稗貫輝時とは (ヒエヌキテルトキとは) [単語記事]

稗貫輝時（ひえぬき・てるとき　？～1575？）とは、陸奥国の国人領主である。

概要

陸中の国人・稗貫氏の当主。奥州（高水寺）斯波氏一族の生まれで、先代に子がなく養子入りした。通称は大和守。

周辺に翻弄されがちな弱小領主ではあるが、足利将軍家に黄金を献上するなど、戦国サバイバルの中で奔走する記録が残る。

生涯

稗貫晴家の養子となり家督を継いだ。別名として「耀家」「輝家」「輝忠」ほか、「義時」「義一」「初めは武重、のち家起」などが伝わっていて混乱が多い（別人も混じっているのかもしれない）。奥州斯波氏の出身と言われており、斯波忠道の弟と記録されているが肝心の斯波忠道という人が斯波氏の家系図に見あたらないので、結局具体的な事は謎のままである。解せぬ。

1555年に上洛して将軍・足利義輝に黄金10両を献上した。この際、義輝の偏諱を賜って「稗貫輝時」と名乗ったという。わざわざ自ら京都まで直に出向いて外交活動に精を出しているのも、少しでも生き残りや家中統一を図ろうという気概の表れだろうか。

ここで一つ謎があり、当時の公家の日記である「蜷川家記」には、上洛した人物の名前を「稗貫義時」としている。普通、将軍からの偏諱の価値は「義」＞「下一字」なので、義の字を輝の字で上書きするというのは……ちょっと不自然である。かと言って、後年の資料では輝時とか輝家とか呼ばれているので、やっぱり賜ったのは「義」ではなく「輝」なのだろう。まるで意味がわからんぞ！（蜷川さんが漢字を書き間違えた可能性もあるけど）