非実在高齢者とは (ヒジツザイコウレイシャとは) [単語記事]

非実在高齢者とは、戸籍上は生存していることになっているにも関わらず、実際には既に死亡、確認不能あるいは行方不明のために実在しない高齢者のことである。

概要

発端

平成22年 7月に東京都の最長寿とされていた足立区在住の男性(111)が自宅にて一部白骨化しミイラ化した遺体で発見される事件が発生した。この男性は推定30年前に既に死亡していたと見られているが、死亡届が出されること無く戸籍上は生存しているままであった。
足立区の職員がこの男性の111歳の誕生日を祝う記念品贈呈のために自宅を訪れたが、応対した家族（81歳の娘）から本人との面会を断られ、記念品贈呈も辞退された。このため、門前払いの扱いで職員は男性本人の生存確認が直接出来ていない状況であった。
ところが、その後に同男性の家族（53歳の孫）が足立区の千住警察署に出頭し、「祖父は即身仏のミイラになりたいと30年前に自室に篭ったきりである」と説明。同署員が自宅にて男性のミイラ化した白骨死体を発見した。

波及

この事件を発端に、全国に戸籍や住民基本台帳上は生存しているにも関わらず不自然に高齢かつ、直接本人の生存確認の出来ていないケースが多数存在することが発覚し、大きな社会問題にまで発展することとなった。
全国的な調査の結果、所在不明で本人確認出来なかったケースの他、家族が不正な年金受給を目的に本人の死亡を隠蔽していたケースも発覚することとなった。

非実在高齢者

この一連の問題と、同時期に話題になっていた東京都の青少年健全育成条例改正案の非実在青少年に因んで揶揄を込めて、非実在高齢者と呼ばれるようになった。非実在高齢者の他にも非実在老人などいくつかの呼び方も発生していた。
なお、ここで言う高齢者とは、概ね100歳以上または年金受給開始年齢以上の老人を指している。