次の御用日とは上方落語の演目である。単純明快な噺と、噺家の声芸(後半の奇声の連発)が見ものであり、根強い人気を誇る。一方、円熟期になると演じなくなる噺家も多く、理由は簡単で若いうちでないと喉が保たないからである。
概要
丁稚の常吉(定吉の場合もある)は、名の知れた商家「堅気屋」に奉公する丁稚。彼は主人から、娘のお糸が今から縫い物の稽古に行くので、お供をするように頼まれる。というのも道中には長堀川の川岸という人通りの少ない寂しい通りがあり、そこは昼間でも追い剥ぎが出るという噂があったからである。二人は恐る恐る通りを歩いていると目の前に大男が。実はこの大男は天王寺屋藤吉という顔見知りで、天水桶を被って姿を晦ます二人の仕草を見て、お糸と常吉が怖がっていることを知り、それならなおさら怖がらせてやろうと、彼らがちょうど目の前を通ったときに真上から「ェア゛ャ゜ッ」というなんとも奇っ怪な奇声を浴びせた。ただでさえ怖がっている彼女はすっかり卒倒してしまい、常吉は大慌てで出戻り、旦那に伝えた。大事だと彼は慌てて医者を呼び、なんとか一命は取り留めたものの健忘症に罹ってしまい、すべての習い事や読み書き算盤全てを忘れてしまった。愛娘をこんな有様にしてしまったことで旦那はすっかり激怒し、奉行に直訴し、御白州(裁判)が開かれることになった。
御白州が開かれるが、奉行が訴状を見ると「頭の上でアッと申した」と書かれているので何のことか皆目わからない。そこで丁稚の常吉が証人として発言することになるが、なにせ彼は子供だからどうにも脈絡のない会話ばっかり続ける。漸く話の筋が見えた後、奉行は藤吉を名指しで糾弾するが、藤吉も必死に容疑を否定して食い下がる(その間、二人の奇声の応酬が始まり、このやりとりが一番のハイライトである)。そんなこんなしているうちに、奉行の声が嗄れてしまい…
「皆の者、次の御用日を待て」
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関連項目
- 落語
- 裁判
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