東京メトロ01系とは、東京メトロに在籍する電車の一形式である。銀座線用の車両であり、「営団0シリーズ」の先駆けとなった車両でもある。なお、一部の廃車車両のうち熊本電気鉄道に譲渡されて同社01形となった車両についても解説する。
東京メトロに在籍する車両は、2017年3月10日に通常の営業運転を終了し、2017年3月12日にラストランが行われて引退した。
1985年度鉄道友の会ローレル賞受賞。また02・03・05系と共に1989年度鉄道友の会グローリア賞受賞。
概要
前史
時は1980年代初頭。当時の帝都高速度交通営団(営団地下鉄、以下営団)は、老朽化していた銀座線の車両の置き換えを考えていた。当時銀座線で使用されていた車両は、旧東京地下鉄道生え抜きの1200形、営団発足後最初に登場した1300形、吊り掛け駆動で丸ノ内線300形のプロトタイプといわれる1400形、吊り掛け駆動の1500~1800形、カルダン駆動1900・2000形およびその中間車1500N・NN形だった。これらの車両はいずれも自動空気ブレーキで、特に1900形より古い車両は運転台を撤去し、さらに1200形と1300形については電装解除も実施し、2000形で前後を挟んで運転されていた。乗客にはどれも似たように見えるうえ、製造が古い車両は車内を更新していたが老朽化は著しく、これらの車両代替は急務だった。
01系試作車登場
1983年、ついに01系の試作車01-101Fが登場する。当時は量産車が登場してから営業運転に投入する計画だったが、試運転中のこの車両を見た乗客から「いつ乗れるのか」という問い合わせが営団に多く寄せられたので、営業運転を大幅に前倒し1983年12月31日の終夜運転より営業運転に投入した。
この試作車には当時最新だった半蔵門線8000系までの実績をもとに、更に新しい技術を導入した。アルミ製車体に加え、ブラックフェイスの採用、ドア上には路線図式車内案内表示機、ドアチャイムなどを搭載していた。また従来車との併結を考慮せず、電気式ブレーキや高周波分巻チョッパなど当時最新の走行機器を導入した。これらは当時では珍しく、乗客にも好評だった。
余談だが、この編成のみチョッパ装置が試作品で、電動車ごとに異なるメーカーのものが搭載されていた。東京メトロになった後も残っていたが、末期には量産品に交換されていた。その他の変更点は後述。
量産車登場
1984年には量産車も登場する。その1次車01-102F~01-123Fは路線図式車内案内表示機の仕様変更(試作車も溜池山王駅開業時に交換)、座席モケット変更、床敷物変更などである。ちなみに試作車と量産1次車は登場時は非冷房車だった。これは銀座線と丸ノ内線ではトンネルの天井が低くの当時の大型の冷房装置では車両冷房ができなかったのでトンネル全体を冷やす「トンネル冷房」を導入していたためである。また、トンネル内部は暖かいとされていたため暖房装置も無かった。
しかし1990年登場の2次車および3次車01-124F~02-131Fからは冷房装置と暖房装置が搭載された。この2・3次車には三菱電機の手により薄型の冷房装置が開発されたのでこれを採用したものである。この2・3次車の登場によって、在来の01系にも冷房化改造が行われた。ただし暖房装置は廃車まで搭載されなかった。
1992年登場の4次車01-132F~01-136Fは、01系で初めてLED行先表示機や車いすスペースが導入されている。
1993年登場の5次車の01-137Fは01系で初めてVVVFインバータが導入されている。
1997年登場の6次車01-138Fは溜池山王駅開業の増備用として登場し、この車両を持って01系の製造は終了した。
運用
1993年までに従来車両を完全に代替し、1997年まで量産車を増備した。2004年の営団民営化に際しては、新会社の東京地下鉄(東京メトロ)に全車両が継承された。4月1日の発足セレモニーを01-135Fが勤めている。
東京メトロでは経年12年でC修工事という小規模な改修工事があり(ただし必ずこの時期に改修されるとは限らない)01系もこれを受け床などが変わった。また、経年24年目のB修工事は車内の大規模な更新を実施し、同時に足回りの走行機器を最新のものに換装するもので、01系については同時に新型機器を搭載する計画だった。しかし車体長16m級の01系には搭載できず、最終的には改修せず東京メトロ1000系によって代替することになった。その第一編成1101Fは2012年に営業運転を開始した。また2013年より01系の廃車が開始された。最初に廃車になったのは、2013年4月1日に除籍された01-131Fで、最後に残ったのは、01-130Fであった。この車両も2017年3月10日に通常の営業運転を終了し、2017年3月12日にラストランを迎えて引退した。このラストランは、廃車回送を兼ねていたので、名実ともに「最後の走行」となった。
熊本電気鉄道01形
廃車となった01系の一部の車両は、熊本県の熊本電気鉄道(以下、熊本電鉄)に譲渡された。対象車両は01-136Fおよび01-135Fでいずれも4次車である。前述したように、01-135Fは、東京メトロ発足セレモニーを務めた経歴を持っている。導入の理由は老朽化した元初代東急5000系の置き換えであり、同社路線と銀座線が共に直流600Vであったこと、車体が小さく車両限界に干渉しないことが導入の理由だという。導入に際し改造が行われており、その内容は、銀座線は第三軌条方式のため、架空電車線方式の熊本電鉄で使用するために、パンタグラフ(シングルアーム式)を両端の冷房装置を避ける形で二基搭載した。また銀座線の軌間が1435mmの標準軌、熊本電鉄の軌間が1067mmの狭軌であることから台車の交換を行った。この時交換した台車は、川崎重工業製の台車枠の側梁部分に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使用した新型台車「efwing」である。さらにチョッパ・MGからVVVFとSIVが一体となった車両制御装置への換装、ワンマン装置の搭載などを行っている。なお主電動機や駆動装置はメトロ6000・7000系の廃車発生品を流用している。
当初は01-136Fについては形式は「系」が「形」になった以外同じで、車番や塗装やドアチャイムもそのままで運行されていたが、01-135Fがメトロ時代とは違うドアチャイムで導入されたため、そちらに合わせて同じドアチャイムの音色に変更された。また01-135Fは運行開始の翌月に灰色のスカートが取り付けられた。後に、スカートの色は灰色から黒になった。01-136Fにもスカートが取り付けられたが、こちらは最初から黒色である。車内にはメトロ時代の広告なども残っている。さらに、側面の熊本電鉄の社章は、メトロのマークの色合いを生かしたものとなっている。
元々は上熊本-北熊本間(上熊本線)で運用されていたが、スカートが取り付けられた後は、藤崎宮前-御代志間(本線)でも多く運用されている。(ただし、一度だけスカート取り付け前に6000系の代走で本線を走行したことがある。)
2016年6月11日より01-136Fにくまモンのラッピングが施され、2017年10月には01-135Fにもくまモンのラッピングが施され、同年10月14日(鉄道の日)より運行を開始した。ラッピングは編成によって異なり、01-136Fは原形を生かした部分ラッピング、01-135Fは東京メトロでの後継車両である1000系風の全面ラッピングとなっている。
保存
- 試作車であり、トップナンバーであり、営団0シリーズの最初の車両でもある01-101Fは、引退後も3両に短縮されて中野車両基地で動態保存されている。
- 地下鉄博物館に01-129Fの先頭車の01-129のカットモデルが展示されている。
- 東京大学柏キャンパスにラストランに使用された01-130Fの6号車(01-630)が譲渡され、実験用に使用されている。
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関連項目
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