盤から終盤まであらゆるプレイヤーに「これなしではゲーム性がまるで違う」と思わせしめるほどであり、特に最序盤において顕著。敵へノロノロと攻撃を仕掛けても与ダメージが10前後という状態にあって、エンチャで一撃のダメージが三桁、ヘイストでの連続攻撃速度に驚愕するのは、ビギナープレイヤー全員が通る道である。
しかしその効果は永続ではないため、効果が切れると途端にもとの弱い自キャラに逆戻り。与ダメ、速度共にまだるっこしいのろのろとした動きを見ているだけで「エンヘイさえあれば…!」というストレスさえ溜まってくる。
その中毒症状に至った時、プレイヤーはブルンネンシュティグ西のポータル横に駆け寄り、こうチャットするのだ。
「エンヘイおね!」…と。
「ブレエビおね」
これはWIZではなく『ビショップ』という職種の「ブレッシング」と「プロテクティングエビル」というスキルの付与をお願いする言葉である。
ブレッシングは「最大HPアップ効果+少量の光属性ダメージを武器に一定時間付与」、プロテクティングエビルは「防御力を一定時間向上」という効果を持ち、キャラクターの生存性を格段に高めるスキルであるといえる。
パーティプレイ、特に秘密ダンジョンの攻略などにはこのスキルのためだけにビショップが必ず招聘されるほどであり、むしろ「パーティプレイでお願いされてからこれらをかける」など言語道断・ビショップ失格といえる位置づけのスキルである。
しかしブレッシングの「光属性ダメージの付与」は、エンチャの付与ダメージ量には遠く及ばないながらも最序盤のレベル上げには十分効果を発揮できる程度の効果を見込めたために、生存性の向上と併せてお願いしてくるものも少なからず存在した。
中には「エンヘイブレエビおね」と全部乗せ1チャットで済ませようとするツワモノもいたものである。
余談
- REDSTONEにおけるスキルは「習得」しただけでは効果が著しく低く、その後スキルポイントを割り振って育成することで効果が高まっていく仕様となっている。
ファイヤーエンチャントとヘイストもその例に漏れず、スキルレベルが低いプレイヤーのものではさほど効果が乗らない。この段階のものをかけてもらった際、一部の厨房マナーの悪いプレイヤーは「ゴミじゃん」などとのたまって憚らないという事例も大変多く、しばしば対立の原因となった。 - プレイヤーの最初のスポーン地点である『ブルンネンシュティグ』という街の西側はレベルの低いモンスターの出現地点となっており、しばしばそこには「エンヘイおね」に応えようという奇特な支援WIZさんが現れていた。エリアの東側の移動ポータル横でしゃがんで待機している者は十中八九そんな優しいWIZさんであり、その姿を見かけるだけで初心者は心強い思いを抱いていたものである。
- しかし、現在ではこのREDSTONEの風物詩とも言える光景は絶滅した模様。というのも、ブルンネンシュティグに「エンヘイブレエビその他まとめて全部乗せ」をしてくれる支援NPCが配置されたためである。
このNPCが施すスキルの効果は一律に高く、一時は支援WIZそれ自体の存在価値をも危うくしたが、現在は「支援WIZは廃人の道楽」という位置づけに落ち着いた模様である。あの頃は、もう戻ってこないのだ…。
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関連項目
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