
『新機動戦記ガンダムW』(New Mobile Report Gundam Wing)とは、1995年4月から1996年3月まで放映されたサンライズ制作のテレビアニメ。
続編に、OVA及び劇場用アニメ「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz」がある。
概要
機動武闘伝Gガンダムの成功から、サンライズが制作したいわゆるアナザーガンダム路線の第二弾。
ガンダムシリーズとしては、もっとも成功したもののひとつ。
出てくるキャラクターが、総じて美男子でそれぞれ影を持つという事ということで、新たに女性ファンの人気を得た。監督・キャラクターデザイナー共に「鎧伝サムライトルーパー」(共通項はメインが5人、全員15歳)の製作に関わったからか。監督曰く、「ジャニーズ系ガンダム」らしい。
その一方で主役ガンダムは前作の影響を受けた外連味重視の外見や設定を残しつつ、「お前を殺す」とか「死ぬほど痛いぞ」といった迷言に代表されるように、その美形キャラがぶっ飛んだ言動や行動を繰り広げるのが特徴で、色々な意味でインパクト重視という平成アナザーガンダムの傾向をしっかりと体現している作品であり、男性客層にも上々の評価を獲得している。
海を越えた遠くアメリカでも「Mobile Suit Gundam Wing」としてガンダムシリーズでは初めて全米ネットで全話放映され、非常に人気を博し多くのファンを獲得した結果、米国ファンのガンダムの基本イメージがガンダムWとなったらしい。
ちなみに、これを機にファーストガンダムも再放映されたが、そもそもが古すぎたことによる落差や、軍事イメージの相違、さらに同じSFだろうとばかりにスタートレックファンの翻訳脚本担当が暴走した結果等々が相まって散々な結果となっている。
詳しくは公式ページやWikipedia
を参照。
2018年2月20日に:毎週火曜同月27日22時29分よりTOKYO MXで再放送されることが決定し、話題を呼んだ。
2019年11月21日に機動戦士ガンダムシリーズ40周年を記念として「AbemaTV GUNDAM 40th Hour」と題した第4弾ラインナップが発表され、毎週日曜12月1日夜9時から放送・全話配信されることが決定した。
あらすじ
A.C.(アフターコロニー)195年。各スペースコロニーを武力で統制する地球圏統一連合と、連合を陰から操る秘密結社「OZ(オズ)」に対し、一部のコロニー技術者たちは攻撃作戦を立案した。
作戦名「オペレーション・メテオ」。流星に擬態して地球に降り立った5機の高性能モビルスーツ・ガンダムとそのパイロット達は、OZの息のかかった軍事施設を攻撃して回る。互いの顔すら知らぬパイロット達は、時に協力し、時に反目しながら作戦を遂行していった。だが、OZは彼らの攻撃を逆利用し、連合内の穏健派の粛清に繋げる。
OZの懐柔策を前にガンダムを見捨てるコロニー。無人兵器の導入を進めるロームフェラ財団派と、それに異を唱えるトレース総帥の信望者たちに分裂するOZ。かつて連合に滅ぼされた平和国家・サンクキングダムの再興と、その血を継ぐ者による新たな反連合組織の勃興。そして明かされる「真のオペレーション・メテオ」。混迷を極める戦場の中、ガンダムパイロット達は己の信ずるものを求めて戦い続ける。
主な登場人物
ガンダムパイロット
- ヒイロ・ユイ
- 声:緑川光
- 主人公。ヒイロ・ユイは本名ではなく、作中の故人に由来するコードネーム。任務遂行のためには自らの命すらゴミのように扱う少年。
- 主な搭乗機はウイングガンダム、ウイングガンダムゼロ。
- デュオ・マックスウェル
- 声:関俊彦
- 陽気で社交的な性格。工作活動も得意。
- 主な搭乗機はガンダムデスサイズ、ガンダムデスサイズヘル。
- トロワ・バートン
- 声:中原茂
- 無口で冷静なガンダムパイロット。経歴、出身などは不明でトロワ・バートンという名前も偽名である。前髪が異様に長く、大抵どちらかの目が隠れている。
- 主な搭乗機はガンダムヘビーアームズ、ガンダムヘビーアームズ改。
- カトル・ラバーバ・ウィナー
- 声:折笠愛
- 大富豪であるウィナー家の嫡男で、姉が29人いる。普段は穏やかで戦いを好まない優しい性格。
- 主な搭乗機はガンダムサンドロック、ガンダムサンドロック改。
- 張五飛(ちょうごひチャン・ウーフェイ)
- 声:石野竜三
- 正義として悪と戦うことに固執するストイックな少年。おでこが広い。
- 主な搭乗機はシェンロンガンダム、アルトロンガンダム。
OZ
- ゼクス・マーキス(ミリアルド・ピースクラフト)
- 声:子安武人
- OZに属する仮面のモビルスーツパイロット。実は亡国サンクキングダムの王子様でリリーナの実兄。
- 主な搭乗機はトールギス、ガンダムエピオン、トールギスIII。
- トレーズ・クシュリナーダ
- 声:置鮎龍太郎
- OZのエレガントな総帥で、のち世界国家元首。常に独自の美学に従って行動し、その美学によってネタに事欠かないガンダムエピオンを設計する。
- 主な搭乗機はトールギスII。
- ルクレツィア・ノイン
- 声:横山智佐
- OZの仕官。ゼクスとは養成学校の同期でちょっといい仲。あくまで「ちょっと」なのがミソ。
- 主な搭乗機はトーラス。
- レディ・アン
- 声:紗ゆり
- トレーズの右腕であるOZの指揮官。目的のためには手段を選ばない冷酷非情な人物だが、トレーズのために自ら聖女の人格を作り出す。
- ツバロフ - 声:幹本雄之
- ロームフェラ財団に従うOZの技師長。モビルドールシステムの開発者であり、巨大戦艦リーブラの建造にも着手している。トレーズ派の兵士たちからは反感を買っている。
ガンダムパイロットの関係者
- リリーナ・ドーリアン(リリーナ・ピースクラフト)
- 声:矢島晶子
- メインヒロイン。立派なお嬢様かつお姫様なのだが、そうとは思えないほどのエキセントリックさと行動力を持つ。サンクキングダム最後の王女として完全平和主義を提唱する。
- なお、本作のED映像は実質リリーナ様のPVと化している。
- サリィ・ポオ - 声:冬馬由美
- 地球圏統一連合軍の医療情報将校。その後は反OZのレジスタンスの一員として活動。ガンダムパイロットのサポートとしても活躍。また、トレーズに敗れて傷心の五飛を再起させる。
- ラシード・クラマ - 声:中田和宏
- カトルに協力するマグアナック隊の隊長。部下たちの信頼も厚い人格者。
- 主な搭乗機はマグアナック。
- キャスリン・ブルーム - 声:鈴木砂織
- トロワが身を隠しているサーカス団の花形スターである少女。後に記憶を失ったトロワを弟としてかくまい、戦いから遠ざけようとする。
- ヒルデ・シュバイカー - 声:荒木香恵
- OZ志願兵であるコロニー出身の少女。OZに疑問を抱いてからはデュオと共にジャンク屋を営むようになる。
- ハワード - 声:石田弘志
- かつて5博士と共にトールギス開発に携わった技術者。当初は地球でデュオを支援していたが、後にピースミリオンを調達し、最終決戦に臨むガンダムパイロットたちをサポートする。
- ガンダム開発者
- ドクターJ、プロフェッサーG、ドクトルS、H教授、老師Oの5人のマッドサイエンティスト。かつてはOZの技術者だったが、指導者ヒイロ・ユイの暗殺をきっかけにハワードと共にOZを離反。それぞれが独自にガンダムを開発し、5機のガンダムを流星に偽装して地球へ降下させる「オペレーション・メテオ」を敢行する。
ロームフェラ財団
- ドロシー・カタロニア
- 声:松井菜桜子
- 中盤から登場するリリーナとは別の意味でエキセントリックな少女。デルマイユ侯爵の孫娘であり、トレーズの姪にあたる。眉毛が凄い。
- デルマイユ侯爵 - 声:加藤治
- ロームフェラ財団代表。トレーズの叔父でドロシーの祖父にあたる。貴族による地球支配を目論む。リリーナを財団の傀儡として女王に祭り上げるが、逆に財団を乗っ取られてしまう。
ホワイトファング
- カーンズ - 声:市川治
- コロニー革命組織ホワイトファングの創設者。指導者ヒイロ・ユイの復讐のためコロニー落としによるオペレーション・メテオを画策した人物。
Endless Waltzの登場人物
- デキム・バートン - 声:依田英助
- バートン財団の総帥であり、指導者ヒイロ・ユイ暗殺の復讐としてコロニー落としによる「オペレーション・メテオ」を考案した張本人。孫娘にあたるマリーメイアを傀儡として祭り上げ、元ホワイトファングの兵士やトレーズ派の残党をマリーメイア軍として編成し、地球制圧作戦を実行する。
- マリーメイア・クシュリナーダ(マリーメイア・バートン) - 声:佐久間レイ
- トレーズの娘を名乗り、マリーメイア軍の象徴として祭り上げられた7歳の少女。デキムは祖父、トロワ・バートン(真)は叔父にあたる。非常に聡明な少女だが、デキムの歪んだ教育によって選民思想を植え付けられ、尊大な言動が目立つ。
登場兵器
ガンダム(オペレーションメテオ)
マグアナック隊
プリベンター
|
OZ / 連合 / ホワイトファング
マリーメイア軍
|
主な楽曲
テレビアニメ主題歌
- 前期オープニングテーマ「JUST COMMUNICATION
」(第1話 - 第40話)
- 作詞・作曲・編曲:TWO-MIX(実際の作詞は永野椎菜、作曲は馬飼野康二、編曲は永野椎菜、高山みなみが担当)
- 歌:TWO-MIX
- 後期オープニングテーマ「RHYTHM EMOTION
」(第41話 - 第49話)
- 作詞・作曲・編曲:TWO-MIX(実際の作詞は永野椎菜、作曲は高山みなみ、編曲は永野椎菜、高山みなみが担当)
- 歌:TWO-MIX
- エンディングテーマ「It's Just Love」
- 作詞:松本花奈 / 作曲:小泉誠司 / 編曲:多田光裕
- 歌:大石ルミ
Endless Waltz主題歌
- OVA版主題歌「WHITE REFLECTION
」
- 作詞:永野椎菜 / 作曲:高山みなみ / 編曲:永野椎菜、高山みなみ
- 歌:TWO-MIX
- 劇場版主題歌「LAST IMPRESSION
」
- 作詞:永野椎菜 / 作曲:高山みなみ / 編曲:永野椎菜、高山みなみ
- 歌:TWO-MIX
BGM
- 「思春期を殺した少年の翼
」
- 作曲:大谷幸
- 「コードネームはヒイロ・ユイ
」
- 作曲:大谷幸
派生作品
平成三部作中ではもっとも成功したため、派生作品は本家の宇宙世紀シリーズや、元々派生作品ありきであったガンダムSEED(コズミック・イラ)シリーズに次いで多い。
前日談と続編
- 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
- ガンダムW本編の正当な続編として作られた、本編の1年後を描いたOVA作品。
- 後に再編集とエピソードが追加され特別編として映画化された。
- ノベライズ版(著:隅沢克之)ではEPISODE ZEROの内容も含んでいる。
- コミカライズ版(漫画:ときた洸一)ではBATTLEFIELD OF PACIFISTの直後のストーリーとなっている。
- 新機動戦記ガンダムW EPISODE ZERO - 脚本:隅沢克之 漫画:かんべあきら
- ガンダムWの本編に含める予定であった各キャラクターの前日談を題材にした漫画。
- 単行本にはEndless Waltzの1年後を描いた後日談『PREVENTER 5』も含む。
- GUNDAM EVOLVE../7 - 監督:村瀬修功
- EWの後日談を描いた、フルCG・OVA作品「ガンダムイボルブ」シリーズの第7弾。
- 『1/100 MG ウイングガンダムゼロ Endless Waltz Ver.』の設計用CADデータを元にCGが作られている。
- 新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop - 著:隅沢克之 イラスト:あさぎ桜
- 『ガンダムエース』で連載されていた続編小説。暦はAC(アフターコロニー)からMC(マーズセンチュリー)に変わっている。TV本編やEWだけでなく、『EPISODE ZERO』や同時進行中の『敗者たちの栄光』の内容なども含まれている。
- 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光
- 著:隅沢克之 漫画:小笠原智史
- 『Frozen Teardrop』に続き『ガンダムエース』で連載されていた漫画。
- デュオを中心に描かれていて基本的にTV本編のストーリーを展開しているがヒイロ達のガンダムを始め、機体が『Endless Waltz』のデザインとなっている。さらに『Frozen Teardrop』『EPISODE ZERO』で語られたTV本編の前日譚や内容、機体なども描かれている。
本編とEndless Waltz間を埋める番外編
各作品は特に整合性が取られていないためそれぞれがパラレルであると見なすべきかもしれないが、同一時間軸であると解釈すると以下の順番になると思われる。
- 新機動戦記ガンダムW グランドゼロ - 漫画:冬凪れく
- 本編終了後、平和となった時代のガンダムパイロット5人の心の動きを描いた漫画。
- 新機動戦記ガンダムW BLIND TARGET
- 「新生ホワイトファング」の引き起こした事件を描いたラジオドラマ(脚本:面出明美)。
- 及びそのコミカライズ版(漫画:あさぎ桜)。
- 基本的にモビルスーツが登場せず、人物ドラマのみを描いた、ガンダムシリーズとしては珍しい作品。
- 新機動戦記ガンダムW BATTLEFIELD OF PACIFIST - 脚本:千葉克彦 漫画:ときた洸一
- 政治団体「パーフェクト・ピース・ピープル(P3)」との戦いを描いた漫画。
- オリジナルモビルスーツ「スコーピオ」と「ビルゴ3」のデザインは石垣純哉。
- 五飛が敵になるまでとガンダムの破棄を描いており、ストーリー上はEndless Waltzに直結する。
- ガンダムWのコミカライズ版(漫画:ときた洸一)はシナリオの初期稿を元に描かれているため、この作品やEndless Waltzと直結していなかったが、2003年の廉価版で加筆修正された。
パラレルストーリー
- 新機動戦記ガンダムW外伝 ~右手に鎌を左手に君を~ - 著:皆川ゆか(現:皆河有伽)
- デュオ・マックスウェルを主役とした小説。
- 本編と時系列の整合性が取られていないため、パラレルワールドとして扱われている。
本編のキャラクターが登場しない外伝
- 新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT
- 本編と同時期である別の場所を描いたプラモデル企画及び漫画。歴史から消されたもう一つのガンダム『G-UNIT』の物語。
- モビルスーツデザインは阿久津潤一。漫画はときた洸一版とみずきたつ版(未完)がある。
- BATTLEFIELD OF PACIFISTと共に本編のMSV(モビルスーツバリエーション)も兼ねており、リーオー・ヴァイエイト・メリクリウス等の改修機が登場する。
- 新機動戦記ガンダムW パーフェクトアルバム - 絵:おとといきたろう
- いわゆる子供向けのムックだが、コミックボンボン誌上でデスサイズヘルとアルトロンの改造予想時に掲載されたものと本ムックで新たに描かれた各ガンダムのバリエーションのイラストが掲載されている。
- 新機動戦記ガンダムW エンドレスワルツ 最強プレイングブック
- いわゆる子供向けのプラモデル販促用ムックだが、特筆すべき点が二つある。
- Chapter 2 では石垣純哉デザインのオリジナルモビルスーツ「ウイングガンダム Endless Waltz バージョン」の作例が掲載されている。時系列は本編中の扱い。
- Chapter 3 では「新機動戦記ガンダムW ティエルの衝動」という漫画・模型からなる作品が掲載されている。これはアナザーでは貴重な“女性主人公のガンダム作品”であった。
- 時系列はTV版の1ヶ月後で、『G-UNIT』や『EW』ともリンクしている。主人公の少女・ティエルちゃんが「行方不明の兄を捜すけなげな妹」という萌えキャラのため、マイナーではあるがガノタからコアな人気を獲得している。ただやはりプラモデル改造を楽しむための作品なので、モビルスーツのデザインはプラモデルを改造して作れる簡単なもの。
- SATANAS 創世の闇 - 漫画:椎隆子
- 本編の101年前であるAC.94を描いた漫画。
- 残念ながら当時の「ガンダムエース」の読者には受け入れられず打ち切られている。
関連動画
関連静画
外部リンク
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