メソミル

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メソミル（Methomyl）とは、カルバメート系の農薬である。商品名はランネート^®など。

概要

有機化合物
メソミル
(E)-メソミル
(Z)-メソミル
基本情報
英名	Methomyl
化学式	C5H10N2O2S
分子量	162.21
化合物テンプレート

メソミルは、アメリカ合衆国の化学企業デュポンにより開発された、カルバメート（カーバメート）系の殺虫剤である。市販されている製剤の外観は青い粉末で、若干の硫黄臭がある。日本では、毒物及び劇物取締法（毒劇法）において、45%を超える製剤が「毒物」、45%以下の製剤が「劇物」に指定されており、18歳未満の者は購入できない。また、化学物質排出把握管理促進法（化管法）における「第一種指定化学物質」である。

カルバメート系薬物は、神経伝達物質アセチルコリン（ACh）を加水分解する酵素コリンエステラーゼ（ChE）を阻害し、AChの分解を抑制する。蓄積したAChによって神経が持続的に興奮し、中毒症状が引き起こされる。ヒトが誤飲すると、ACh受容体刺激によって瞳孔の収縮（縮瞳）、心拍数や心筋収縮力の低下、気管支の収縮による呼吸困難、消化管運動や消化液分泌の亢進による嘔吐・下痢などが起こると考えられる。

中毒に対する治療として、胃洗浄、下剤投与、症状の緩和のため硫酸アトロピン投与などが行われる。サリンなどの有機リン系化合物中毒の解毒薬として知られるプラリドキシムヨウ化メチル（PAM）は、カルバメート系薬物中毒に対しては効果がなく、むしろPAMそのものに弱いChE阻害作用があるため用いられない。

2016年11月、路上に落ちていたソーセージを食べたイヌが死亡、ソーセージからメソミルが検出された^[1]。2019年4月、メソミルを混入させたエサを与え公園のハトを殺したとして、大学の准教授が逮捕された^[2]。このように、悪用されることもあるため、保管や交付に注意を要する。

関連商品

関連項目

• 生化学
• 医学
• アセチルコリン
• 化合物の一覧
• ニコニコ大百科：医学記事一覧

脚注

1. *ソーセージから農薬用劇物検出 和歌山、食べた犬死ぬ - 日本経済新聞
2. *大東文化大の准教授を逮捕 農薬で公園のハトを殺害 - 日刊スポーツ