covidiotとは、2020年3月に英語圏で広まったスラング(俗語)。
疾患名「COVID-19」(いわゆる「新型コロナウイルス感染症」のこと)と「idiot」(バカ、間抜け)を合わせた言葉である。
概要
「COVID-19」とは2019年に中華人民共和国の武漢市で患者が発生し、その後2020年には世界中に広まってパンデミック状態となったウイルス感染症である。
そして2020年3月には「COVID-19の蔓延状況で愚かなことをする人」を指す言葉として「idiot」とかけた言葉、「covidiot」が使用されるようになった。
要するに駄洒落での俗語・悪口なので「正確な意味」と言ったものはないが、以下の「バズった」ツイートに掲載された画像内に表示された辞書風の定義文がだいたいの使われ方をよく示している。
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https://twitter.com/OfficialTerry1/status/1241415992447766531
covidiot noun
- a stupid person who stubbornly ignores ‘social distanding’ protocol, thus helping to further spread COVID-19.
‘Are you seriously going to visit granma?
Dude, don't be such a covidiot.’- a stupid person who hoards groceries, needlessly spreading COVID-19 fears and depriving others of vital supplies.
‘See that guy with the 200 toilet paper rolls?
What a covidiot.’
以下はその和訳例。
covidiot 名詞
1.では「COVID-19を警戒せずに予防策を取ろうとしないバカ」を指し、2.では「COVID-19を過剰に警戒して買いだめに走るバカ」を指している。両極端なバカの双方を指しうる言葉だと言えるだろう。
しかし要するに「他人を攻撃する悪口」である。この言葉が流行するということは、英語圏でもCOVID-19のせいで社会がギスギスし始めていることをも示しているとも言えるかもしれない。
また、この言葉を他人に向かってなんのためらいもなく使用できる人は「自分はそんなバカじゃないけどね!」という根拠不明の自信を持ってしまっている可能性がある。その自信が実態から乖離していた場合は、周囲から「お前が言うか」という目で見られてしまうかもしれない、危険な言葉でもあるだろう。
他人を攻撃するための言葉では無く、「自分もcovidiotになっているかも……」つまり、「自分も感染防止策が不十分かも……」または「必要以上の恐怖心で暴走しているかも……」と、自らを省みるための言葉として使えたら素敵ですね。
流行過程
この言葉はCOVID-19が英語圏で流行し始めてすぐに生まれた言葉では無いようだ。
Twitterで過去の「covidiot」という言葉の使用例を検索した(2020年3月23日時点)ところ、「COVID-19」が発生した後に初めてこの言葉が使用されていたのは2020年2月26日であった(検索時点で消えていたツイートや鍵アカウントのツイートは検索結果に出てこないが)。
その後も、3月上旬~中旬くらいまでの間は、日に数人~十数人くらいしか使わない単発的な使用に留まっていた。この頃は、当時のアメリカ合衆国大統領「ドナルド・トランプ」氏への悪口として使われていることが多かったようである。3月13日にトランプ大統領がこの疾患の蔓延に対して国家非常事態宣言を行った際には、これに対しても「covidiot」という言葉で非難している人が少なくなかったようだ。
だがその後、アメリカ合衆国やその他の国々でCOVID-19の蔓延が拡大していくにつれて、この言葉もじわじわと広まっていた。
そして2020年3月21日、突然この言葉が一気に広まり、使用例も急増し、Twitterの世界トレンドランキングにハッシュタグ「#COVIDIOT」が掲載された。その後には、ケニアの国家警察庁の公式ツイッターがこの「#COVIDIOT」を含むツイートをしたほどである。
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https://twitter.com/NPSOfficial_KE/status/1241674878610214915
なぜこの言葉がこのタイミングで一気に広まったのかについては、どうも複数のニュースサイトでこの日「covidiotという新しい言葉が生まれているぞ」「俗語のオンライン辞書サイト「Urban Dictionary」にも掲載されているぞ」といった内容の記事を掲載したからであるっぽい。そしてそのニュースでこの言葉を知った人たちが使い始めたっぽい。
例:
- Covidiot: Those hoarding during pandemic times have a new name
- Urban Dictionary Has a Name for Those Hoarding Essentials in Times of Coronavirus
こういったニュースサイトは他のニュースサイトから記事を引っ張ってくることが多いが、どこが最初に報じたサイトかはよくわからない(記事のクレジットに、日付までは載せていても時間までは載せていないサイトが多いため)。
Urban Dictionary
ちなみに、それらのニュースサイトに引き合いに出された「Urban Dictionary」には確かに「Covidiot」の記事がある。
このサイト「Urban Dictionary」では複数の「説明文」が投稿できるが、最初の説明文は2020年3月14日に投稿されたもののようだ。上記のようにその前日の3月13日は「トランプ大統領への悪口」としてこの「covidiot」という言葉がやや多めに投稿された日であり、この「最初の説明文」も「こういった人たちはトランプに投票しがちである」といったような、トランプ大統領支持者を露骨にあてこするような文章も含んでいた。
ただし「Urban Dictionary」では、複数の説明文は投稿順ではなく評価順に表示される。この「最初の説明文」は政治的な非難を含みすぎていて敬遠されたのか他の説明文に評価ポイントで抜かれており、「最初に表示される説明文」ではなくなっている。
関連項目
- COVID-19(新型コロナウイルス、SARS-CoV-2)
- 新型コロナウイルス関連用語
- スラング
- 俗語
- 誹謗中傷
- Urban Dictionary
- 社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)
- Stay the Fuck at Home
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