白河政朝とは (シラカワマサトモとは) [単語記事]

白河政朝（しらかわ・まさとも　？～ 1510以降不明）とは、陸奥国の戦国大名である。白河結城家8代当主。白河直朝の嫡男。子に白河顕頼、那須資永、白河五郎がいる。別名・義永。

概要

白河結城氏（白河氏）に関する詳細は白河直朝の記事も参照。

父の代からの勢力を受け継ぎ、白河氏の影響力を更に広げてその最盛期を築いた。だが、庶家・小峰氏と対立した末に敗れて行方不明となる。これをきっかけとして白河氏は衰退を始めることになる。

生涯

白河直朝の子だが生年は不明（1440年くらいと推測される）。時代から考えると「政」字は足利義政からの拝領だろうか？

全盛期～円熟期

1454年に父より家督を譲られるが、当時はまだ父が実権を握っていた。1466年に父が出家し、白河氏の運営を一任されるようになる。父が築いた勢力圏を更に広げようと、まずは精力的に外交を行った。1470年には相馬高胤と、1474年には岩城親隆と同盟を結び、東を安泰にする。

1481年、白河城下の鹿島神社で一日一万句の連歌会を開催する。これは白河氏の栄華や威勢を内外に誇示するための大イベントで、父・直朝ら百人が連歌を詠むなどし、見物客も多く参加したという。
政朝は気分を良くしたか、1484年には衰退気味の陸奥石川氏を更に弱体化させ、石川一族・赤坂氏などを配下に取り込むことに成功した。続く1489年には伊達尚宗らと共に佐竹氏の内紛に介入し、分家・山入佐竹家を援護して宗家の佐竹義治を滅ぼさんと侵攻したが、この時は義治の逆襲に遭って敗れる。それでも威勢は衰えることなく、白河氏の名声と勢力圏は父時代以上のものとなり、南奥から北関東にかけて大きく広がっていた。

1500年を過ぎた頃には、那須氏の内紛にも介入しようと画策する。当時の那須氏は上那須家・下那須家に分裂した状態が80年以上も続いていた。白河氏は先々代当主の白河氏朝が上那須家からの養子であるなど、上那須家と友好関係にあった。当時、上那須家の那須資親には実子がなかったので、政朝の次男が養子に送られる（那須資永）。こうして那須氏にも白河氏の影響が及ぶようになった。

内紛、衰退

全盛期真っ只中の白河氏であったが、政朝には悩みの種があった。
白河氏の勢力圏は広いのだが、多くは服属している国人衆などの領地。実は白河氏の直轄領地というのはそれほど大きくなかった。しかも、有力な庶家であり父の実家である小峰氏に至っては白河本家とほぼ同規模の勢力を有しており、当時の当主・小峰朝脩は修理大夫に任じられて官位でも政朝（弾正少弼）をリードするほどであり、この台頭ぶりを危険視していた。戦国時代、多くの大名家がこうした家中の権力構造をどう改革していくかに悩まされる事になるが、白河氏も典型的なパターンであったといえる。

もうひとつの悩みは後継者である。嫡男・白河顕頼は既に壮年に達していたが力量は物足りず、政朝は蘆名氏の姫との間に生まれた白河五郎を溺愛して当主に据えようと考え始める。

1506年、関東で『永正の乱』が勃発し、古河公方・足利政氏とその息子・足利高基が対立すると政朝は政氏を支持した。ところが途中で小峰朝脩が高基方に寝返ってしまい、政朝は遂に小峰氏の排除を決意する。

1510年、政朝は小峰朝脩を攻めて自害に追い込んだ。だが、これに激憤した朝脩の父・小峰直常が白河顕頼と結んで逆襲に転じ、敗れた政朝は資永を頼って上那須家へと逃亡（五郎も追放されたというが行方不明）、あるいはこの時の戦いで戦死したとも言われており、以後の消息は不明となる。これを（白河氏における）『永正の変』と呼ぶ。これを境に白河氏の勢力は大きく衰退の一途を辿ることとなる。