ハイコウイクチス 単語

ハイコウイクチス

ハイコウイクチスとは、カンブリア紀中期に生息していた脊索動物の一種。現在判明しているもっとも原始的な魚類のひとつ。

概要

ハイコウイクチス澄江動物群のひとつで今から5億3500万年前くらいに生息していた。現在のところもっとも原始的とされている魚類はおなじ澄江動物群のミロクンミンギアであるが(wikipediaではミロクンミンギアとハイコウイクチスを同一種として扱っているようである)、ミロクンミンギアは眼が未発達でせいぜい明るさを感じることしかできなかった。ハイコウイクチスはを像として見ることのできる眼をもった最初の魚類である。眼を獲得することで外敵からいち速く逃げ出すことが出来るようになったのである。

魚類といっても、ハイコウイクチスの特徴は現代の魚類とは著しく異なっていた。まずあごがく口は開きっぱなし。おそらくを吸い込んで中に含まれるプランクトンを濾しとって食べていたと思われる。そして硬い格を持たず、体の中心に走っているのも背ではなく脊索という筋肉の束である。ただこの脊索という「体の軸」を獲得したことで、ハイコウイクチスは当時の生物としてはかなりすばやく泳ぐことができた。尾びれを持っていなかったため現代の魚類よりは泳ぐのはうまくなかったが、それでもアノマロカリスのような捕食生物から逃げ出すには十分だった。

このハイコウイクチスとミロクンミンギアの発見により、それまで「脊椎動物共通の祖先」とされていたピカイアはその座を降りることとなった。

ハイコウイクチスの化石を一般開しているのは世界でただ一か所、愛知県蒲郡市の「生命の海科学館exit」のみである。他にもシダズーンなどの澄江動物群やアノマロカリスピカイアといったバージェス動物群などの非常に保存状態の良い化石がそろっているので、こじんまりとしている割に入場料は高額だがカンブリアモンスターファンは訪問してみると良いだろう。

関連動画

この動画ではハイコウイクチスがあたかも食であるかのように描かれているが、あごももないハイコウイクチスに生きた動物を食い千切れたかどうかははなはだ疑問である。

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