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胃とは、消化器の一種である。食道と十二指腸につながっている。
胃液と消化酵素を分泌してタンパク質をアミノ酸に分解し、食べ物の消化活動を行う。ヒトにおいては容量が1~1.5Lと消化管の中で最も大きく広がっている。これはお茶碗にして10杯分ほどである。
基本的に食べたものは3時間~6時間ほど胃に留まってから吸収を担当する小腸へ送られていくが、アルコールは胃で20%ほど吸収される。お酒を飲むとすぐに酔いが回るのはこのため。また液体は10分ほどで通過するので、ジュースを飲むとすぐに血糖値に反映される。
胃は前から見ると「J」のような形をしており、入り口が「噴門」、出口が「幽門」と呼ばれる。噴門部より上に張り出した部分を「胃底」、その下を「胃体」と呼び、カーブの外側を「大彎」、内側を「小彎」と呼ぶ。上のほうが「底」と言うのは不思議な感じがするが、これは死体解剖時に筋肉が弛緩して底に落ち窪んで見えるためという説がある。
実は消化の主役は胃底腺の主細胞から分泌されるペプシノーゲンという消化酵素であり、壁細胞から分泌される胃液(塩酸)はペプシノーゲンを活性型のペプシンに変換しているだけ。胃酸の大きな役割は胃内をpH1~2の強酸性にして外敵を殺菌することである。
そのままでは自分の胃液や酵素で溶かされてしまうので、胃は副細胞から粘液を分泌して身を守っている。これが弱まると粘膜が破壊され、胃炎や胃潰瘍を引き起こす。また食べ過ぎや嘔吐により食道が胃酸で傷害されると逆流性食道炎を引き起こすことがある。上部消化管(食道、胃、十二指腸)から出血すると血中の鉄が胃酸で酸化されて真っ黒になるので、黒い便や吐血が出る。
また胃は鉄を吸収しやすい形に変換するほか、ビタミンB12の吸収を助ける内因子を壁細胞から分泌する。鉄もビタミンB12も造血に関わるので、胃の病変や切除は貧血の原因となる(詳しくは「貧血」の記事を参照のこと)。また胃を切除すると食べ物がすぐ小腸で吸収されるので、血糖値の急激な上昇に対応するためインスリンが過剰分泌されて低血糖を起こしやすくなる。これを「ダンピング症候群」と呼ぶ。
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)はアルカリ性の尿素、アンモニアを産生し、胃の中でも生きることができる。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん等のリスク要因になるとされ、除菌療法が行われている。
牛やヤギなどのように消化しづらい草を主食にするような動物には、機能が分かれた複数の胃を持ち、部分的に消化しては口に戻して噛み、再び飲み込んで消化し・・・という「反芻」を行うものがいる。牛の胃は4つあり、番号の若い順からミノ、ハチノス、センマイ、ギアラとして焼肉で食べられる。
ポケモンのゴクリン、マルノームは身体の大半が胃袋で出来ている。
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最終更新:2025/01/15(水) 12:00
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