だから私はマジアベーゼなんですとは (ダカラワタシハマジアベーゼナンデスとは) [単語記事]

だから私はマジアベーゼなんですとは、"魔法少女にあこがれて"の主人公マジアベーゼ(柊うてな)の台詞である。

概要

魔法少女が大好きな普通の少女柊うてなは、謎のマスコットヴェナリータによって悪の組織エノルミータの女幹部マジアベーゼとなった。当初は魔法少女三人組トレスマジアと不本意ながら戦うベーゼだったが、虐げることで悶える魔法少女の顔を拝めることや折れることなく立ち向かってくる魔法少女の姿に興奮を覚え、トレスマジアとの戦いを楽しむようになっていく―――。

トレスマジアと日々戦いを繰り広げるベーゼとレオパルト(阿良河キウィ)、ネロアリス(杜乃こりす)。そこへ、魔法少女狩りのために遠征していたエノルミータ初期メンバーロードエノルメたちが帰って来た。ベーゼたちのこれまでの活動の映像を見たロードは、実にくだらんと一蹴した。

特にベーゼ貴様は何がしたい?
魔法少女を倒す気があるのか?
トレスマジアを縛り・服を剥ぎ
なじり・嬲り・乳繰り合うばかり
ふざけているのか?

初対面の相手からマジレス身も蓋もないことを言われ、思わず赤面するベーゼ。本気で世界征服を目論んでいるロードにはベーゼたちの行動が全く理解できなかった。だが逆にベーゼも、本気で世界征服に挑み、その障害となる私の魔法少女を狩るロードには賛同できなかった。

そしてロードはエノルミータを離脱し、ロード団を設立。ベーゼたちエノルミータと戦いを繰り広げることになる。

ロード団のロコムジカ(阿古屋真珠)とルベルブルーメ(姉母ネモ)を仲間に加えたベーゼたち。ロード団はベーゼたちを倒すため、部下であるシスタギガントと自身の魔力で生み出した魔物の大群を街に送り込んできた。レオパルトたちにシスタと魔物の相手を任せて、ベーゼは一人でロードとの戦いに挑む。

だが、ベーゼはあっさりロードに捕縛されてしまう。ロードとベーゼの力の差はそれほど大きかった...というのもあるが、ベーゼ自身が絶不調だったのだ。

何故我が野望に歯向かった? 破滅主義者か貴様
それともよもや正義の心にでも目覚めたか?
私の世界征服から有象無象の愚民どもを守ろうとしたのか?

なぜならベーゼは「世界征服なんて子供みたいなことをのたまう成人くらいの女性」になんて、全く興奮できないのだ。

ずっと何言ってんだこの人

呆れるベーゼにお構いなしに、ロードは変なポーズで語り続ける。どうにか脱したいベーゼは、自身の認識を無理矢理歪めて「ロードは生意気な幼女」だと思い込み、強引にテンションを上げてみせた。調子を取り戻したベーゼの魔力が上がっていき、ゆっくりと楽しそうに言葉を紡いでいく。

私が正義に目覚めたと...そう言いましたね
か弱き人々を守り平和のために戦う
それは魔法少女の役目そうあるべきです

理解できず眉をひそめるロードに、ベーゼが笑いかける。

だから私は

マジアベ
ｌ
ゼ

なんです

捕縛を吹き飛ばし、ベーゼは新たな姿へと変貌する。動揺しながらも、ロードは魔物をベーゼに差し向ける。ロードの魔力が続く限り魔物を倒すことはできない―――はずだった。ベーゼはロードの魔物を自分の魔物に作り変え、それはロードに牙を剥く。状況に理解が追いつかないロードに向けて、ベーゼは謳う。

いつか――― どこかで
誰かがわたしを倒すでしょう
けれどそれは今ここではなく
あなたにでもない

魔物がロードに纏わりつき捕縛する。強い者と弱い者、奪う側と奪われる側、先程までの二人の関係は完全に逆転してしまった。

ロードの指摘とは異なり、マジアベーゼ自身は正義に目覚めたわけではない。人々のために平和のために戦うのはベーゼではなく、正義のヒロインたる魔法少女なのだ。ベーゼとは魔法少女を輝かせるための"悪役"であり、だからこそ魔法少女を―その輝きを砕こうとする"悪"は全力で排除する。魔法少女のためだけに存在する"悪役"。それがマジアベーゼであり、それ故に魔法少女を狩ってきたロード団とは相容れることができない。
初対面のときロードに突きつけられた「貴様は何がしたい」という問への回答であり、マジアベーゼとしての在り方を確固たるものとした決意表明である。