部門間シフト単語

ブモンカンシフト
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部門間シフトsectoral shift)とは、経済学の用語の1つである。

概要

定義

「産業Aで労働需要が減って産業Bで労働需要が増える」といった産業間での労働需要構造の変化や、「地域Cで労働需要が減って地域Dで労働需要が増える」といった地域間での労働需要構造の変化を部門間シフトという。

解説

経済は変化するものであり、計や企業が需要する財・サービスも変化する。それにより労働需要を増やす産業・地域と労働需要を減らす産業・地域が発生し、部門間シフトが発生する。

パソコンが発明されると、タイプライター産業は労働需要を減らし、電子部品産業は労働需要を増やす。

米国以外の産のすべてが際的石油カルテルを結成して一斉に原油を減産し、原油価格が上がったとする。そのとき、石油を消費する自動車を作る自動車産業が集積する米国ミシガン州は労働需要を減らし、石油を地下からみ上げる石油産業が集積する米国テキサス州は労働需要を増やす。

産業というものは一定の地域に集積しやすい。このため産業間の部門間シフトが起こると、地域間の部門間シフトに発展しやすい。

産業間の部門間シフトで構造的失業や摩擦的失業が増える

産業間の部門間シフトが発生すると構造的失業摩擦的失業が増える。

タイプライター製造企業があり、最低賃金法や労働協約効率賃金仮説に基づく自主規制によって労働者へ支払う名賃金最低額Aを決めていた。そんな中でパソコンが発明され、タイプライター製造企業が収益を減らし、それに応じて労働需要を減らした。そうなると「タイプライター産業の労働市場」で決定される市場均衡名賃金Bが低下し、労働者へ支払う名賃金最低額Aよりもずっと小さい数字になった。簡単に言うと「労働者を時給1,000円以上で雇わねばならないのに、労働者の価値が時給50円にまで落ちた」というような状況になった。その結果として、タイプライター製造企業労働者解雇を決定した。これは労働者にとって構造的失業となる。

タイプライター製造企業の生産部門に勤めていて解雇されたXさんとYさんがいるとする。その2人は解雇されてから3ヶほど情報を探していたがすぐに好みの情報が見つからず、摩擦的失業の状態だった。

解雇されて3ヶ後にXさんが電子部品産業の生産部門の情報を知って応募した。Xさんは、タイプライター製造企業の生産部門で必要とされる技Cを豊富に持っていたが、電子部品製造企業の生産部門で必要とされる技Dをほとんど持っておらず、電子部品製造企業の生産部門にとってあまり必要とされない人物だった。「電子部品産業の生産部門の低技労働市場」で決定されるXさんの市場均衡名賃金Eが非常に低く、電子部品製造企業最低賃金法や労働協約効率賃金仮説に基づく自主規制によって遵守している名賃金最低額Fよりも低い金額だった。簡単に言うと「労働者を時給1,000円以上で雇わねばならないのに、時給700円程度の価値を持つ人が応募してきた」というような状況になった。このため不採用となった。これはXさんにとって構造的失業となる。

いっぽう、解雇されて3ヶ後にYさんが電子部品産業の生産部門の情報を知って応募した。Yさんは、電子部品製造企業の生産部門で必要とされる技Dを豊富に持っており、電子部品製造企業の生産部門にとって大いに必要とされる人物だった。「電子部品産業の生産部門の高技労働市場」で決定されるYさんの市場均衡名賃金Gが非常に高く、電子部品製造企業最低賃金法や労働協約効率賃金仮説に基づく自主規制によって遵守している名賃金最低額Fを上回るほどの金額だった。簡単に言うと「労働者を時給1,000円以上で雇わねばならないが、時給2,000円程度の価値を持つ人が応募してきた」というような状況になった。このため採用となった。つまりYさんは構造的失業を体験せずに済んだ。

地域間の部門間シフトで摩擦的失業がさらに増える

産業間の部門間シフトは地域間の部門間シフトに発展しやすい。

地域間の部門間シフトになると、摩擦的失業がさらに増えやすい。

米国以外の産のすべてが際的石油カルテルを結成して一斉に原油を減産して原油価格が上がり、石油を消費する自動車を作る自動車産業が集積する米国ミシガン州は労働需要を減らし、石油を地下からみ上げる石油産業が集積する米国テキサス州は労働需要を増やしたとする。

ミシガン州自動車産業の企業から解雇された人が職業安定所に行き、テキサス州の石油産業の企業人をしていることを知ったとする。しかし、ミシガン州の住人にとってテキサス州は遠く、テキサス州についての情報を豊富に持っておらず、テキサス州での暮らしが快適かどうかについて確信を持ちにくい。このためテキサス州の石油産業の人に応募する決意を固めにくく、摩擦的失業が続きやすい。

産業間の部門間シフトを円滑に進めるための政策

産業間の部門間シフトを円滑に進めるための政策としてリスキリングが挙げられる。リスキリングは、職業訓練所を設置して労働者や失業者に対して技を教える政策である。

リスキリングを行えば労働者の技が増えて労働者構造的失業になりにくくなる。

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