刺胞とは、刺胞動物特有の細胞小器官である。
本稿では、基本的に「毒針」としての役割を果たす貫通刺胞について解説するものとする。
概要
ものすごく乱暴に言うと、細胞サイズの毒針。
中空の「刺糸」という機構を持っており、物理的または化学的な刺激に反応して刺糸を射出し、対象物に毒素を注入する。
刺胞動物はこの刺胞により、餌となる生物を捕獲したり或いは自己防衛を行なっている。
この刺糸が射出される速度は銃弾のそれに匹敵し、「生物界最速の動きをする機構」と呼ばれることもある。
しかし、どういったメカニズムでこれほどの速度で刺糸を射出するのかは未だにわかっていない面が少なくないらしい。
一部の刺胞動物は人間にも甚大な被害を与えるほどの強力な毒素を持っていることもある(カツオノエボシ、キロネックス等)。
刺胞のどんなところがすごいの?
刺胞は人によっては「細胞の傑作」と評されることもある。
それほど高度な細胞小器官なのだ。
で、どこがすごいのかというと…
- 刺糸が伸びるときの速さは時速にして130km/hを超える
ある研究によれば、刺糸が伸びる速度は時速にして134km/hに達するという結果が出ているらしい。
この数値は「数字だけ」を見れば特急電車とあんまり変わらない速度に思える。
が、これは我々の肉眼で見える世界ではなく、細胞というミクロの世界の出来事だ。
これを我々の肉眼で見える世界の数字に換算するととんでもないことになる。 - 射出時の加速度は54万Gを超える
これで刺胞が毒針を射出する速度の異常さがなんとなくでもわかるだろう。
これまたとある計算結果によると、毒針を射出する瞬間の加速度は54万Gを超えているという。重力加速度の54万倍以上である。 - 発射時の細胞内の圧力は150気圧に達する
これほどまでの速度で刺糸を射出するために、発射時には細胞内の圧力は150気圧に達するという計算結果が出ている。一体どうやってこれだけの圧力を発生させているのか、未だに理解できていない部分が非常に多いらしい。
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関連項目
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