A-5とは、かつてアメリカ海軍が運用していた艦上攻撃機および偵察機のことである。愛称はビジランティ(Vigilante:自警団員)
概要
A-5は、現在のF/A-18のような防空任務から攻撃任務、さらに偵察や電子戦などなんでもござれの多芸ぶりを発揮するのと違い当時の軍用機にありがちな核攻撃に特化した「一芸に秀でた」機体である。
核爆弾は2つの予備燃料タンクにくっつけた形で胴体内のリニアボムベイに搭載する。目標上空に達すると、テールコーンを飛ばして空となった燃料タンクごと後方に射出する。要するにケツから核爆弾を落としてトンズラするのである。
バリエーションとしてはA-5A、胴体内の燃料を増やし主翼下にハードポイントを設けたA-5Bと偵察型のRA-5Cがある。
1962年より実戦配備され、同年11月のキューバ危機ではフロリダに展開した。
ところが、1964年に早くも実戦部隊から外され1967年には核攻撃任務からも外されていらん子扱いとなってしまった。原因としてソ連側の防空網を突っ切り任務を果たすことが無理ゲーであることが明らかとなったことや潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の登場などが挙げられる。
一応機外にハードポイントはあるにはあるがそこに通常爆弾やミサイル等を搭載することは想定外の事であり、また高速性能重視のために軽量化されたが故に耐G性能が低い(初期型は3.5G、後に5G程度)ため他の任務を割り振ることは難しかった。
A-5は就役とほとんど同時に核攻撃機としては無用になったが、代わりに米海軍はビジランティに艦上偵察機の役割を与えた。RA-5CはB型に偵察機能を加えたもので、胴体下の張り出しに偵察装備を収納した。RA-5Cは1964年に就役している。[1]
ベトナム戦争では持ち前の高速性能を生かし北ベトナムへの偵察任務に活躍したが、機体の巨大さから運用上の不便があり、1979年にRA-5Cは全機退役となった。
関連項目
脚注
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