ここに総督の兵、イエスの衣を剥ぎて緋色の上衣を着せいばらの冠を編みてその首に被らせ
葦を右の手に持たせかつその前にひざまづきあざけりて言う
「ユダヤ人の王安かれ」またこれに唾しかの葦をとりてその首を叩く
かく嘲笑してのち上衣を剥ぎてもとの衣を着せ、十字架につけんとてひきゆく
かくてゴルゴダというところ、すなわちされこうべの地にいたりぬ
きりひと讃歌(EULOGY TO KIRIHITO)とは、『ビッグコミック』に1970年4月10日号から1971年12月25日号まで連載された手塚治虫の漫画である。
概要
奇病の謎を追い求め自らもその病に罹患した小山内桐人を主役に、医学界の封建的な対人関係や奇病に罹ったことによる受難、そして人を人たらしめるものは何か、人は何によって救われるのかを描いた「もう一つのブラック・ジャック」とも呼ばれる医療漫画。
あらすじ
人間を犬かタヌキのような姿に変えてしまう謎の奇病「モンモウ病」について研究していたM大医学部付属病院の小山内桐人は、学会に提出する論文をまとめるも、第一内科医長の竜ヶ浦の勧めでモンモウ病の罹患者が千例を超している徳島県犬神沢の村に出向くこととなる。
調査はたったの一か月。春の学会前には帰ることができそこでレポートを発表してそれからフィアンセとの結婚。
そんな明るい未来を描く小山内の裏では、病自体よりもどすぐろい陰謀が渦巻いていた。
登場人物
小山内桐人
主人公。27歳のガッシリとした医者。実直で行動力が強い。モンモウ病を風土病だと睨み婚約者との結婚を先延ばしにしてまで現地調査へ赴くがそこで罹患。異形の姿となった後は、わけあって世界各国を放浪することとなる。
卜部
もう一人の主人公。悪人面の眼鏡をかけた小山内の同僚。小山内とは小学校からの付き合いで実践型の彼の後を追いかけデータを拾いまとめてきた。普段はクールなのだが自分勝手で情緒不安定な面が強く、ダークサイドの一面を併せ持つ、ある意味とても人間臭い男。
竜ヶ浦
M大学医学部第一内科医長兼主任教授。権威主義の頑固なマキャベリストでこの漫画のヴィラン。モンモウ病を伝染病だと決めつけ他のレポートを無視してまで学会で発表する予定を立てている。また、近々何らかの生体実験を試みる様子。後に日本医師会の会長に立候補する。
吉永いずみ
小山内のフィアンセで彼との結婚を心待ちにしている。初登場時は長い髪を染めていたが後に黒いショートにする。卜部が自身を好いていることを察知し彼を警戒するが……
吉永
いずみの父で竜ヶ浦の後援会会長。医師会に絡む利権を得るため、いずみに卜部との結婚を持ちかけたり龍ヶ浦の票集めをするなど工作に奔走する。
たづ
犬神沢の娘。小山内が村に着いた初日の夜に、村長から「馳走」として彼に差し出された。村人曰く「たづと交わったら村に住む権利を持つ」らしい。モンモウ病に罹患した父を看病している。後に小山内と婚約し、彼が発病して顔が変わった後も尽くそうとするが……
万
万大人と呼ばれる台湾の大金持ちで各界に顔が利く大物。毎日のように友人を集めては悪趣味なショーを開催しており、小山内を拉致して無理矢理契約書にサインさせた後は彼にもそこで見世物になるよう強要する。元はミミズを食って暮らすような極貧で、破廉恥な宴は自分自身の人生に対しての復讐であり生きがい。日本から取り寄せた頭痛薬を常飲している。
ヘレン・フリーズ
南アフリカの修道院の尼さん。卜部にモンモウ病だと診断された後、修道院の名誉のため彼共々現地のドクターに銃撃されるが急所を外れていたことにより死なずに済み、卜部と共に日本へ飛ぶ。自身が罹患して犬のような顔になったことを恥じており、このような姿では神に仕えることも出来ないと絶望に暮れていたが、卜部の説得と支えで勇気づけられ学会の場に姿を出し、自身にできることを模索した結果、鉱山町のスラムでカシン・ベックに苦しむ人々に寄り添うことを決める。
麗花
万の阿呆宮で小山内が出会った「人間テンプラ」という妙技で生きてきた女芸人。小人症など、見世物小屋で出し物にされるような特異な見た目の人間との性交を至上の悦びとする性欲異常者。
関連動画
関連チャンネル
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 鉄腕アトム
- アラバスター
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