XXI型とは、ドイツ軍Uボートの型番の一つである。その先進性は後の潜水艦に大きな影響を与えるほどであった。
その特徴や性能から「電気Uボート」や「奇跡のUボート」などと呼ばれる。
概要
大戦末期、連合軍の潜水艦狩りに悩まされて開発したのがこのXXI型である。方向性としては、それまでどちらかといえば水上航行をメインにおいていた艦形や装備を見直し、さらに潜行時間の長期化を図るというもの。そのため艦形はは流線型に、また当時としては潜水艦の装備として一般的だった大砲を撤去、対空機関砲も水の抵抗を減らすカバーつきとなっている。潜行時間に関しては蓄電池をこれでもかと積みまくって長期化を行った。
またブロック工法を導入し建造の効率化を図っていた。
しかし、初期不良や乗員の練度不足さらに燃料不足もあいまってそもそも出撃できた艦が少なく、ろくな戦果を残せなかった。
しかしその設計思想や性能は戦後各国に大いに参考にされ、あちこちに影響を与えた。
また西ドイツでは自沈した唯一のXXI型をサルベージ、改修の後運用に当たっている。ついで敵国だったソ連も鹵獲したXXI型を自国の水中高速潜水艦が揃う1950年代まで一定数を使用している。ここからも本艦の優秀さが見て取れるだろう。
XXI型の長所
- 最高水中速力が速い。XXI型の最高水中速度は17.2kt。当時としてはとんでもなく速く、他のドイツ潜水艦と比較しても倍以上の速度。
- 当時の技術では駆逐艦が12kt以上の速力を出すと雑音で駆逐艦の聴音機が使用出来ず、XXI型が速力を上げれば追跡不能になる。
- 水中航続時間が長い。6ktで静音航行した場合48時間連続潜行できる。当時としては考えられないほど長い。
- 電動機も静粛性に優れたものを別で配置しており、使用時は船型も相俟って探知が困難。
- 魚雷発射管の配置が当時としては特徴的で、艦首にのみ6基装備している。現在は誘導魚雷の一般化などにより当たり前のあり方だが、当時としては異色。
- 魚雷発射管に初めて自動装填装置を導入。10分あれば6基全てに再装填できる。
- 魚雷の射撃指揮装置がハイテク。捜索用&攻撃用ソナーを解析し、どんな状況でも十分な精度で攻撃可能だった。当時は潜望鏡で狙いをつけるのが普通だがそれすらも必要としない。
- ブロック建造方式により量産性に優れている。起工から就役まで約半年で完了。最高で月産22隻の月もあった。
- 戦後行われた対潜訓練では、当時世界最強の対潜能力を誇った米英軍でさえも探知できなかった。
まさしく ナチスの科学は世界一チイイイイ!!
SH的に言えば公式がチート。
XXI型の短所
- 現場の問題
・建造を始めたが、XXI型の設計がまだ済んでいない見切り発進。これにより一回完成しても後にまた改修工事のため造船所に戻る事が多い。
・ブロック建造方式で内陸部の工場も使って時間短縮が出来るが、造船所内でブロックを移動させる為の新たな設備投資が必要(設備に50万tの鉄鋼が必要だが、これは初期設計に含んでいない計算外)
・政治的介入、圧力がある(総統の誕生日にお披露目するから一隻完成させろ、欠陥油圧システムを採用しろ等)
・戦略爆撃で部品が遅れる、届かない。親族の安否確認で労働者が欠勤したり、鉄道破壊されて戻って来れず労働者不足。
・楽観的建造計画に予定に合わせる為、次のラインに未完成ブロックを送り、次のラインで想定外の作業が発生して遅れる。 - 初期不良の問題
・性急な設計のせいでほぼ全てに何かしら悪影響がある。
・初期の油圧システムが予定の性能を出さない上に構造が複雑高価なのに採用し、後日別の代替品を採用。
・初期の水中速力が予定より低かった。急速潜行時間を短くする為に海水通水口を開けすぎて水中抵抗が多かった。
・蓄電池から電動機の配線が拙く、たまに小さな爆発を起こす。
・蓄電池自体も旧来の改良品だが若干無理があったのか、たまに小さな爆発を起こす。
・艦の電気配線は量産を考慮したものだが位置が拙く、過剰な磁場を作り出す。(磁気を探知に使う兵器に弱い) - 時間的に解決出来なかった問題
・電動機が予定の最高出力を発揮出来ず、最高速力は17kt台に留まる(計画では5000馬力、実際には4200馬力。馬力に関しては資料により異なる)
・水中機動性は高いが推進器の角度が若干悪く、旋回半径は大きい(水上半径1000m、水中半径450m。ドイツがでは問題視されたが、米軍はガトー級と一緒だからと問題にしていない)
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関連項目
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