油とは、油脂のことである。
とくに常温[1]で液体のもののことを指す。オイルとも呼ばれる。
植物性、動物性、鉱物性、食用から機械や照明のの燃料・潤滑まで幅広い。
類するもの
常温で固体のものは脂肪と呼ばれる。(項目参照)
贅肉やステーキの脂身などが良い例であり、熱を加えるなど溶かして使う場合もある。
液体ではなく、半固形状の粘度の高いものはグリス(グリースとも)と呼ばれ吸着性が高く低速で動き荷重がかかる部分に適している[2]。
概要
水と分離し、水より比重が軽い。
※稀に勘違いされるが、重油も水より軽い。
- 多くの場合、可燃性である。
- 揮発性や粘度、最大貯蔵量といった様々な区分もある。
- 料理・調味料などの食用から、燃料、照明、美容、工業、工芸まで多種多様。
- 油には油脂同様、植物性、動物性、鉱物性に分かれる。
- 人間関係のコミュニケーションなど、比喩的に潤滑油に例えられる場合もある。
水と油
- 基本的に水と油では混ざり合わない。
- 油の表面が虹色に見える場合もある。2つは屈折率が異なり油膜の表裏で反射・干渉・回析するため。
- 比喩的に犬猿の仲、仲の悪い人間や組織グループ同士の関係などに用いられる場合もある。
- 油は水に浮いてしまうため、油火災において水による消火は有効ではない。
食用
- フライパンなど、材料の付着や焦げ付き防止にも。
- 古米であってもサラダ油をかけるとしっとりし艶が出るため飲食業などでも広く用いられる。
- 事後的にかけるなど、調味料としても用いられる。
- 単純に脂っこい・高カロリーといったイメージも持たれやすい。
- 食材の一覧 の項目も参照。
貯蔵・運搬・容器
- 調理用のミニサイズボトル。
- 灯油携行用のポリタンク。(10~20リットル未満)
- 街角のガソリンスタンドや、灯油の巡回販売。
- 巨大なタンクなどの貯蔵施設。
- 最大3万リットル(30トン以下)の容量をもつタンクローリー。
- 200リットルのドラム缶に入れて運搬・保管されるもの。
- 軍用車両・航空機など特殊なものもある。
※油脂の種類によって防火措置や貯蔵可能な指定数量が決められている。
※2019年以降、テロや無差別犯罪に利用されないよう携行缶等への販売は制限されている。
欠点・トラブル
日常的に便利であるが、特性ゆえの欠点も多い。用途別に種類を変える必要もある。
- 手や衣服に付くと色や汚れ、ニオイが取りづらいことも。
- 燃料として使用する場合、燃費の問題や大気汚染といった問題がある。
- 酸化しやすい油は開封後・調理後時間が経つと不利である。
- 料理など時間が経つと油が白く固形化してしまい、見た目が悪くなる場合もある。
可燃性
延焼することで財産や建物ごと燃えてしまうなど、油脂類を取り扱う上で特に恐れられるもの。
- 火花や静電気などで発火し火災になる危険性もある。
- 油火災の基本として、水では消火どころか派手に延焼してしまったり天ぷら鍋が過熱して火災になるといった火災予防知識を親や学校から教えられる場合も多い。(→消火)
- 戦場・戦闘においては、被弾によって火災・誘爆・無力化の原因にもなりうる。
- 灯油ストーブにガソリンを注いでしまう火災事例も起こっている。
例としてガソリンなどは「危険物」という扱いでもあり、身近で「なんかすごく燃えやすい油」と甘く見ていると大爆発、全身火だるまの大火傷を負うなど盛大な自爆になることもある。
危険物取扱者の資格など、ガソリンや灯油といった油脂類の特性から消火方法まで学ぶことができるので興味がある方はオススメである。(級位によって扱えるものは異なる)
その他のトラブル
- 軽自動車だからと軽油を入れるなど用途と異なる油を入れてしまうと故障したり前述のような火災になる場合もある。
- 油にも使用期限があるため、乗り物や発電機の燃料など使わずに入れっぱなしだと半年~1年程度で劣化し腐ってしまい、そのまま起動すればエンジンごとやられることも。
- 石油タンカーなどの船舶事故によって、周辺海域の環境に壊滅的なダメージを与えることがある。
- 潤滑油・エンジンオイルなどは切れると動作不良・異常過熱・焼き付きを起こす。
- 潤滑剤として使用できるものでも、ブレーキ部分など注油すると効果を大きく損ねてしまい逆効果。
- 油の漏れている・こぼれた場所は摩擦が減って単純に滑りやすくなることもある。
- オイル添加剤もあるが、なんか良さそうだからと適当に使ってしまうとトラブルの元になる。
- 油漏れによって周囲を汚損してしまう場合もある。
変わったものでは燃料の重さ自体が余計な重量となって燃費を悪化させる原因となるため、必ずしも満タンが良いとは限らない。航空機などは重量にシビアなため燃料搭載量を減らすくらいである。(離陸後に空中給油を行う場合もある)
比喩ではあるが、うっかり大事故を防ぐために「油断大敵」も大切である。何/誰が相手であっても(問題なく見えても)疑い・確認・準備・下調べ(検索)も忘れずに。
要素として
石油を例に取れば、原油、油田、海上油田、石油王(大富豪・億万長者)など、それを取り巻く採掘場所やビジネス、利権や紛争、大富豪などフィクションから現実の社会経済まで含めるとかなり幅広くなる。ちなみに日本国内にも小規模で少ないが油田はある。
表現・フィクションなど
様々な特性から演出・雰囲気づくり、物語においては攻撃・防御・凶器・トラップ、火攻めや証拠隠滅などに使われることもある。
- 古い建物に油汚れなど、新品・新築にはない良さや使い込まれた良さがある。
- 撮影・小道具としての描写や、プラモデルの汚れ塗装の一つとして雰囲気づくりに再現されることも。
- 油脂を散布して着火し敵の接近を防いだり一掃する。
- ガソリンなど可燃性蒸気を充満させ引火・誘爆のリスクで敵に銃火器の使用を制限する場合もある。
- 火炎放射器など燃料や燃焼剤を着火しつつ対象に放射するものもあり、敵の立てこもる閉所を酸欠にする場合もある。
- 単純に油脂を入れたドラム缶や携行容器自体も雰囲気づくりのオブジェクトとして用いられる。
比喩的ではあるが敵・味方や読者を「油断」させたりミスリードを狙うものも多い。
映画などの演出は誇張されており、ガソリン車などを銃器で蜂の巣にしても大爆発することはない。
(あんな派手に爆発炎上するものに乗りたくはない)
漢字として
- 意味
- 液体の油脂、油脂、満ち溢れた、てかてかした、つやつやした、湧き上がる、不誠実、という意味がある。また川の名前である(油水)。
- 〔説文解字・巻十一〕には川の名前として紹介されていて、「水なり。武陵孱陵を出でて、江に東南入す」とある。
- 字形
- 形声で声符は由。由は〔説文〕には解説されていない字。白川静は由が、もともと瓢箪の仲間で、中が油になっているものの象形で、油の初文だとしている。
- 音訓
- 音読みはユウ(漢音)、ユ(呉音)、訓読みは、あぶら、つや。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校3年で習う教育漢字である。JIS X 0213第一水準。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。
- 語彙
- 油圧・油雲・油画・油彩・油脂・油色・油井・油性・油然・油断・油断大敵・油膜・油油
関連静画
百科項目のある油
油脂・燃料 |
その他言葉 |
食用 |
関連項目
- 脂肪(※常温で固体のもの)
脚注
- *常温:15~25℃の範囲。
- *元々は液体であるが、増稠剤(ぞうちょうざい)が添付され半固形化させている場合が多い。
- *ガソリンなど、可燃性蒸気が空気より重く低所に滞留する場合、勝手に上空に逃げて拡散してくれないため危険。
- *JR福知山線脱線事故など、駐車場の車両から燃料が漏れており救助活動に支障が出ていた。
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