ETR300とは、イタリア国鉄が開発した優等列車用電車である。本項では派生系列のETR250についても記載する。
概要
第二次世界大戦後、イタリア国内の復興が進むにつれ、鉄道の利用客が増加していた。その為、イタリア鉄道では戦争で被災した車両を修復する一方で、次世代の新型車両の製造も行っていた。内装を豪華にし、今までに無い高速運転を前提とした設計とし、完成したのがETR300である。
この車両は全席1等車として製造され、内装は着席定員こそ少ないものの全席1等席となっており、非常に豪華な内装であった。また、先頭車両には展望席を設け、前面展望スペースを乗客に提供したり、車内公衆電話を取り付けるなど、今までに無いサービスも行っていた。外見も展望席を設置する関係から運転席が展望席の上に設置されていたり、編成を容易に分割できるよう連接台車とボギー台車を上手く組み合わせて使用していた。高速運転に対応する為、最初から設計最高速度は200km/hに設定されており、営業最高速度でも160km/hとなっていた。
この車両で使用された技術やデザイン、サービス等は他国の鉄道にも大きな影響を与える結果となった。日本でもこれを参考に前面展望の優等列車用車両を作る動きがあり、名鉄や小田急、国鉄(後のJR)も似た構造を持つ前面展望車両を作る事となった。
対応電源は直流3kVのみで実質国内線用車両であった為、主に国内の優等列車の運用に就いていた。国内のみ運行する列車であればTEEの運用に就く事もあった。
1992年に定期運用を終え、現在は第二編成が運行当時の姿で保存されているほか、ETR250の最終編成の先頭車がETR300第一編成のレプリカとして復元され、静態保存されている。
ETR300
1952年に落成、当初の予定では7両編成8本が製造される予定だったが、1編成あたりの製造コストが非常に高かった事や、製造の遅れなどもあって結局3本しか製造されなかった。現在は第2編成だけがアンコーナ郊外の駅(Falconara Marittima)の奥にある留置線で保管されている。Google Earthやストリートビューでも確認可能。車両の愛称は七つの美と言う意味を表す「セッテベッロ(SetteBello)」。
ETR250
3本しか製造されなかったETR300の代わりに製造されたのがETR250で、こちらは4両で1編成となっている。編成が短くなった事以外は基本的にETR300と変わりは無い。現在は最終編成の先頭車が、ETR300第一編成のレプリカとして保存されている。オリジナルの姿で保存されているものは無い。車両の愛称は喜劇の中の道化師、「アルレッキーノ(Arlecchino)」。
関連動画
関連商品
イタリアの鉄道模型メーカー「ACME
」からHOゲージが発売されている模様。価格を気にするくらいならパノラマカーかロマンスカー、フジサン特急辺りで妥協しておく事をおススメします。
関連コミュニティ
関連項目
- 3
- 0pt

