概要
社会への不満や不確かな未来とそれらから来る憎悪の炎、そして生徒と教師の禁断の恋を描いた150ページからなる中編。
あとがきで手塚自身が「暗い、いやァな気分を味わう」と語っている通り、新左翼のデモや虫プロのトラブル、無知な評論家による独善的な漫画評などで弱り、陰惨なムードになっていた作者の内情が色濃く反映されたニヒルでダークな作風となっている。
ストーリー
最近、夜の会議室で妙な音を聴くようになり苛まれている少年・男谷哲。
彼は通っている中学校の教師・水島礼子に密かに想いを寄せていた。
ある日、川で水浴びをするため水着に着替えようと小屋に入った水島先生への覗きを阻止したところ、折り合いが悪く自信を憎んでいる暴力教師の鬼頭に見つかり濡れ衣を着せられてしまう。
憎悪の炎を燃やす男谷の前に、突如幻影の白い馬が現れる。
巨大なその馬に鬼頭を殺すことを念じた翌日、望み通り鬼頭は川で溺れ死体となって発見された。
時は流れ高校生になった男谷は未だに水島先生への想いを捨てきれないでいた。
告白を言い出せずに帰宅した日の夜、自分とは似ても似つかない母に毎度いびられているヒョロヒョロの父から、戦時中の中国で出会ったボンバという上官の馬と、自身の呪いの結果を言い聞かされた男谷は、思い切って高校を出たら水島先生と結婚するつもりだという事を父に話すが大反対を受ける。
打ちひしがれ水切りをしている所、偶然通りかかった水島先生から酔った父が自身の計画を先生に言いふらしたことと、冗談でもそういうことはあまり言わない方がいいということを伝えられ生きがいを失う。
再び具現化した馬におせっかいで無能な両親の死を願うと、両親が乗ったバスが谷底に転落。
甚大な被害ゆえ動転し寝込んでいると、天涯孤独の身となった彼の元へ水島先生がお参りにやってくる。
そこで転勤で東京に行くことを知らされ、高校を出たらあっちで再会しようという約束を交わす。
それからしばらくして、男谷に丸の内署から水島先生が駅のホームで将棋倒しに巻き込まれ圧死したという報せが入る。
泣き叫ぶ彼はボンバと名付けた馬に殺戮を命じ大事故を引き起こす。
週刊誌に水島先生のゴシップを書きなぐった連中の殺傷を命令する頃にはあちこちでボンバの目撃談が出て都市伝説として特集が組まれるほどの騒動となっていた。
破壊行為自体を楽しむようになった男谷のもとへ、彼がボンバを操っているという噂を聞いた病理学教室の山之口女史が訪ねてくる。彼から今までの成り行きを聞いた山之口は水島礼子を洗い、彼女が男谷に送る予定だった手紙を発見し彼に手渡す。そこには自分が淫らな女であることと、こんな自分のことは忘れて立派に働いてほしいという願いが書き記されていた。
手紙を見て、自分の馬鹿さ加減に我慢ならなくなった男谷は自分自身を激しく憎悪する。
するとどこからともなく現れたボンバが、今度は自分を標的に定め襲い掛かって来た。
追いつめられた自分を身を挺して守った山之口の姿を見て、憎悪の感情が消え同時に自信を取り戻した男谷の前からボンバはフッと姿を消す。
破壊された研究室の窓から差し込む夕日の前で二人は友情を誓い合い、友達として生きていくことを決意する。
関連チャンネル
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 鉄腕アトム
- アラバスター
- ブラック・ジャック
- 火の鳥(漫画)
- 七色いんこ
- どろろ
- ふしぎなメルモ
- 鳥人大系
- 人間昆虫記
- アドルフに告ぐ
- 赤の他人
- ガラスの城の記録
- 現地調査
- 鈴が鳴った
- 安達が原
- ネオ・ファウスト
- メタモルフォーゼ
- 奇子
- ガラスの脳
- きりひと讃歌
- 落盤
- MW
- グリンゴ
- ばるぼら
- シュマリ
- プライム・ローズ
- ジャングル大帝
- どついたれ
- 海のトリトン
▶もっと見る
- 1
- 0pt