103型電気機関車(DB)とは、旧西ドイツ鉄道が製造、運行し、現在のドイツ鉄道等が保存している旅客用電気機関車である。
概要
1960年代、西ドイツではTEE(トランスヨーロッパエクスプレス)用の新型車両の開発に着手した。当時、航空機が勢力を拡大し、旅客の奪い合いで鉄道の強力なライバルとなりつつあった。当時の西ドイツ国鉄もこれはまずいと判断し、それまで運用されていたTEEの更なるサービス向上を考えていた。また、丁度その頃日本で新幹線が運行開始、大成功を収めた事からこれに刺激を受け、速達性の向上も課題となっていた。それまで西ドイツでTEEの運用に使用されていた車両(VT11.5型気動車)では、最高速度は160km/h止まり、それも中間車を減らしてやっと出せると言う状態であった。しかも車両自体が特殊構造だった為、他の運用に就かせるのにも問題があった。
そこで西ドイツ国鉄はTEEを客車列車で運行出来ないか検討した結果、主要路線はあらかた電化されていた為、電気機関車牽引の客車列車でも問題ないと判断した。そうして作られたのが「ラインゴルト」客車と、その専用機関車である103型電気機関車である。
1970年代前半から量産が開始され、145両が製造された。TEEを始め、その後はICの運用にも入り、運行速度も160km/hから200km/hとなり速達性も向上、西ドイツを代表する特急用電気機関車として活躍した。しかし、高速運用が主体だった為、1980年代後半には老朽化の問題が発生してしまった。
西ドイツ鉄道は老朽化を機に、103型電気機関車を新型車両、120型電気機関車(DB)に置き換える計画を立てたが、肝心の120型電気機関車が当初の目標となる性能を発揮できず、それどころかトラブル続きで運行に支障をきたした為、急遽103型電気機関車に延命工事を施し、継続使用することとなった。延命工事を受けた103型電気機関車は、運転台の気密化、ブレーキの改良も施され、120型電気機関車の本来の性能と比べても遜色の無いレベルまで改造された。その後、更なる後継機となる101型電気機関車(DB)が開発、量産開始された為、やっと引退するかと思われたが、ルフトハンザ航空が、「ルフトハンザ・エアポート・エクスプレス」の増発用車両を探していた為、これに抜擢され1990年代中ごろまで使用された。ここでやっと廃車・・・と思いきや今度は特急列車の後継の一つであったICEが大事故、通称「エシェデ事故」を起こし、事故原因の調査と安全対策の為に全て運行中止となった為、代走列車の牽引で再び特急運用に返り咲いた。その後も万博の臨時列車の運用や101型電気機関車の変圧器に不具合が見つかった為、機器交換の間の代役が必要になった事から暫くは運用に入り続け、最終的に定期運用から離脱したのは2003年の事であった。
初期は西ドイツ国鉄の花形スターとも言うべき運用に就き、末期は何度も代役に呼ばれる等波乱万丈とも言うべき生涯を送った車両だが、その活躍は名機と呼ばれるにふさわしいものであった。現在は完全に定期運用から引退しており、ドイツ鉄道に所属する動態保存機や試験車両等として残っている車両が、たまに本線を走行している。また、静態保存機も存在する。
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