ジョニー・ウィンターとは (ジョニーウィンターとは) [単語記事]

ジョニー・ウィンター(John Daw son Winter Ⅲ、1944年 2月23日 - 2014年7 月16日)とは、米国テキサス州ボーモント出身の”100万ドルのブルースギタリスト”であり、”永遠のブルースマン”である。アルビノの著名人のひとり。また弟のエドガー・ウィンターもアルビノでありミュージシャン(キーボード兼サックス奏者)である。

概要

略歴

1944年２月２３日ジョニー・ウィンター誕生。
幼少期はクラリネットの演奏をしていたが、成長の過程でジョニーの歯がクラリネット向きじゃなくなったためギターに転向する。

1969年 CBSと契約し1st アルバム『Johnny Winter』をリリース。契約金が巨額だったため「100万ドルのギタリスト」として売り出される（実際の契約金は30万ドルだったらしい）。
1970年『Second Winter』リリース。
1971年『Johnny Winter And』リリース。ヘロイン中毒によりしばらく音楽シーンから遠のく。
1973年『Still Alive And Well』をリリースし復活を宣言。トレードマークであるFirebirdⅤはこのアルバムから使用。

1977年『Nothin' But The Blues』リリース。本アルバムにてブルースに原点回帰する。

1983年『Guitar Slinger』リリース。グラミー賞にノミネートされる。ヘッドレスギターのレイザーの使用はこのあたりから。
1984年『Serious Business』リリース。グラミー賞にノミネートされる。
1985年『Third　Degree』リリース。グラミー賞を受賞。

1990年初の日本ツアーが組まれるが中止となる。このあたりから体調不良により、一時音楽活動から遠ざかる。

2004年 12年ぶりのアルバム『I'm A Bluesman(放題：永遠のブルースマン)』をリリース。

2011年カバーアルバム『Roots』をリリースし、同年4月13日〜15日の三日間、初の来日ライブが実現する。

2014年 7月16日、スイスのチューリッヒにて死去。70歳だった。同年4月の来日が最後の来日となってしまった。

同年9月、『Roots』の続編とも言える『Step back』をリリース（当初のレーベルとの契約では、あとカバーアルバムを2枚発売する予定だった）。

使用機材

初期の音楽活動においてはFender Mustang（トレモロからブランコテールピースに変更）、Electric Ⅻ(12弦ギターだが複弦を張らずに使用)、Epiphone Wilshere等を使用しており、これといって決まった機材を使用していたわけではなかったが、共通してトレブリーなサウンドの出るギターを使用していた。

トレードマークであるFirebird Ⅴは『Still Alive...』から使用しており、板バネのトレモロはストップバーに換装されている。基本的にピックアップはフロントを使用。晩年はスライドのときのみ Firebirdに持ち替えていた。

1980年代からはマーク・アールワインの製作したヘッドレスギターのレイザーを使用している（スタインバーガーではない）。当初は韓国におけるライセンス生産品である黒いレイザーを使用していたが、後にアールワイン自身が製作した白いレイザーを使用するようになる。しかし白のレイザーは盗難にあってしまい、再度黒いレイザーを使うようになった。スライドの演奏以外は原則としてレイザーを使用している。チューニングは1音下げであることが多い。

アンプはここ40年ほどはMusic ManのHD410を使用し続けている。パワーチューブのハイブリッドアンプであり、セッティングはトレブル10、ミドルとベースは0、ギター側のボリュームとトーンは全開にしてある。

エフェクターはMXRのPhase90を使用していたが、現在は専らBossのコーラス(CE-2)を使用している。

プレイスタイル

ピックはサムピックを使用し、とにかく弾きまくるプレイが特徴。一般的なブルースギタリストと比べ、タメを効かせる事が少なく、代わりに所狭しと音を叩き込むことで、ジョニー特有の疾走感が生まれる。これは通常の演奏でもスライドのプレイでも同様である。

スライドギターの際のチューニングは主にオープンEとオープンAを好むが、曲によってはオープンD、オープンGも使用。

エピソード

身長 180 cm（若いころは182 cm）、体重50kg台のガリガリな体躯が特徴。弟のエドガーは175 cm前後らしい。
1961年にB.B.キングのライブに飛び入り参加したことがある。「オレの曲のアレンジを知らないだろう？」といったB.B.に対し、「あなたのレコードは全部持っています。入っている曲のアレンジもすべて知っています」と答え、B.B.の愛器である”ルシール”を借りて演奏。観客からスタンディングオベーションを受ける。
シカゴ・ブルースの父として知られるマディ・ウォーターズとは仲が良く、マディはジョニーのことを「義理の息子」と呼んで可愛がった。
最近B.B.キングに”引退したい”と相談したところ、「オレより20も年下のオマエが引退だなんてとんでもない。弱音を吐くな！」と怒られた。
ロック畑にも、ジョニーをリスペクトしているミュージシャンは多い。
- エディ・ヴァン・ヘイレンは、”フランケンシュタイン”から新しいギターに乗り換える際に、フロントピックアップの音は「Johnny Winter And Live」のみたいな音にしてくれとオーダーした。
- エアロスミスのギタリスト、ジョー・ペリーもジョニーの大ファンであり、ジョニーの遺作『Step back』で共演を果たしている。ゲスト参加オファーが来た時には「ジョニーのためじゃなかったらやらないよ」といって喜んでオファーを引き受けた。また「本作のプロモーションのためならなんでもする」とまでいったという。
- デレク・トラックスとはCrossroads Guitar Fe stivalで共演。引きまくるジョニーのそばで終始笑顔でバッキングを続け、共演後には握手を求めに行った。また『Roots』にも妻のスーザン・テデスキと共にゲスト参加している。
ヘロイン中毒の治療にメタドンを服用していたが、日本では認可されていない薬のためこれまで来日できなかった。
現在はメタドンを一切服用しておらず、ヘロイン中毒の完治に成功した。