り地域とは、日本の安全保障上の貿易管理制度において、輸出先の国や地域を信頼性の度合いによって分類したカテゴリーの一つ。 り地域は2019年7月現在、韓国だけが指定されている。
概要
武器や軍事転用可能な物資・技術が、自国及び国際社会の安全性を脅かす国家やテロリストに渡るのを防ぐ目的で、日本をはじめとした先進国では安全保障貿易管理が行われており、品目ごとに輸出先の国や地域の状況に合わせて必要な許可など申請方法を変えている[1]。このうち軍事転用の可能性が高い貨物や技術をリストアップして輸出管理を行うのがリスト規制である[2]。日本ではリスト規制における輸出先の国や地域の分類として「いろは」を使用している。
また、リスト規制外の貨物や技術の輸出管理を行うキャッチオール規制も行われている。キャッチオール規制では食材や木材を除くすべての貨物と技術が規制対象となっているが、輸出先がホワイト国の場合は規制対象外となる。[3]
※ホワイト国…厳格な輸出管理を行っているとしてキャッチオール規制の対象外とされた国[4]。リスト規制では「い地域①」にホワイト国と同じ国が分類されていた。
2019年7月、経産省は韓国向けの輸出管理を見直すことを発表した。まずキャッチオール規制においては韓国をホワイト国から外すための手続きを開始。同時にリスト規制対象の3品目(フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミド)については個別輸出許可(※後述)に切り替えた[5]。この個別輸出許可への切り替えのため韓国は「い地域①」から削除され新設の「り地域」というカテゴリへ移動した[6]。これにより、今後は韓国だけを対象とした貿易管理が可能になった[7]。
※これまでは最大3年を限度として一括して許可を行なう「包括許可制度」が適用されていた。
なお、一部ブログ等でいろは順に信頼度のランク付けがなされており「り地域」が最下位であるような記述が見受けられるが誤りである。これは先頭の「い地域①」にホワイト国、これまで最後であった「ち地域」にイラン、北朝鮮、スーダン、ソマリアなどが分類されていることによる誤解と思われる。
実際に分類を見てみると3番目の「ろ地域」に北朝鮮が含まれていたり、アメリカが10番目の「と地域①」にも含まれていることから上記のような記述が誤りであることが判る。
先に記載した通り「り地域」は3品目の対韓輸出を個別許可制にするために新設されたものであるため、大半の品目では「い地域①」(≒ホワイト国)と同じ申請書類・窓口を使用することになっている(運用改正実施の2019年7月4日時点)[8] [9]。
ちなみに韓国同様に先端プロセスの半導体製造を行っている台湾とイスラエル(インテルの工場がある)はホワイト国では無く、リスト規制ではシリアやコソボと同じく「ろ地域、に地域①、に地域②、へ地域、と地域①、と地域②」に分類されている。
関連リンク
関連項目
脚注
- *安全保障貿易管理**Export Control*安全保障貿易の概要2019.7.20
- *安全保障貿易管理**Export Control*リスト規制2019.7.20
- *安全保障貿易管理**Export Control*キャッチオール規制2019.7.20
- *なぜ韓国は「ホワイト国」から外されるのか(時系列まとめ) - ITmedia NEWS2019.7.20
- *なぜ韓国は「ホワイト国」から外されるのか(時系列まとめ) - ITmedia NEWS2019.7.20
- *(1)輸出貿易管理令の運用について2019.7.20
- *韓国への半導体材料輸出規制はどんな内容か?(特別寄稿)2019.7.3
- *安全保障貿易管理**Export Control*申請書類・窓口一覧(貨物)2019.7.20
- *安全保障貿易管理**Export Control*申請書類・窓口一覧(技術)2019.7.20
- 30
- 0pt