Ethernet単語

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Ethernetとは、ネットワークの規格の1つである。

概要

Ethernetがつかさどるのは、OSIの7層モデルにおいては物理層とデータリンク層である。早い話が、物理的接続と電気信号、そして隣接ノード間の通信制御である。広域ネットワークのルーティングはEthernetの管轄外で、より上位層のプロトコル(TCP/IPなど)の管轄になる。

通信の単位

Ethernetの通信の単位は、フレームと呼ばれるものである。その構造は以下の通り。

プリアンブル	SFD	宛先MACアドレス	発信元MACアドレス	VLANタグ	EtherType もしくは サイズ	ペイロード	CRC	IPG
7オクテット	1オクテット	6オクテット	6オクテット	4オクテット(任意)	2オクテット	46から1500オクテット	4オクテット	12オクテット
フレームの開始前の部分	フレームの開始 10101011というビット列	宛先	発信元	VLANを使う場合のVLAN識別子	ペイロードのプロトコル	通信の中身 中身は上位層で定義	エラーチェック	フレーム間の空白

要するに、Ethernetのペイロードの上限が1500オクテットだということを覚えておけばいい。

仮にIPv4ベースでTCPで通信を行う場合に、断片化を起こさずに通信できる上限は、

• Ethernetのペイロードの上限は1500オクテット
• 拡張がない場合、IPv4ヘッダは20オクテットで、後ろには何もないので、Ethernetで転送する場合のIPv4パケットのペイロードは1480オクテットが上限
• 拡張がない場合、TCPヘッダは20オクテットで、後ろには何もないので、Ethernetで転送するIPv4上でのTCPセグメントのペイロードは1460オクテットが上限

となり、どんなに大きくても1460オクテットを超えるなら、必ず2以上のフレームに分けて送らなければならない、ということになる。

当然だが、直接Ethernetでつながっている同一セグメント間であればこの1460オクテットでよいが、中間に別のプロトコルを挟む場合は、さらに小さくなる。

通信の規格

Ethernetにおいては、規格は以下の5つのパートにより構成される

• 速度 - 単に数字がある場合はMbps単位、Gとある場合はGbps単位である
• 伝送方式
  • BASE - ベースバンド伝送
  • BROAD - ブロードバンド伝送
  • PASS - パスバンド伝送
• 物理媒体
  • T - ツイストペアケーブル
  • T1 - シングルペアツイストペアケーブル
  • S - 850nmの短波長のマルチモード光ファイバ
  • L - 1300nmの長波長の光ファイバ(ほとんどの場合はシングルモード)
  • E/Z - 1500nmの超長波長の光ファイバ(シングルモード)
  • B - 波長分割多重方式を用いた双方向光ファイバ(ほとんどの場合シングルモード)
  • P - 受動光ネットワーク
  • C - 2芯同軸ケーブル
  • K - 基盤上配線
  • 2 - 185m同軸ケーブル
  • 5 - 500m同軸ケーブル
  • 36 - 3600m同軸ケーブル
  • F - 光ファイバ(波長はバラバラ)
  • P - プラスチック光ファイバ
• 物理的なエンコーディング
  • X - 8b/10b(100Mbpsの場合は4B5B)方式を採用
  • R - 64b/66b
• 1・2・4・10
  • LAN用の物理層規格では、リンクごとの使用レーン数
  • WAN用の物理層規格では、km単位の到達距離

当然だが、すべての組み合わせがあるわけではない。例えば、物理媒体で「5」を使う規格は10BASE5しかない。また、伝送方式「BROAD」は10BROAD36以外存在しない。また、伝送方式「PASS」は10PASS-TSと10GPASS-XRの2つ以外で用いることはないので、ほとんどの場合、伝送方式は「BASE」が入る。

速度により、使える媒体は変わってくる。

• 10Mbps - 古典的な同軸ケーブル・ツイストペアケーブル・光ファイバー
• 100Mbps - ツイストペアケーブル・光ファイバー
• 1000Mbps(1Gbps) - ツイストペアケーブル・光ファイバー・2芯同軸ケーブル
• 2.5Gbps/5Gbps - ツイストペアケーブル・光ファイバー
• 10Gbps/25Gbps/40Gbps - ツイストペアケーブル・光ファイバー・2芯同軸ケーブル
• 50Gbps/100Gbps/200Gbps/400Gbps - 光ファイバー・2芯同軸ケーブル

一般的な家庭では、光ファイバーの取り扱いは難しいし、2芯同軸ケーブルもだいぶ特殊なケーブルであることから、ツイストペアケーブルを用いることが多い。その際、注意が必要なのが、どのツイストペアケーブルがどの規格まで対応可能か、という点である。

• Cat3 - 10BASE-Tは対応
• Cat5e - 2.5GBASE-Tまで対応
• Cat6/Cat6a - 10GBASE-Tまで対応
  • ただし、10GBASE-TでCat6ケーブルを使う場合、最大で55mに制限される(Cat6aなら最大長の100mまでサポート)
• Cat7 - 10GBASE-Tまで対応
  • 正直、このケーブルを使う理由はほとんどない。というのも、Cat7のケーブルはSTPといって、被覆があるケーブルを用いるため、接地する必要が出てくる。これが適切でないと、通信にノイズが乗って、通信品質が低下してしまう。そのくせして、10GBASE-Tまでしかサポートしないのだから、Cat6aで十分、というオチになってしまう
• Cat8 - 40GBASE-Tまで対応。ただし最大で30mまで
  • 当然、これもSTPなので、適切な接地を要する。なので、どうしても40Gbpsの通信が必要な場合を除きおすすめできないし、そもそも論として、ネットワークカードの入手からして困難である

なので、一般家庭で外向き回線が1Gbpsであれば、Cat6aのケーブルを購入しておけば、当面問題は起きないだろう。なお、当然だが、データセンターのようなものを構築している逸般人の場合はこの限りではない。その場合の注意事項は、「その規格がLAN向けなのかWAN向けなのかを正しく把握すること」であろう。

まあ、それも「シングルモードかマルチモードか」で判断できてしまうわけだが。

• シングルモードは、取り回しが難しく、高価である代わりに、伝送距離が長い
  • 例えば100GBASE-ZRであれば、80kmまで通信可能
• マルチモードは取り回しがやや簡単になり、価格も少し安くなる。一方、伝送距離はそこまで長くはとれない
  • といっても、100mあるのでオフィス内であれば十分カバー可能。拠点間通信では距離不足

CSMA/CD

今となっては半二重通信はほぼ使わなくなったのであまり関係はないが、簡単に言うと、衝突が起きてフレームが壊れたら、ランダムな時間待機して再送信するメカニズムである。

• CS - きちんとほかの信号が流れてないか確認してから信号を送る
• MA - 複数の通信を同一の経路上でさばく
• CD - 衝突を検知する

半二重通信は1Gbpsまでのサポートであり、それより上はすべて全二重通信であるため、当然CSMA/CDの出番もなくなる。

関連項目

• LAN
• IEEE 802.11(Wi-Fi)

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