遠田潤子

遠田潤子（とおだ じゅんこ）とは、日本の小説家。

概要

1966年大阪府生まれ。関西大学文学部卒。30代後半になってパソコンを購入してキーボード入力の練習をしているうちに作家を志し、2009年、『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー（小田雅久仁『増大派に告ぐ』と同時受賞）。

2011年の第2作『アンチェルの蝶』が第15回大藪春彦賞候補になるなどしていたが、デビューからしばらくはそれほど注目度は高くなかった。転機になったのは2016年。2014年刊の第4作『雪の鉄樹』が文庫化されると、「本の雑誌」増刊『おすすめ文庫王国2017』で第1位に選ばれてヒットし注目を集める。以降も「本の雑誌」のランキングでは『冬雷』（2017年上半期）と『オブリヴィオン』（2017年度ノンジャンル部門）で1位を獲得。

2020年、『銀花の蔵』で第163回直木賞候補。

作風はとにかく重い。壊れた家族、血縁、過去の罪などにがんじがらめにされた、どうしようもなく過酷で絶望的な境遇・環境の中で、不器用な登場人物がもがき苦しむ姿を書かせたら天下一品。特に『アンチェルの蝶』や『雪の鉄樹』のように子供が絡む話になると本当に重く苦しいが、ただ苦しいだけでなく、そのどうしようもない状況に徹底的に向き合うからこそ結末の一筋の救済が胸にずしりと響く、そんな作家である。アニメ方面で例えると『輪るピングドラム』（というか幾原邦彦作品）が好きな人にオススメ。

受賞・候補歴

日本ファンタジーノベル大賞

• ★『月桃夜』…第21回受賞。

大藪春彦賞

• 『アンチェルの蝶』…第15回候補。
• 『ドライブインまほろば』…第22回候補。

日本推理作家協会賞

• 『冬雷』…第71回長編および連作短編集部門候補。

未来屋小説大賞

• ★『冬雷』…第1回受賞。

直木賞

• 『銀花の蔵』…第163回候補。

作品リスト

1. 月桃夜 （2009年、新潮社→2015年、新潮文庫nex→2022年、新潮文庫）
2. アンチェルの蝶 （2011年、光文社→2013年、光文社文庫）
3. 鳴いて血を吐く （2012年、角川書店）
   →　カラヴィンカ （2017年、角川文庫[改題]）
4. 雪の鉄樹 （2014年、光文社→2016年、光文社文庫）
5. お葬式 （2015年、角川春樹事務所）
   →　あの日のあなた （2017年、ハルキ文庫[改題]）
6. 蓮の数式 （2016年、中央公論新社→2018年、中公文庫）
7. 冬雷 （2017年、東京創元社→2020年、創元推理文庫）
8. オブリヴィオン （2017年、光文社→2020年、光文社文庫）
9. ドライブインまほろば （2018年、祥伝社→2022年、双葉文庫）
10. 廃墟の白墨 （2019年、光文社→2022年、光文社文庫）
11. 銀花の蔵 （2020年、新潮社→2022年、新潮文庫）
12. 雨の中の涙のように （2020年、光文社→2023年、光文社文庫）
13. 紅蓮の雪 （2021年、集英社→2024年、集英社文庫）
14. 緑陰深きところ （2021年、小学館）
15. 人でなしの櫻 （2022年、講談社）
16. イオカステの揺籃 （2022年、中央公論新社）
17. 邂逅の滝 （2023年、光文社）

関連リンク

• @junn_tohda - 本人のTwitter
• 蘇鉄館 遠田潤子ブログ - 公式ブログ
• 作家の読書道 第185回：遠田潤子さん - WEB本の雑誌

関連項目

• 小説家の一覧
• ミステリー
• 日本ファンタジーノベル大賞