核爆弾(かくばくだん、nuclear bomb)とは、核分裂や核融合の連鎖反応を利用した爆弾であり、核弾頭(核兵器)の一種。
概要
原子爆弾や水素爆弾(3F爆弾)、中性子爆弾等がこのカテゴリに含まれる。
特に、航空機に搭載する投下型の爆弾(自由落下爆弾)のことを指す。
出現当初は命中精度の悪さを威力の大きさでカバーする戦術兵器として大量に生産されたが、現在は戦術核はほとんど姿を消している。
核爆弾の例
- Mk-1「Little Boy(リトルボーイ)」
重量4.4tのガンバレル方式原爆。1945年8月6日に広島に投下された。
ウラン235を使用。ウラン235は非常に貴重なため、試験を行わずにそのまま実戦に使用された。リトルボーイでは50kgのウラン235が使用されたが、そのうちの1kgしか核分裂反応を起こさなかった。それでもTNT換算で15ktの出力を発生させた。[1] - Mk-2「Thin Man(細身の男)」
ウランではなくプルトニウムを使用したガンバレル型原子爆弾。プルトニウムが過早爆発を起こしてしまうため、開発には成功しなかった。[2] - Mk-3「Fat Man(でぶ)」
プルトニウム239を使用したインプロージョン型原爆。重量は4670kgもあるが、そのうちプルトニウムのコアは6.2kg。1945年に長崎で使用された。出力はTNT換算で22ktだったといわれる。[3] - B57
重量500ポンド(227kg)、威力は5~20キロトン。空中/地表爆発の他、水中爆発も可能なので対潜爆弾としても使用できる。F-4、F-16やP-3にも搭載可能だった。退役済。 - B61
今日、米軍が唯一貯蔵している投下核爆弾。重量は320kgで、兵装システムが対応していれば、F-16やF-15などの一般的な戦闘機でも運搬、投下が行える。NATOのF-16やトーネードも、必要になれば米軍からB61を受け取って運用(=ロシア本土への報復爆撃)することが可能。2013年夏時点で、ヨーロッパには200発ほど配備されている。現在米軍はこのB61を「JDAM(GPS誘導爆弾)」化する計画を進めている。従来は、いくら精密に照準しても狙った地点から150mは逸れてしまうところを、誤差は30mまで縮めることができるので、例えば地下施設をピンポイントで爆撃するというミッションがあった場合は、今までよりも核出力を抑制して使用でき、結果的に二次放射能の被害も抑制できるということになる。(B61は出力可変式)[4] - ブルーピーコック
東西冷戦期にイギリスが開発していた地下埋没式の核爆弾。「電子部品の保温のために、生きているにわとりを内蔵する」、「使用すると同盟国(西ドイツ)の国土を吹き飛ばす」、といった斬新な特徴を持つ。配備は中止された。 - スーツケース核爆弾
アメリカ陸軍は1950年代に、共産軍の機甲部隊が西欧や韓国になだれ込んできた際に侵攻路となるトンネルなどを即時に破壊できるように、SADM(野戦携帯用特殊核爆弾)という核爆弾を300個ほど作り、西ドイツ、イタリア、韓国に配備したことがある。つまり、工兵隊の装備である。総重量26.6キログラムで、TNT10トン~1キロトンの威力可変式。キャリングハンドルやダイヤルなどが付いた、ゴツゴツしたスーツケースとも言えなくもない外見だったという。[5]
関連動画
関連項目
脚注
- *「ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>」多田 将
- *「ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>」多田 将
- *「ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>」多田 将
- *「兵頭二十八の防衛白書2015」兵頭二十八 草思社 2015
- *「『新しい戦争』を日本はどう生き抜くか」兵頭二十八 2001 筑摩書房 p.69
- 6
- 0pt