ノルベルト・エリアス(1897~1990)とは、20世紀後半の再評価で一躍有名となった社会学者・歴史学者である。
ドイツのブレスラウ(現ポーランド領ブロツワフ)のユダヤ系商人の家に生まれた、第一次世界大戦のころにはすでに前線に出ており、後半は本国で衛生兵として勤務しながら医学を学び、心理学を経て最終的に哲学の道を選んだ。
その後社会に出た経験から社会学を学ぶことを決意し19228年にハイデルベルク大学に入学、カール・マンハイムと出会う。そして1930年からはフランクフルト大学の教授となり、ゲシュタルト心理学のヴェルトハイマーらと親睦を深めた。ここでかの有名な『宮廷社会』を書き上げるのだが、1933年ナチスが権力を握るとユダヤ系であったエリアスは職を追われ、最終的にはほとんど英語ができないにもかかわらずイギリスで細々と暮らし、第二次世界大戦中は抑留までされるに至ったのである。
エリアスはイギリスではほとんど無名の状態であり1970年代からようやくドイツのビーレフェルト大学、オランダのアムステルダム大学といった大学から招聘されるようになるも、失明状態に陥り口述筆記で論文を書いた。こうして彼は最終的にはアムステルダムで生涯を終えたのであった、
彼の基本的観点は一貫しており、『宮廷社会』、『文明化の過程』、『ドイツ人論』など儀礼や作法、ふるまい方から歴史的現象の成立に着目している。例えば宮廷の中では国王も含めてそれぞれの身分を席次やマナーで「図柄」としてあらわされる、などである。そしてその図柄は固定化されたものではなく「長期過程」の中で変化していくものなのだ。
ここに見たように彼の研究的視点はアナール学派と似通ったものであるが、孤独に過ごした彼はほとんど独自にこの境地に達することとなった。そのためある意味アナール学派の興隆によって再発見されるという逆転現象が起き、今となっては決して無視できない存在となったのである。
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最終更新:2024/04/19(金) 10:00
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