7.62x51mm弾とは、弾薬の寸法、規格の一つである。
.308ウィンチェスターとも呼ばれ、北大西洋条約機構ではこの寸法を使用した弾を「7.62mmNATO弾」として制式化している。
概要
主に西側において軍・警察用、民間用に用いられている小銃用大口径強装薬弾である。800m/s以上の初速で発射される7.62mmの小銃弾は高い殺傷能力と貫通力を持ち、軍用では主に狙撃銃や汎用機関銃用の弾薬として使用されている。
その有効射程は狙撃銃で700~800m、三脚や車載として固定した機関銃であれば1km以上離れた目標へ制圧射撃を行うことも可能であり、殺傷能力自体は2km以上持続する。狩猟用としては大型の鹿、小~中型の熊がメインであり、愛好者も多く、大型ライフルであれば必ずこの弾薬対応モデルがラインアップされている。
歴史
1940年代~50年代にかけ、アメリカ軍がそれまで採用していたM1ガーランドと、その弾薬である「.30-06スプリングフィールド」を改良し、アサルトライフルとして運用する計画により開発された。.30-06は薬莢長で63mmと、主力小銃用弾としては過剰な装薬容量を持ち、大柄なために自動装填機構を持つ銃とは若干相性が悪く、当時の最新兵器であったアサルトライフルには不適切と考えられていたのである。
そこで、30-06とほぼ同径で、約15mm薬莢の短かい.300Savageと呼ばれる弾薬を、軍の要求する銃口初速を出せるだけの装薬容量を確保する為に約3mm延長する形で開発され、この弾薬と、M1ガーランドの改良により生まれたM14はアメリカ軍の制式装備となった。そして、装備・補給の画一化を目指したNATOのコンペ(実質アメリカの独壇場)により制式主力小銃弾に選ばれ、G3・FAL・64式7.62mm小銃などが誕生した。
なお、このコンペではベルギー、ドイツ、イギリス等、アサルトライフルというかStG44をよく理解していた勢力が大口径中装薬弾や小口径高速弾等を提案しているが、大口径主義を崩さないアメリカがことごとく却下してのごり押し採用である。
結果として、7.62mmの弾丸に50mm以上の長さの薬莢を組み合わせた弾薬は極めて反動が大きく、とくに古典的ライフル形状であったM14をアサルトライフルとして扱うには無理がありすぎる事をようやくアメリカ軍の上層部さんも理解し、早々にして、一度自らが否定した小口径高速弾、5.56x45mm弾薬を使用するM16に自分から乗り換えていく事になったのである、しかも言いだしっぺなのに一抜けで。
のち70年代には再度制式主力小銃弾の選定が行われ、結局5.56mm弾をベルギーのFN社が調整したSS109が採用され、主力の座を引くこととなった。とはいえ自動装填機構に最適化されたサイズと威力、精度には優れており、現在でも狙撃銃や機関銃用の弾薬として使用されている。
7.62×51mm弾を使用する銃器
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関連項目
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