本項目では1~4について解説する。それ以外は該当項目を参照されたし。
SFとは、小説や映画などの創作作品におけるジャンルの一つである。
ある単一の決まりきった定義が存在せず、時代や地域、書き手によってさまざまな解釈や受け取り方をされる。
このため、SFの定義はしばしば読者らの間でも議論の対象となることがある。
SF作品の創始者的存在としては、イギリスのH・G・ウェルズ(1866-1946)やフランスのジュール・ヴェルヌ(1828-1905)らがとくに有名であり、後世の作品や作家への影響も大きい。
その他の著名な作家としては、アイザック・アシモフ(1920-1992)やフィリップ・K・ディック(1928-1982)、アーサー・C・クラーク(1917-2008)などが挙げられる。この他にも著名な作家は多く、テーマや作風も千差万別である。
以下では、これまでに提唱されてきたSFの解釈や定義について解説する。
おそらくSFと聞いてまず頭に思い浮かべるであろう解釈がサイエンス・フィクション(英:Science Fiction)である。SF作家の森下一仁は『思考する物語』の中で、一貫した論理で説明され、かつ実現の可能性があるものだとしている。
サイエンス・フィクションという語を生んだのは、アメリカのSF雑誌『アメージング・ストーリーズ』であった。
(1926年に創刊され、2005年に廃刊となっているようである)
読んで字の如くScience(科学)とFiction(空想)という要素を含んでおり、「空想科学小説」とも訳される。何らかの科学技術に立脚した物語を語る小説のことであり、作者独自の架空の科学技術が登場する作品が多く、異星人との戦いや時間旅行、人造人間など扱われるジャンルは多岐に渡る。『アメージング・ストーリーズ』創刊以前にもこうした特色を持つ作品は存在し、例えばジュール・ヴェルヌの「海底二万里」は1870年に、H・G・ウェルズの「タイム・マシン」は1895年に発表された作品である。
その後、時代の変化や科学技術の発展により、従来のサイエンス・フィクションは大きな転換期を迎える。
題材となる科学が発展したことにより、サイエンス・フィクションにもリアリティや整合性が求められるようになり、それに伴って新たに「ハードSF」というジャンルを生み出していくことになる。
サイエンス・フィクションは、その後も出版形態も含めた様々な変化を辿り、米ソ対立の冷戦期には、核戦争やそれによって滅びを迎えた世界を描いた作品が現れるようになった。
こうした時代背景による変化は現在まで続いており、既存の他ジャンルとの融合をはかったり、近現代の科学技術を題材に取った作品も少なくない。その他こうした変化の中から派生したジャンルも存在し、近年では「サイバーパンク」と呼ばれるジャンルがそれにあたる。
黎明期からのSF作品が科学的な側面を強く持っていたのに対し、「SFは必ずしも科学だけではない」という見解から始まった、サイエンス・フィクションとは別個のSF解釈である。日本語では「思弁小説」と訳されることもある。
端的に言えば、「もし○○が××だったら」という世界を想像し、シミュレーションするタイプの作品を指す。科学的技術だけでなく、文化論や社会論まで視野に入れて世界に対する想像力を広げるジャンルである。
スペキュレイティブ・フィクションという語それ自体は古くから存在するが、これを従来のSFに対する新しい解釈として使い始めたのは、1960年代以降の作家や編集者たちによる「ニューウェーブ運動」であった。
これまで主流であったSF(サイエンス・フィクション)に対し、思想や哲学といった要素を取り入れようとした動きであったが、あんまり定着しなかった。2000年頃には文芸評論の便利用語として使われた時期もあったようだが、どっちにしても現在ではほとんど見かけることはなくなっている。
ちなみに、「スペキュレイティブ・フィクション」のさらにサブジャンルとして「スペキュレイティブ・エボリューション」と言うものもあり、ロバート・L・フォワード『竜の卵』やカート・ヴォネガット『ガラパゴスの箱舟』などのSF小説がこのサブジャンルに属すると見なされることもある。
わからん。何をどこまでSFと見なすかは人による。
上述のサイエンス・フィクションもスペキュレイティブ・フィクションも略せば「SF」になるわけだが、とりあえず現在では「サイエンス・フィクション」も「スペキュレイティブ・フィクション」もひっくるめて「SF」である、という見方が一般的だろう。
「設定に新規性があるか否か」「整合性があるかどうか」「プロが書いたものか」でSFらしさの程度を決める人も居るが、あまり同意の取れた基準とは言い難い。
それぞれにそれぞれの楽しみ方があり、それぞれの楽しみ方で楽しめばいいのである。
アメリカSFの黄金期を作り上げ、後世の作品に大きな影響を与えた「ロボット工学三原則」の生みの親として知られるアイザック・アシモフは、単に宇宙人や空想科学を擁するものがSFなのではなく、価値観の崩壊・転倒による驚きや発見がSFには必要であると主張した。科学解説者としても知られていた彼の作品には、科学を題材としながらもミステリー仕立てになっているものが多く、謎解きや推理の中で登場人物の価値観が転倒する描写がまま見受けられる。
要はSF作品を読んだときに起きる認識異化効果のこと。「センス・オブ・ワンダーがある」ことはSFの評価において重要なポイントとされる。「センス・オブ・ワンダーがなければSFではない」という原理主義的な立場もあるが、そういうことを言うSFファンはめんどくさいと思われがちである。
戦前の日本においても「空想科学小説」と呼ばれるものが存在し、先駆的な作品が数多くみられたが、現在の「日本SF」というジャンルは終戦後国内に持込まれた欧米作品の影響のもとで出発したものといえる。
1957年同人誌『宇宙塵』そして1959年には『SFマガジン』が創刊され、これらから星新一、小松左京、筒井康隆、光瀬龍、眉村卓、平井和正など後の大御所がデビュー。以降の日本SFを牽引してゆく。
1960年代に入ると手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎などの漫画家が多くのSF漫画を執筆。その後も松本零士、永井豪らがあとに続き人気を博した。また平井和正や豊田有恒などのSF小説家がアニメの制作にかかわったりと、これら漫画・アニメとの関係は親密になっていった。
1970年代から1980年代にかけて、小松左京『日本沈没』の社会現象的大ヒットに続き、『宇宙戦艦ヤマト』や巨大ロボットものなどのアニメ、『スター・ウォーズ』をはじめとする映画が放映・公開され、それまであまりメジャーとは云い難かった「SF」が大衆へと浸透・拡散していった。一方活字の世界では高千穂遙、新井素子、菊地秀行らが現在のライトノベルの源流ともいえる流れを作り出した。
しかしこの70年代から80年代初頭に生じた「SFは売れる」という幻想の反動と、狭義のSFのマニアック化・難解化により、1980年代末から1990年代に「冬の時代」と呼ばれる日本SFの低迷期が訪れる。「帯にSFと書くと売れない」と言われ、多くのSF専門誌が廃刊に追い込まれた。これにより多くの新人向コンテストが廃止、行き場を失った新人作家たちはこぞってラノベ出版社の門を叩いた。このころライトノベルで活躍した作家として笹本祐一や野尻抱介、山本弘らが挙げられる。そのため逆に、90年代後半から2000年代初頭にかけては上遠野浩平、古橋秀之、秋山瑞人、小野不由美など、ライトノベル出身作家がSF界から注目されるという現象も起きた。
2000年代に入ると、日本SF新人賞・小松左京賞と長編新人賞が2つできたことに加え、早川書房が専門レーベルを立ち上げるなどして、滅亡しかけていた日本SFの再建が始まる。80~90年代に活躍したSF作家は1960年前後生まれが多かったが、この頃から小川一水や冲方丁といった70年代以降生まれの若手作家たちが台頭。また海外からの日本のオタク文化への注目が高まったことで、日本SFが海外で紹介されることも増え始めた。2007年には日本で初の世界SF大会が横浜で開催され盛況しするなど、日本SF界は再び活性化の道を歩み始める。
2000年代後半になると、伊藤計劃、円城塔が登場。伊藤計劃は2009年に夭折したが、それと入れ替わるように、2010年代からは宮内悠介(吉川英治文学新人賞・三島由紀夫賞)、藤井太洋(吉川英治文学新人賞)、小川哲(山本周五郎賞)など、SFでデビューした作家がSFで大きな文学賞を獲ることも珍しくなくなってきた。
いろんな出版社から「SF」と銘打った作品がガンガン書かれてSFレーベルがどんどんできてガンガン売れるというような(70年代SFブームのような)状況ではないので、外部からは未だに衰退したと思われている節はあるが、SFに該当する作品は様々な出版社からたくさん出版されている。活況とか衰退とかわざわざ言うまでもない、どこにでもある普通の小説ジャンルになったというところだろう。
なお、「ドラえもん」の作者として有名な藤子・F・不二雄は、自身のSF短編で「すこし(Sukoshi)・ふしぎ(Fushigi)」という造語を生み出している。
※国書刊行会(未来の文学、山尾悠子など)やアトリエサード(ドラキュラ紀元など)は、まだニコニコ大百科に項目がありません。
当然ではあるが他の出版社からもSF要素のある作品は出版されており、特にライトノベルレーベルからの作品にはSF要素が強いものも多い。
出版社ではないが、so-netが「SFオンライン」というWEBマガジンを運営していた時期があった。同マガジンでは「SFオンライン賞」という賞の選考も行っていた。
単に「SF関連を多く書いている作家」や「代表作にSF作品がある作家」であり、他のジャンルの小説も書いている作家や、一般的には他ジャンルの作家であると認識されている者も含む。「小説家の一覧」等も参照。また漫画家や映画監督なども含む。
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※ H・G・ウェルズ、ロバート・A・ハインラインなどは、まだ大百科に記事がありません。
上記のようにSFの定義は非常に曖昧であり、「どこからどこまでがSF」とは線引きしにくい。
解釈次第でどのような作品もSFとしてみることが可能であり、日本SF大賞受賞者の長山靖生によれば、「オデュッセイアや聖書、日本なら古事記や竹取物語をSFとして読む」ことも十分に可能だと述べている。
ここでは、まさに「SF」と銘打たれて発表されているものは勿論、「SFと呼ばれることも珍しくない」程度の作品までを一応の目安として、項目がある作品を一部紹介することにする。
「小説作品一覧」「長門有希の100冊」「映画の一覧」「漫画作品一覧」「アニメ作品一覧」「ゲームのタイトル一覧」などを見れば、以下のもの以外にも多くのSF作品が挙げられている。
なお、特撮ジャンルではSF的な設定を持つ作品が非常に多く(ウルトラマンシリーズ、仮面ライダーシリーズ、人造人間キカイダー、メタルヒーローシリーズ、ゴジラ・ガメラに代表される怪獣映画など)、「SF要素がないものを挙げた方が早い」レベルなので列挙はしない。こちらは「特撮番組の一覧」を参照。
※ 以下の「小説」「アニメ・映画・ドラマなど映像作品」「漫画」「ゲーム」などの区分も厳密なものではありません。
例えば「猿の惑星」は小説が原作ですが、映画の方が格段に有名、かつ原作とはあまり関わりなくシリーズ展開しているので、映像作品項に置いてあります。そういった程度のアバウトなものです。
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※1 ガンダムシリーズ一覧、機甲戦記ドラグナー、機動戦艦ナデシコ、銀河機攻隊 マジェスティックプリンス、新世紀エヴァンゲリオン、 翠星のガルガンティア、蒼穹のファフナー、装甲騎兵ボトムズ、太陽の牙ダグラム、超時空世紀オーガス、伝説巨神イデオン、トップをねらえ!、トランスフォーマー、マクロス、ラーゼフォン、輪廻のラグランジェ など。「ロボットアニメ」の項目を参照。
※2 SF的な設定を持つものが多い(プロジェクトシルフィードやメタルブラック(タイトー)、R-TYPE、レイディアントシルバーガン、スターフォックスなど)。「STGのタイトル一覧」の項目を参照。
※3 ほぼ全てがSF的な設定を持つ(プロジェクトシルフィードやX-Universeなど)。「スペースコンバットシム」の項目を参照。
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掲示板
696 ななしのよっしん
2025/01/17(金) 21:41:29 ID: d4gSrpX10W
SF要素も、sf要素であることを明示しなければフェイク情報になる時代か・・・。
697 ななしのよっしん
2025/02/17(月) 06:57:15 ID: SYWOfebq6P
最近のSFジャンルは設定や技術を考察する奴がめっきり減ったな
異世界とか剣と魔法のファンタジー作品なら前提になる物理法則とかが違うからまだわかるけど
ガンダムみたいな現実の延長(近未来の地球が舞台の)ファンが多いコンテンツですら「設定を丸暗記してレスバトルするだけ」みたいなやつが主流で
技術の進化や実用性について語るような考察厨が絶滅危惧種になったのは悲しい
「サイエンス」「フィクション・ファンタジー」なのにサイエンスの知識も想像力もないオタクばかりになってしまった
698 ななしのよっしん
2025/02/20(木) 08:57:27 ID: jtxMmfF50J
子供向けのスペースオペラが好きなんだが
やっぱ少ないんだよなぁ。だって売れないんだもん。
一番売れたのが多分ラチェット&クランク
提供: ゆんなの
提供: sjきいえn
提供: 吹雪
提供: クロ
提供: 中吉
急上昇ワード改
最終更新:2025/03/21(金) 13:00
最終更新:2025/03/21(金) 13:00
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