概要
航空機が誕生してから戦場に現れるまでそう時間はかからなかった。その中で最も最初に出現したのが偵察機としてであった。
それまで偵察活動は主に騎兵や徒歩ないし気球を用いた観測であった。しかし地上からは地平線の外側は見渡せないし遮蔽物に実際には丘や遮蔽物に隠れるのであまり遠くは見れないし見つかれば簡単に排除されてしまう、気球はそれほど動くことができないか動きが遅い。しかし航空機は空から迅速にしかも(戦闘機の出現までは)ほとんど邪魔されることなく敵の真上を飛んで見渡すことができるのである。
偵察機がはじめて出現した第一次世界大戦でその威力は瞬く間に明らかになった。これまで後方に隠され見えなかった司令部や物資集積所や兵士輸送用の駅に砲兵陣地などの重要地点、兵士や輸送馬車などの移動や位置そのものなどが明らかになったのである。攻勢をかけるには物資や兵士を集める必要があるのでこれだけわかれば相手のやりたいことが一瞬でわかってしまう。相手のやりたいことが事前にわかれば戦闘が優位に運ぶのはいうまでもない。
さらに同じく重要なのが砲兵の航空観測による高精度な間接照準射撃が行えることにある。砲兵は陸軍の中でも最も大きな射程と火力を有しているが、見えない敵を射撃することは難しい。したがって砲兵は地平線を越える距離を砲撃できるものの、前線の兵士たちが見える範囲の目標を攻撃することが精一杯で敵陣の奥深くには手を出せなかった。しかし、前述の偵察機の活躍により後方の予備部隊への直接攻撃や司令部や連絡線などへの攻撃で指揮系統に打撃を与えるような手法が可能になったのである。
こんなことをされてはたまらないので戦闘機が偵察機(や爆撃機)を追い払うことが重要になったし航空優勢の重要性が現在までも続いている。
同様の変化は海上でも発生した。広大な海上に浮かぶ点でしかない艦隊・艦船を発見することは非常に重要だが難しい任務であり、従来は巡洋艦による偵察などが主流であった。しかし航空機による偵察はそれらより速度や生存性などで圧倒的に勝っていたのである。さらに主砲の大口径化により伸びる一方であった戦艦の砲戦距離であったが、長距離砲撃戦ゆえに命中精度は下がりその向上は戦艦(ひいては海軍)にとって至上命題といっても過言ではなかった。そこに航空機によって敵の真上から着弾観測ができればどうなるかは火を見るより明らかであった。ゆえに戦艦になどに艦載偵察機が搭載され、それを追い払うための戦闘機が必要になる。そしてついに航空母艦の出現に至るのである。
現代では当時のような目を使った偵察だけではなくレーダーなど電子的手法を用いた電子偵察機がも生まれている。現代では無線通信やレーダーなどは必要不可欠となっているが、それらを傍受し偵察行動を行うものである。たとえ無線通信の内容が解析できずとも無線の発信源を特定することで敵の場所を推測したり、頻度を図ることで敵の動きが現在活発かどうかを推測することができる。また敵の目であるレーダーの場所を察知することは後々の航空作戦にとって非常に重要になる。
また無人偵察機も実用化されており、危険な任務を兵士が後方から安全に行うことができるようになっている。
関連動画
↑初期の軍用機は専門の戦闘機・偵察機としてではなくいくつかの任務でまったく同型の機体を共用することが多かった
↑海軍における航空機の活用と航空母艦の登場の歴史について解説された動画
↑より奥深くへの進入である戦略偵察に耐えうる高速・高高度性能を追求した専門の戦略偵察機が登場した
関連項目
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