テーオーロイヤル(T O Royal) とは、2018年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2022年:ダイヤモンドステークス(GIII)
2024年:天皇賞(春)(GⅠ)、阪神大賞典(GII)、ダイヤモンドステークス(GIII)
テーオーロイヤル T O Royal |
|
---|---|
生年月日 | 2018年3月6日(6歳) |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牡・鹿毛 |
生産国 | 日本 |
生産者 | 三嶋牧場 (北海道浦河町) |
馬主 | 小笹公也 |
調教師 | 岡田稲男(栗東) |
主戦騎手 | 菱田裕二 |
馬名意味 | 冠名+王に相応しい |
初出走 | 2020年12月9日 |
抹消日 | 現役 |
戦績 | 18戦8勝[8-1-2-7] |
獲得賞金 | 5億1826万6000円 (2024年4月現在) |
競走馬テンプレート |
父リオンディーズ、母メイショウオウヒ、母父マンハッタンカフェという血統。
父はかのキングカメハメハとシーザリオを両親に持つ良血の朝日杯馬。残念ながら朝日杯以降の勝ちには恵まれないまま現役を引退したものの、その血統の良さと新馬戦から直行でGIを制したポテンシャルを買われてか、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションにて種牡馬入りを果たした。テーオーロイヤルはその記念すべき初年度産駒にあたる。
母は地方ダートで3勝を挙げた馬。この馬の1つ上には、*パイロとの間に半兄・メイショウハリオをもうけている。
母父は種牡馬としても2009年のリーディングサイアーに輝いた名馬。上記のメイショウハリオを除いても、ダービー馬タスティエーラなどが同馬を母父に持っているなど、近年BMSとして注目度が上がって来ている血統。
2018年3月6日、戦前から浦河町で続く超老舗の三嶋牧場で誕生。どうやらこの馬の配合は取締役の三嶋健一郎氏自ら考えたものであったらしく、「父マンハッタンカフェの牝馬にキングカメハメハ系を配合するのはうちではよくやります」「長距離馬を意識した配合で私の好みでもあります」とインタビューで自信気に答えている。
オーナーの小笹公也氏は馬主業としてテーオーケインズ[1]などの「テーオー」冠名でよく知られているだろうか。セリでこの馬で落札された記録や価格のデータなどがないので、恐らく生産元からの庭先取引によって同オーナーへと譲渡されたのだと思われる。
半兄のメイショウハリオも管理する栗東・岡田稲男厩舎に入厩。入厩当初は後の主戦騎手の菱田が「騎乗していて、怖さすら感じる体の状態でした」と語るほど、後肢の弱さから調教では下り坂でバランスを崩すほどの馬であった。[3]12月19日の新馬戦(阪神・芝1600m)で幸英明騎手を鞍上にデビュー。大外枠から直線足を伸ばしたものの3着止まり。2戦目もマイル戦を使うが9着と惨敗。
というわけで鞍上を岡田厩舎所属の中堅ジョッキー・菱田裕二騎手に変更するとともに、距離を伸ばしてみた(阪神・芝2000m)ところ4着に健闘。もう少し伸ばした4戦目(阪神・芝2400m)でようやく勝ち上がる。
どうやら岡田師やオーナーとしてもこのコンビと長い距離でのレースに手ごたえを感じたようで、これ以降のテーオーロイヤルの主戦には菱田騎手が据えられ、長距離を主としたレース選択をしていくことに。
次走にはなんとダービーへのトライアルレース・GII青葉賞を選択。
とはいえやっとのことで未勝利戦を勝ちあがった馬が、ぶっつけ重賞で支持されるわけもなく単勝人気は15番人気に留まる。レースはゲートの出がいまひとつで後方からの競馬になったが、大外をぶん回すロスをしながらもコーナーから進出を開始し、直線猛烈な追い込みを見せる。結局、日本ダービーの優先出走圏内となる3着までは1/2馬身届かなかったが、優勝馬と1馬身差の4着。今後への手ごたえを感じさせる走りであった。
夏を休養にあてて秋は10月3日の1勝クラス(中京・芝2200m)から始動しここを快勝。この年の菊花賞は2勝クラスの馬が抽選対象になり1/5の確率で出走の可能性もあったが、残念ながら除外となった。代わりに中2週で出走した兵庫特別(2勝クラス、阪神芝2400m)はスタートを決めるとそのまま逃げ切って1着。さらに1か月後の尼崎ステークス(3勝クラス、阪神芝2400m)では先行して、最終直線で逃げ馬を捉えて、後続に2と1/2馬身差つけるという会心のレースでオープン入り。時計も荒れた馬場ながらレコードからコンマ8秒遅れただけと優秀であり、「菊花賞で見たかった」との声が上がることとなった。
結局クラシックの激闘とは無縁のまま、3歳を終えることになったテーオーロイヤル。しかしここからは翌年春に行われる長距離古馬の大舞台・天皇賞(春)を大目標に見据えて動き出すことになる。
古馬となった2022年の始動戦に選ばれたのはGIIIダイヤモンドステークス。
何気に2400mを超えるレースは初挑戦であるが、母父マンハッタンカフェや父の半兄エピファネイアからしてスタミナは問題なさそうということで1番人気と差のない2番人気に推される。パドックでは気負わないように口元に付ける網目状の馬具「リップネット」を着用。レースはというとスタートから中団前目につけて、最終直線でゴーストやメロディーレーン、ヴェローチェオロらが直線で沈む、あるいは伸びきれない中1頭突き抜けて快勝。4連勝での初重賞制覇となった。
次走はついに去年末から目標と定めてきたGI天皇賞(春)。
前年の同レース2着馬にして阪神大賞典を快勝してきたディープボンドと、前年の菊花賞を制し一時春白紙から日経賞を制したタイトルホルダーの2強対決と目される中、本馬はその対抗1番手と目された。とはいえ斤量がダイヤモンドSから4kgも増えることや相手が一気に強くなることなどの不安要素もあり、最終的なオッズは前述2頭に加えステイヤーズステークス・阪神大賞典を連続2着と実績をあげてきたアイアンバローズに次ぐ4番人気(9.9倍)となる。
レース本番、シルヴァーソニックの落馬で騒然とする中、本馬は離れた位置にいたこともあって影響なく番手につける。タイトルホルダーとそれにピッタリ追従するカラ馬・シルヴァーソニックがマイペースで飛ばす中、本馬はディープボンドに先んじて第3コーナーからタイトルホルダーを捕まえに動く。第4コーナーでは1馬身差まで詰めた…が、そこからが詰まらない。余力を残していたタイトルホルダーが無情にも最終直線でその差を開いていく。スタミナ切れでヨレながら最終的にはディープボンドにも差し切られて3着。調教助手からは「この馬のすごいのは心肺機能。追い切りでも、レースでも、上がりで全然ハーハー言わない。息が乱れない。」と言われたほどスタミナ自慢の本馬だが、鞍上からは「初めてレースが終わって疲れている所を見せた。」と言われるほどの消耗戦であった。[4]
ファンからは「後続には3と1/2馬身差をつけていたし、王者に真っ向から向かっていったその姿はとても勇ましかった」という声もあがったものの、いずれにせよ悔しい敗戦で春の盾を逃す結果に終わった。
この後は宝塚記念には出走せず休養。秋はGIジャパンカップを目標にGIIオールカマーから始動した。距離が短いとみられたか、初の中山競馬場ということもあってか、4番人気。レースでは春とは違って中団中ほどからの競馬になり、最終直線で足を伸ばしたが初の中山ということもあってか、人気に応えられたとはやや言いにくい5着に終わった。
続いて叩き台として選んだGIIアルゼンチン共和国杯は1番人気に推され春以来の先行策に戻すも、他馬との接触もあり十分な上がりを出せず6着。
本番のジャパンカップでは8番人気。前走より前目に競馬するが、最終直線で馬群に飲まれていき14着。鞍上の菱田は「思っていた通りに運べたが4角でいつもほどの手応えがなかった。」と首を傾げた。
予定通りのローテーションをこなせはしたものの、春ほど目立った結果を残すことは出来ず……。流石の陣営もこの短期間での3連戦は厳しかったと見て、年内のレースはここで終了。
しかし時すでに遅し。この秋で無理をしたツケが直後、テーオーロイヤルにのしかかってくるのである。
天皇賞(春)へのリベンジを目標としていた5歳頭、なんと放牧先で大きな音に驚きトモで踏ん張った際に骨折。右後脚管骨骨折と診断された。[5]早くても同年6月以降の復帰になるだろうという見立てで、要するに肝心の天皇賞(春)にはどうあがいても出走できなくなったのである。
ボルトを入れるなど行った治療も想定以上に長引いた結果、復帰は遅れに遅れて11月のアルゼンチン共和国杯までずれ込む。加えてタイミングの悪いことに主戦の菱田裕二騎手までこの時戦線から離脱中という弱り目に祟り目の状態。[6]
代理として浜中俊騎手を迎えるが、58.5kgという2番目に重いハンデを背負うことになってしまったこともあり、特に何の見せ場もなく10着で復帰戦を終えた。
その後、GIIステイヤーズステークスへ出走するも、アイアンバローズの大逃げは上がり最速の末脚をもってしても捕まえることは2馬身半差叶わず。とは言え、ここで2着を取ったことで、収得賞金の加算に成功。レース後に右肩の筋肉にダメージがあったため有馬記念への登録は見送った。[7]
口惜しい長期離脱を挟んだ一年であったものの、年末の奮闘で今後のレース選択に多少ながらの余裕が生まれることとなった。
年明けてついに6歳。当初陣営はエミールトロフィー(カタールGⅠ・国際GⅢ・芝2400m)を選択肢にあげていたものの、最終的には以前勝利したことのあるダイヤモンドステークスを次走に定める。折りしも怪我の治療から相棒・菱田裕二騎手も復帰しており、久々のコンビ復活で挑むことになった。
2年前の覇者という点や前走での復調傾向を良しと見てオッズが集まるものの、最終的にはトップハンデの58.5kgをネックとされてか2番人気(3.1倍)に留まり、1番人気は5歳牝馬のサリエラに渡す結果となった。レース本番では、出のいいスタートを決めるものの即座に控える形に切り替えて、10頭立て中5番目の中段に構える。3400の長丁場で徐々に仕掛ける馬も出る中、最終4コーナーまで進出を堪えてから発進。先に抜き出していたサリエラに追いつく形で外から並びかけて叩き合いに持ち込んでいく菱田騎手とテーオーロイヤル。最終的にはサリエラ以下を競り落として見事1着でゴールイン。隔年での勝利は98、00年優勝のユーセイトップラン以来。丸2年ぶりの勝利には立ち直しに苦心した陣営も応援していたファンも沸き立つ結果となった。
続くレースに選んだのもちろん天皇賞…ではなく、なんと翌月のGII阪神大賞典。
近年の日本競馬におけるレース間隔を空けるローテ傾向に真っ向から逆らうローテ。しかも3000m超の長距離戦を3連続である。[8]
事実、阪神大賞典は例年のように天皇賞(春)への最有力レースとして人気を集めてこそいるものの、「長距離レースの連戦(昨年末から加えると3連戦)は大丈夫なのだろうか」「本番に向けて仕上げ具合はどれほどになるのか」と微妙に不安がる声が囁かれていた。更に降り始めた雨とそれによる芝の稍重化も不安材料として受け取られたようで、一時は1番人気に支持されるものの、レース直前ギリギリで1番人気を5歳牡馬のブローザホーン(3.3倍)に明け渡して、またしても2番人気(3.4倍)。
迎えたレース本番、4枠6番から飛び出したテーオーロイヤルは早々に3番手をキープして先行策の構えに持ち込む。長距離特有のスローペースでレースが続いて最終直線に向くと、粘っていたジャンカズマを軽々抜き去って先頭に躍り出る。そのまま外から追撃を仕掛けようとする他馬を意にも介さずにゴールイン。
阪神大賞典が3月開催となった87年以降、同年のダイヤモンドSからの連勝は史上初。
そして終わってみると、上がり最速かつ後続に5馬身つけるという今までのテーオーロイヤルのレースでも一番の快勝を叩きつけた。
この鮮やかな勝利は鞍上の菱田騎手からしても中々ビックリだったようで、「めっちゃ強い!」「重い馬場の経験があまりなかったのでどうかと思っていたが払拭してくれた」「直線では後ろをどのくらい離していたのか分かりませんでした」とコメントを残している。
これで堂々と因縁深い天皇賞(春)の本命格として向かう事になったテーオーロイヤル。鞍上はもちろん菱田裕二。相手どころには前年のダービー馬タスティエーラ、良血サリエラ、3年連続2着のディープボンドなどが集った。ここまで2番人気からの勝利が連続していたこの馬であったが、連勝や長距離実績がようやく評価され、昨年の菊花賞馬ドゥレッツァと分け合う形でついに単勝2.8倍の1番人気タイに支持された。
7枠14番からスタートを決め6~7番手の外目を先行。前はマテンロウレオが逃げ、ディープボンドが2番手ドゥレッツァも先行策を取っており、テーオーロイヤルはドゥレッツァをがっちりマークする絶好位につける。その後、鞍上の菱田はマーク相手のドゥレッツァの伸び脚が良くないと見るや、抜け出しを図るディープボンドに狙いを変えて迎えた最終直線。入り口の時点でディープボンドを捉えて。そのまま一気に突き抜けて後続を寄せ付けない。最後は後方一気のブローザホーンを跳ねのけて2馬身差でゴールイン。重賞3連勝でついに念願の天皇賞の盾。GⅠタイトル戴冠となった。
ディープボンド早め先頭!
しかしそこを、早めにねじ伏せにテーオーロイヤル!!!テーオーロイヤル一気に抜けるッッ
ブローザホーン2番手!ディープボンド、スマートファントムも!!
過去三走で3000m以上のレースを走っての天皇賞(春)制覇は、1991年のかのメジロマックイーン以来実に33年ぶり。[9]年明けから3000m以上の重賞三連勝での天皇賞(春)制覇は史上初。ミスプロ系が京都の天皇賞(春)を制したのも史上初。[10]まさに数ある名馬たちの中でも生粋のステイヤーとして天皇賞の長い歴史に名を刻んだ。
デビューから13年目の菱田裕二は念願のGⅠ初勝利。2004年、横山典弘の駆るイングランディーレの天皇賞(春)勝利を見て騎手を志したサッカー少年が、奇しくも20年越しにその競走で念願の初タイトルを手にしたのだ。レース後には「20年前、天皇賞を見に来ていたあの時の自分に『見ておいてくれ』という気持ちで追っていた」と語るなど感極まった様子で、妻子や岡田師と熱く抱き合うような一幕も見受けられた。
管理調教師であり菱田の師匠でもある岡田稲男師や父リオンディーズもこれがJRAGⅠ初勝利。一時は低迷や故障に苦しんだこの馬だったが、それをチーム一丸で立て直して掴んだ春の盾となった。
雌伏の時を経て、名実ともに日本長距離界の帝王へと君臨したテーオーロイヤル。6月のロイヤルアスコット競馬場のゴールドカップ(英GⅠ・芝約4000m)に登録していたが、左前剥離骨折が判明し手術と休養に回す予定。幸いにも歩様に影響がない程度の軽度であり、所有する小笹公也オーナーによると、11月頭にフレミントン競馬場で行われるメルボルンカップ(オーストラリアGⅠ・芝3200m)が秋のプランの大目標として挙げられているようだ。
テーオーロイヤル主戦騎手の菱田裕二が騎手となったきっかけの天皇賞(春)の勝者イングランディーレだが脚質や戦法は違えどテーオーロイヤルとも縁がある。
リオンディーズ 2013 黒鹿毛 |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr.Prospector |
Miesque | |||
*マンファス | *ラストタイクーン | ||
Pilot Bird | |||
シーザリオ 2002 青毛 |
スペシャルウィーク 1995 黒鹿毛 |
*サンデーサイレンス | |
キャンペンガール | |||
*キロフプリミエール 1990 鹿毛 |
Sadler's Wells | ||
Querida | |||
メイショウオウヒ 2008 黒鹿毛 FNo.A4 |
マンハッタンカフェ 1998 青鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*サトルチェンジ | Law Society | ||
Santa Luciana | |||
*アルペンローズ 1999 黒鹿毛 |
Kris S. | Roberto | |
Sharp Queen | |||
Amizette | Forty Niner | ||
Courtly Dee |
クロス: *サンデーサイレンス 4×3(18.75%)、 Mr.Prospector4×5(9.38%)、Hail to Reason 5×5(6.25%)
母系を遡ると曾祖母Amizetteはトワイニング(米GII2勝、ノンコノユメの父)の全妹に辺り、4代母Courtly DeeからはGreen DesertやArch、Bertolini、ヤマニンパラダイス、ワンアンドオンリー、ノーリーズン等様々な活躍馬が生まれている名牝系の生まれである。
掲示板
112 ななしのよっしん
2024/05/04(土) 13:50:09 ID: mnTy0tuaSG
軽度なもので良かった
競争能力にもろに影響するじん帯や腱じゃないし、3ヶ月なら全然問題無いな
113 ななしのよっしん
2024/05/04(土) 14:00:52 ID: OXt6R52151
まあ最初からガッツリ休息取る予定だった上に軽度のものっぽいし、陣営もコメント出してるから安心しては見れる
問題はメルボルンカップというかオーストラリアの検疫周りがちょっとこれで際どくならないか(直近の骨折歴とかあると弾かれる可能性が高まる)ってところかな
114 ななしのよっしん
2024/05/04(土) 14:29:47 ID: EcEEQHzTgb
今までタフなレースこなしてきたから少し早い夏休みに入って療養してほしいな
急上昇ワード改
最終更新:2024/05/12(日) 23:00
最終更新:2024/05/12(日) 23:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。