機動戦士ガンダム 復讐のレクイエムとは、機動戦士ガンダムシリーズの一作。
宇宙世紀0079年11月、1年戦争の転換期を舞台に、全編3D-CGで制作された外伝配信映像作品である。
2024年10月17日から、Netflixにて一話23分のエピソード・全6話を配信。
監督はエラスマス・ブロスダウ(『ライズ:サン・オブ・ローマ』『CRYSIS』など)、脚本はギャビン・ハイナイト(『トランスフォーマー サイバーバース』『Marvel's Spider-Man』など)。制作はSAFEHOUSE Inc。
概要
2023年7月3日に制作決定アナウンスとティザービジュアル、PVが公開された。
作品の舞台は初代『機動戦士ガンダム』を始めとした宇宙世紀シリーズにおいて描かれる「一年戦争」の地球上、ヨーロッパ戦線のジオン側となる。初代テレビ版や劇場版、サンダーボルト版など複数の世界線が展開されている宇宙世紀シリーズだが、一応はテレビ版や『第08MS小隊』と同じ世界のようだ。
その高性能さから様々な映像媒体で用いられているゲームエンジン・UnrealEngine5で制作されている(ブロスダウ監督もハイナイト脚本もゲーム畑)。映像の作風としてはかつての『機動戦士ガンダム MS IGLOO』のようなセミリアル調。約20年の年月を経て映像表現は更に緻密になり、一部キャラクターは俳優のモーションキャプチャーで制作されている。制作はかなりギリギリだったらしく、飲酒モーションがぎこちなかったり、突撃銃が2重に映っているというお茶目なミスも見られた。
製作スタッフは外国人主体であり、そもそもアメリカが本場であるNetflix独占配信と言うこともあってか、予告編の初報は英語音声オンリーだった。もちろん吹替版もあるので英語が不慣れな人でも大丈夫。
公式のあらすじ
宇宙世紀0079年、ジオン公国は地球連邦政府からの独立を宣言し戦争状態に突入した。
新兵器モビルスーツの活躍により序盤こそ優位を保ったジオン軍だったが、地球の全面制圧を行う戦力はなく戦況は膠着する。そして開戦から11ヶ月後、東欧のジオン軍占領下にある基地の一つが連邦軍に奪取される。
その奪還に向かう混成大隊の中に、宇宙から降りてきたばかりのモビルスーツ小隊、ソラリたちレッド・ウルフ隊の姿もあった――
登場人物
ジオン軍「レッド・ウルフ隊」
- イリア・ソラリ大尉 - 声:シリア・マッシンガム / 森なな子
- 本作の主人公。赤髪が映える白人女性で、レッド・ウルフ隊長。従軍前は優れたヴァイオリニストとして名高い存在だったが、現在は顔面にいくつもの傷を負った歴戦の名パイロットとして活躍する。
肩部シールドとスパイクアーマーを赤く、機体をくすんだオレンジに塗装した隊長用ザクⅡF型(レッド・ウルフ・アルファ)を駆る。
- リード・ゲルフィ中尉 - 声:ジェイムズ・ワット / 真木駿一
- 通称チャブス。副隊長を務める。オレンジのモヒカンとあごひげがチャームポイントの白人男性。隊のムードメーカーにしてエースパイロットで、ソラリとは隊で一番長い付き合い。
頭頂部と左肩のスパイクアーマーを赤く塗ったザクⅡF型(レッド・ウルフ・ブラヴォー)を駆る。スパイクの数が増えているが、見た目だけとのこと。
- ニーランド・ルショーン中尉 - 声:ラバンス / 石毛翔弥
- 昇進したばかりの若い黒人男性。若さゆえの過ちか、短気で皮肉っぽいが、高い腕前と軍への忠誠心で周囲からの信頼を得ている。
左肩のスパイクアーマーを赤く塗ったザクⅡF型(レッド・ウルフ・チャーリー)を駆る。隊では一番の新型でカスタム度合いも浅い。
- ケイル・ザヴァレタ少尉 - 声:ダニエル・ウィッシーズ / 綿貫竜之介
- 隊の選抜射手を務める白髪の白人男性。ジオン独立のためではなく金のために戦うと公言する冷静な男だが、実のところ祖国独立にかける思いは強い。
両手と左肩のスパイクアーマーを赤く塗り、胴体を白っぽく塗装したザクⅡF型(レッド・ウルフ・デルタ)を駆る。中~遠距離支援用ロングライフルを愛銃とする。
ジオン軍
- アンダー・ヒートン少尉 - 声:アンドリュー・ウォールナー / 原良丞
- マゼラ・アタックの操縦士。モビルスーツパイロットを夢見る。
原隊とはぐれ、成り行きからレッド・ウルフ隊と行動を共にする。「質問役」として場の空気を和ませる人材だが、いざ戦場ではもっぱら歩兵の真似事をさせられることに。
- ヘイリー・アーフン少尉 - 声:ジェシカ・スパイス / 河瀬茉希
- 装甲科歩兵中隊に所属する、ピンク髪・鼻ピアス・両腕タトゥーと、軍人離れしたパンクな女傑(ぐれたハマーン様)。コロニー・タイガーバウム育ち。
原隊が壊滅した所をレッド・ウルフ隊と出会い、合流する。乱暴者だが、根は仲間想いの良い奴。
- アルフィー・ザイドス技術大尉 - 声:モリス・シェルトン / 中博史
- 通称ギアヘッド。旅団支援コマンドに所属し、現在は後方のリサイクル・センターで勤務している。眼鏡の黒人男性でわかりやすい「おやっさん」キャラ。旧知の仲のソラリと再会し、何かと世話を焼く。
- ジョシュア・ステイン少佐 - 声:チャック・ジョンソン / 上田燿司
- 第七混成機動旅団所属の部隊指揮官。黒人男性。偉ぶった、わかりやすいジオニスト。指揮官としての手腕にはやや疑問符が付く。
- ロルフ・ロネ少佐 - 声:クリス・パラム / 大塚芳忠
- リサイクル・センター駐留部隊の指揮官。髭面の白人男性。精神的に追い詰められており、酒浸り寸前に陥っている。指揮官としてはお世辞にも優秀とは言えないが、本質的には規律と部下を大切にする人で、「やるときはやる」。
UMRC
- オニー・カスガ - 声:マックスウェル・パワーズ / 大塚剛央
- 通称「カスガ先生」。勢力の別け隔てなく医療を行う「UMRC」の医師。アジア系の若い男性。
連邦軍の襲撃を受けたソラリたちを救助し、仲間とはぐれてしまったことで、移動するジオン軍と行動を共にすることになる。温和な平和主義者。
その他の登場人物
※ネタバレ注意※
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- ダルトン・ソラリ
- イリアの夫。数か月前に空爆に巻き込まれ戦死した。彼も優秀な音楽家だったという。
- ソラリ少年
- イリアとダルトンの息子。年は恐らく10歳前後。サイド3のイリアの両親に預けられている。
- ユーリ・ケラーネ少将 - 声:デリック・ドーバー / 上恭ノ介
- ジオン地球方面軍・欧州方面制圧軍の指揮官。ソラリとは顔見知りで、たまたま再会した彼女に「ある仕事」を押し付ける。
『第08MS小隊』からゲスト出演。あの爆発ヘアスタイルと腕まくり軍服も忠実に3DCG化されている。
- ロフト中尉 - 声:マックスウェル・パワーズ(オニーと兼役)/ 濱野大輝
- ジオン軍「ミッドナイターズ」隊の隊長。グフ・カスタムを駆り、連邦軍勢力圏内でのコマンド任務を遂行している。
- ??? - 声:コール・ヤドン / 浦和希
- ソラリの前に現れる、連邦軍のフライトジャケットを着た少年。恐らくは10代前半と思われるが……。
登場メカニック
デザインは『Gガンダム』『第08MS小隊』『ガンダムSEED』を始め、数多くのサンライズ作品に関わってきた山根公利が担当している。
ジオン公国軍
モビルスーツ
- ザクⅡF型
お馴染み、ジオンの象徴のMS。
レッド・ウルフ隊の各員はそれぞれに合わせてカスタマイズされた機体を使用している。共通して右肩には大型シールドを搭載している。
- 無識別型ザクⅡ
様々なザクのパーツを寄せ集めて作られたリサイクルMS。ビーム兵器対策としてシールドを増設し、せめてもの装甲替わりに履帯を各部に貼り付けている。
- ソラリ機:継ぎはぎだらけのボディに、右肩の二重シールド(マゼラ・ベースの車体流用)が特徴。両前腕部には3連グレネードランチャーを追加搭載。かなり痛々しい外見だが、アルフィーの尽力により通常のザクⅡと同性能を確保している。
- ルショーン機:こちらはまだ通常のザクⅡに近い見た目。右肩に通常サイズのシールドと、左腕に手持ち式シールドを追加搭載。右前腕部の3連ランチャーに加えて、右肩と前面スカートに計10個の手榴弾を引っ付けている。
- グフ・カスタム
ザクとは違う白兵戦用MS「グフ」の強化型。原案の『第08MS小隊』デザインに『機動戦士ガンダム』のグフをミックスしたようなアレンジになっている。
- ザクⅠ(旧ザク)
人類史上初の戦闘用MS。ザクⅡに代替わりした現在では後方の戦線などで用いられている。
- ザク・タンク
『MSV』で初登場してから地味に愛されている作業用MS。マゼラ・ベースにザクⅡの上半身を乗っけたリサイクルMSで、本作に登場する機体は右肩にキャノンを搭載している。
航空機
- ドップ
ジオンのびっくりどっきり戦闘機。その珍妙なデザイン故に外伝作品でリデザインされることが多い機体だが、本作では正統派なSF戦闘機風のアレンジを施されて登場。
- ガウ攻撃空母
ジオンのびっくりどっきり輸送機。原作『機動戦士ガンダム』の設定ではMS3機を搭載できるが、本作ではザクⅡを4機搭載可能に。搬入ハッチは機体正面から後尾に移動した。
戦闘車両
- マゼラ・アタック
ジオンのびっくりどっきり戦車。車体「マゼラ・ベース」と、短時間の飛行が可能な砲塔「マゼラ・トップ」が合体した大型戦闘車両。
- 輸送トラック
普通のトラック。『MS IGLOO』でデザインされながら、まるで出番に恵まれなかった機体が悲願の本格登場である。
- 装輪装甲車
現実の装甲車に近い、普通の装甲車。
地球連邦軍
モビルスーツ
- ガンダムEX
連邦軍の最新鋭機。詳細は当該項目を参照。
- ジム
連邦軍の量産型MS。原型のガンダムからはグレードダウンしたが、それでもなお優秀な性能を維持して大量生産に成功した名機。
本作ではバイザーゴーグル内側のモノアイが強調されており、さながら一つ目の幽鬼に見える。
航空機
- セイバーフィッシュ
MSが登場するまで機動兵器の頂点に君臨していた高高度/宇宙戦闘機。火力と装甲で勝るMS相手には宇宙での主導権を取られてしまったが、地上ではまだなんとか踏ん張っている。
戦闘車両
- 陸戦強襲型ガンタンクB型
『MS IGLOO2 重力戦線』で主役を張った機体がまさかの再登場。対MS用戦車として開発された巨大戦車。『IGLOO2』の機体の後継型のようだ。
- 61式戦車
シリーズ恒例の連邦軍主力戦車。かつては「陸の王者」として君臨したが、MSの登場によって苦しい戦いを強いられている。
各話リストと作中タイムライン
※ネタバレ注意※
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※灰色の各話サブタイトルは配信直後に使用されていた旧訳※
※ソラリたちの軌跡は劇中描写からの推察※
| 各話タイトルと推定日 |
ソラリたちの軌跡 |
一年戦争タイムライン |
HAUNTED FOREST
呪いの森
U.C.0079年11月7日~8日
|
7日夕方:基地奪還
8日0時:連邦軍の再襲撃 |
7日:ホワイトベース隊が「黒い三連星」を撃退
連邦軍、オデッサ作戦発動 |
BROKEN
敗走(打ち砕かれて)
8日
|
8日未明~正午:旅団司令部へ退却 |
8日:各地で激戦が続く。コレマッタ少佐揮下の連邦軍独立混成第44旅団が奮戦 |
JUNKYARD
ジャンクヤード(くず鉄置き場)
8日~9日
|
8日昼:旅団司令部に到着
8日夕刻:リサイクル施設に移動
9日夕刻:連邦軍の襲撃 |
9日:ジオン軍最終防衛線が陥落
ケラーネ少将、"気化爆弾"を使用し連邦軍を足止め |
NIGHT CALLER
夜の来訪者(夕闇の来訪者)
9日~10日
|
9日夜:連邦軍を撃退
10日未明?:ケラーネ来たる |
9日:ジオン軍第603技術試験隊らが衛星軌道上の脱出路を確保 |
THE RIVER
境界の河(川)
10日
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10日夜:連邦軍基地に潜入 |
10日:ジオン軍総帥部、オデッサ鉱山地帯の放棄を発表
オデッサ作戦終了
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CONVOY TO OBLIVION
忘却への旅路(撤退への道)
11日
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11日午前:オデッサ宇宙港へ向け移動 |
ケラーネ揮下部隊は東南アジア方面へ脱出 |
関連動画
関連リンク
- 公式サイト
- 作品公式ツイッター
- 制作SAFEHOUSE Inc公式ツイッター
- 登場モビルスーツのガンプラ販促
関連項目
- 機動戦士ガンダム
- UnrealEngine5
- Netflix
- バンダイナムコフィルムワークス:プレゼンツ
- SAFEHOUSE Inc