「世の中には二種類の人間がいる」とは、創作物などでよく用いられる台詞である。
概要
「世の中には」ではなく「この世には」「世界には」であったりと細かい違いはあれど、大体似たような言い回しで用いられる。この記事を読んでいる人も、これまでに一度は何かで読んだことが、あるいは耳にしたことがあるのではないだろうか。
この言い回しを有名にしたのは、1966年公開のイタリア製西部劇映画(いわゆる「マカロニ・ウエスタン」)『続・夕陽のガンマン』(原題:『Il buono, il brutto, il cattivo』、英題:『The Good, the Bad and the Ugly』)ではないかと思われる。この映画は超有名作『荒野の用心棒』のシリーズ作品であり、名優クリント・イーストウッドがメインキャスト「善玉」(the Good)を演じる。
そして同作では、この言い回しが3回も登場するために視聴者の印象に強く残る。その視聴者たちが創作者となったときに、この言い回しをオマージュとして自作にも登場させたのだろう。さらに、それらのオマージュからさらに影響を受けて……というかたちで、この台詞回しが広がっていったものかと推測される。
とはいえ、この言い回しは『続・夕陽のガンマン』で初めて登場したわけではない。有名な著者の使用例に限っても、例えばアメリカ合衆国の人気詩人だったエラ・ウィーラー・ウィルコックス(Ella Wheeler Wilcox)の『Which Are You?』(あなたはどちら?)というタイトルの詩の中に既に同様の言い回しは登場している。この詩は、1896年の『Custer and other poems』という詩集に収録されたものらしい。
つまり少なくとも19世紀末から時々使われている言い回しではあったが、『続・夕陽のガンマン』で一種の「決め台詞」のように印象的に使われたことで、様々に使われる定番の台詞となった……と考えるべきか。
この言い回しが登場する作品を集めまくって紹介しているサイトもある。
『続・夕陽のガンマン』
以下は、『続・夕陽のガンマン』でこの言い回しが登場するシーンである。
同作の台詞を掲載しているサイトからの引用に、本記事編集者による仮訳を付けた。
卑劣漢:
「There are two kinds of people in the world, my friend.
(世界には二種類の人間がいるんだぜ、兄弟。)Those with a rope around their neck...
(首に縄をかけられる奴と……)...and the people who have the job of doing the cutting.
(……その縄を切ってやる係の奴だ。)Listen, the neck at the end of the rope is mine!
(よく聞け、縄をかけられるのは俺の首なんだ!)I run the risks.
(俺は命をかけるわけだ。)So, the next time, I want more than half!
(だからよう、次んときは、俺の分け前は半分以上欲しいぜ!)」
(※この台詞を「善玉」に向かって口にしている「卑劣漢」(the Ugly)は賞金首。「善玉」がこの卑劣漢を突き出して賞金をもらう → 卑劣漢は縛り首にされる → だが、善玉はその絞首刑のロープを打ち抜いて卑劣漢を助け、どちらも逃げて、せしめた賞金は山分けする……という詐欺行為を二人組で繰り返し行っている。)
「There are two kinds of spurs, my friend.
(二種類いるもんだぜえ、兄弟。)
(※この会話の直前で、「善玉」がドアから室内に入ってきた敵たちをピストルで撃ち倒したが、窓から入ってきて後ろを取っていた「卑劣漢」はピストルを「善玉」に突き付けて、このように脅した。)
卑劣漢:「You pig! You wanted to get me killed? When'd you unload it?」
(この野郎! 俺を殺そうってのか? いつ弾を抜き取りやがった?)You see, in this world there's two kinds of people, my friend...
(ご存じの通り、この世には二種類の人間がいるんだぜ、兄弟……)...those with loaded guns, and those who dig.
(弾が入った銃を持つ奴と、穴掘りをさせられる奴だ。)
(※大金が埋め隠されているという墓地にて、その大金を奪い合って決闘となった。だが「善玉」は前もって「卑劣漢」の銃の弾を抜き取っておくという小細工をしていた。そして銃を突きつけつつ、「卑劣漢」お得意の「二種類の人間がいる」の台詞をも奪ってしまうのだった。)
ジョーク
ジョークとして、この言い回しで妙な内容を記すものもある。
- 世の中には二種類の人間がいる。人間を二種類に分けたがる奴と、そうでない奴である。
- 「世の中には10種類の人間がいる」
「多いね!」
「二進法を理解している人間と、理解していない人間だ」
「あと8種類は?」
「君は後者だな」
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