非実在犯罪とは (ヒジツザイハンザイとは) [単語記事]

非実在犯罪とは、2010年 11月22日に東京都議会に対し自治体東京都が提出した『東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案』に盛り込まれた小説・写真集・実写映画・ドラマ以外のライトノベル・漫画・アニメ・ゲーム創作作品に目標を定めた東京都の条例による表現規制の論点を端的に示した造語・新語である。^[1]

非実在青少年が論点と成った東京都による表現規制を『東京都表現規制条例案2010 春夏の陣』と例えるなら、今度は、『東京都表現規制条例案2010 冬の陣』である。

東京都の表現規制条例である『東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案』のを巡る2010年前半の経緯に付いては「非実在青少年」の項目を参照の事。 → 非実在青少年

概要

2010年 11月22日、東京都議会に東京都青少年健全育成条例の改正案が再び提出された。この改正案では前回の改正案が修正されて問題とされていた「非実在青少年」こそなくなったものの、また問題の多い条例案となっている。例えば、非実在青少年のあった第七条では以下の文面が記載されている。

２漫画、アニメーションその他の画像（実写を除く。）で、刑罰法規に触れる性交または性交類似行為または婚姻を禁止されている近親者間における性交または性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写しまたは表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害する恐れがあるもの

前回の非実在青少年の時には存在していた「18歳未満」という制限がなくなり、描かれているのが成人でも規制対象として含まれるようになり規制範囲は前回よりも拡大した(図解)。

また、新たに「実写を除く」という文章が書かれているが、同じ描写でも実写と創作物では規制にならない・なるという奇妙な状況が生まれている。ただし、この点を攻撃し過ぎるとこの部分を削って規制対象が拡大することも考えられる。

他にも、文の定義にも疑問がある。

「婚姻を禁止されている近親者間における性交または性交類似行為」もどこの国の法律を指しているのかも不明で、仮に他国で兄妹や姉弟での婚姻が認められている実在・架空の国でも日本の法律に基づくのか。そもそも日本では異性との婚姻を前提としているため婚姻不可能な同性愛関係も、近親婚と同じくこの問題が発生する。
「不当に賛美し又は誇張するように、」もどのような基準のもとに主張しているかがわからない。特に、「誇張」は量・文脈・必然性などの基準が考えられるがどれを指すのかがわからない。