概要
シダ植物(英:pteridophytes)とは、陸上に生える植物で最初に維管束を保有したグループ。体は茎を軸に根、葉を生やし、それぞれを維管束で繋いで水分や栄養の運搬が効率化されている。このため、シダ植物よりも古く維管束が無いコケ植物よりも巨大化することが可能となり、最初に樹木を生み出したのもシダ植物である。
シダ植物は胞子により繁殖する。しかし、カビやキノコのような菌類とは異なり、胞子からそのまま同じシダが生える訳ではない。胞子からは配偶体の一種である前葉体が発生し、前葉体が成熟すると精子と卵子を形成して有性生殖を行う。そして、その受精卵からシダの本体となる胞子体が生える。前葉体は自身で光合成ができる独立栄養形態であるが、一部のシダでは共生菌類に依存して発生するものがあり、配偶体としか呼びようが無い感じである。
分類構成
シダ植物は、古く下記の4分類で構成されていた。近年の遺伝子解析による分類の見直しにより、再編成が行われている。
無葉類
名前のとおり、葉が無いグループ。現生種ではマツバランが該当し、葉だけでなく維管束が通った本格的な根も持たない。その代わり、地下茎から菌糸のような仮根を地中に広げる。最も原始的なシダのグループとされ、化石種でも最も古いシルル紀後期の地層から発掘されている。
ところが、現生種の遺伝子解析によって大葉類のうち真嚢シダ類の一部と高い共通性が確認された。この結果から、無葉類の現生種は二次的に根と葉を喪失した可能性が示唆されており、古生代の化石種とは系統的に直結しない可能性が強く疑われている。
大葉類
大きな葉を持つ、最も「シダらしい」外見のグループ。大葉(だいよう)とは、茎が平面方向に細かく枝分かれして形成される葉のこと。シダ植物の代表種である裏白や、山菜であるワラビ、ゼンマイ、コゴミことクサソテツ、観葉植物のシノブやビカクシダなどが含まれる。現生する樹木シダであるヘゴも、この大葉類である。
大葉類は胞子嚢の構造から真嚢シダ類と薄嚢シダ類に大別され、現生する殆どの大葉類は薄嚢シダ類である。遺伝子解析の結果、無葉類が真嚢シダ類とされた一部のグループと近縁であることや、楔葉類や種子植物よりも小葉類との類縁関係が遠いことが判明した。
楔葉類
茎が明確に節を形成し、この節を取り巻くように小さな楔状の葉を生やすグループ。葉が小さいのと茎が緑色であることから、光合成は主に茎で行う。現生種ではスギナ(ツクシ)、トクサなどが知られる。
小葉類
茎から杉の葉のような細くて小さめの葉を密生させるグループ。小葉(しょうよう)は、先に述べた大葉とは異なり茎の突起に内側から維管束が枝を伸ばして生じる葉である。現生種ではヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラなどが知られる。
近年の遺伝子解析により、古くから考えられていたよりも他のシダ類や種子植物とは大きく系統が離れていることが判明した。
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関連項目
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