NLAWとは、英国BAEシステムズとスウェーデン・サーブ社が共同開発、スウェーデンで製造される対戦車ミサイルである。ちなみに名前のNLAWとはNew-generation Light Anti-tank Weapon (次世代軽対戦車兵器)の頭文字をとったものである。
概要
歩兵が担いで打つタイプの対戦車ミサイル。重量12キロぐらい、お値段一発37000米ドルとのことなので日本円にして460万円ぐらい。発射機は使い捨て、弾を補充して再利用はできない。
最大の特徴はその誘導方法で、なんと慣性誘導を採用していることである。使用者は相手の戦車/装甲車両にミサイル発射機の照準器を向けて5秒(サーブ公式)2~3秒(ウィキペ様など)じっと照準器に目標をとらえ続ける。するとミサイルは照準した目標の未来位置を計算、発射ボタンを押すとその方向に飛んでいくというとんでもない誘導方法をとっているのである。
これは、日本の軽MATこと01式対戦車誘導弾やアメリカのジャベリンのようにエンジンの熱に誘導されていく赤外線追尾方式だとフレアーとかの対抗手段があるが、こいつだとそもそも誘導に外的要素(熱に引かれるとか電波でラジコン操縦とか)が存在しないため狙われたら最後対抗手段が皆無という恐ろしいミサイルである。
弾頭はごく普通のHEAT弾なのだが、このNLAWは対戦車用のOTAモードと非装甲/対建造物用のDAモードを切り替えることができる。普通のミサイルなら飛行方向、すなわちに向けてHEATのメタルジェット、火薬による槍と思いねえ、が突き出されるのであるが、OTA(Over-fly Top Attack)モードではこいつ、なんと装甲の薄い砲塔の真上から真下へHEAT弾をぶちかましメタルジェットをたたきつけるというえげつない攻撃をする。なお戦車以外では全く効果ないため、普通に着弾と同時に爆発するDAモードがある。
発射方式はソフトローンチ式。弱出力の火薬で打ち出して数メートル飛んでからミサイル本体の推進薬に点火する方式である。発射の際は後方に塩水の入ったカウンターマスを打ち出し発射の衝撃を相殺。結果として屋内からの発射も可能という優れモノである。
開発元のスウェーデンと英国、フィンランドなどで採用。そのネタの宝庫みたいな機構から珍兵器呼ばわりされてきたが2022年のロシアによるウクライナ侵攻ではイギリスから2000発ものNLAWがウクライナに供与され、ウクライナの破壊した装甲車両の3割がNLAWによるものとされる大戦果を挙げている。
関連動画
開発元サーブ社による販促動画、もとい紹介ビデオ。上記の通り屋内発射のデモも行っている。
関連リンク
関連項目
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