バックスクリーン3連発とは、1985年4月の甲子園球場における阪神巨人戦で、7回に阪神タイガースのバース・掛布・岡田が3者連続でバックスクリーンへ放ったホームランのことである。
概要
伝統の阪神巨人戦でクリーンアップが3連発すれば、熱狂的な応援で知られるタイガースのファンが狂喜乱舞するのも当然で、しかも相手はジャイアンツのエース槙原、おまけにすべてバックスクリーンへ飛び込んだのだからこんなに気分爽快な試合もそうそうないであろう。厳密に言えば掛布の打球はバックスクリーンのやや左だったのだが、この際そんな些細なことはどうでもいいのである。試合後甲子園球場に響くタイガースの応援歌「六甲おろし」のボリュームが、いつもより大きかったことは言うまでもない。
気の毒なのは小鹿のような表情で呆然とする槙原である。バースに打たれた時点ですでにショックを受けてマウンドにしゃがみこんでいたが、わずか6球で3発を浴びて逆転されたのだから、ピッチャーとしては屈辱的な結果となった。センターを守っていたクロマティも「何ヤッテンダ、マキハラ!」と思ったことであろう。タイガースにとっては夢のような3連発が、槙原にとっては悪夢となったのである。彼は後のインタビューで、『僕が阪神打線に火を付けてしまった』と語っている。1番真弓も好調だったこの年の阪神打線は、まさに猛虎打線というに相応しいラインナップを誇ったのである。
史上最強の助っ人と言われたランディ・バースはこの年見事三冠王に輝き、不動の4番・掛布雅之と東京六大学のスター選手だった岡田彰布はタイトルこそバースに独占されたが共にベストナインに選ばれ、3人は21年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。勢いに乗る阪神タイガースは、西武ライオンズとの日本シリーズも制して日本一に輝いたのである。シーズン合計129本のホームランを記録した強力クリーンアップが放った”バックスクリーン3連発”は、阪神ファンだけでなくプロ野球ファンの記憶に残る出来事となった。
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