部隊とは、作戦実行の基本単位のことである。ここでは、軍隊のそれに絞って話を進める。
概要
軍隊においては、命令に従って動く、という仕組みが絶対不可欠である。というか、そもそも陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約の条約付属書第1条には以下のように書かれている。
戦闘の法規及権利義務は独り之を軍に適用するのみならず左記の条件を具備する所の民兵及義勇兵団にも亦之を適用す
この段階では、正規軍は無条件で適用、それ以外に関しては上記条件を満たした場合に限り適用というルールであった(このルールができたのは1899年である点に注意せよ。当然大日本帝国も署名している)。
その後、1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書I)第43条1項においては、以下のような規定になっている(当該条約は1977年に作成され、1978年に発効している。日本国は2004年に加入しており、2005年には発効している)。
紛争当事者の軍隊は、部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊から成る(当該紛争当事者を代表する政府又は当局が敵対する紛争当事者によって承認されているか否かを問わない。)。このような軍隊は、内部規律に関する制度、特に武力紛争の際に適用される国際法の諸規則を遵守させる内部規律に関する制度に従う。
また、第44条3項においては、以下のような規定となっている。
戦闘員は、文民たる住民を敵対行為の影響から保護することを促進するため、攻撃又は攻撃の準備のための軍事行動を行っている間、自己と文民たる住民とを区別する義務を負う。もっとも、武装した戦闘員は、武力紛争において敵対行為の性質のため自己と文民たる住民とを区別することができない状況があると認められるので、当該状況において次に規定する間武器を公然と携行することを条件として、戦闘員としての地位を保持する。
この3に定める条件に合致する行為は、第37条1(c)に規定する背信行為とは認められない。
ここまでの2つを簡単に言えば、戦闘行為が可能となる戦闘員たる資格の条件は、
の3点である。つまり、明確に組織化されている必要がある、ということだ。この組織こそが部隊である。
部隊の単位一覧
さすがにいきなり数万人規模の軍隊が1人の司令官の命令で動くなんていうのは非現実的であるし、まともに動くわけがない。このため、部隊は階層的に構成されることになる。
アメリカ陸軍の場合
- 班(Team) - 4人程度から構成される。1名の下士官と3名の兵から構成される
- 分隊(Squad) - 2の班から構成される。規模は4人から10人。司令官は軍曹や曹長
- 小隊(Platoon) - 2ないし3の分隊から構成される。おおむね規模は36人。司令官は少尉ないしは中尉であり、副司令官として下士官を任命する
- 中隊(Company) - 3から4の小隊から構成される。おおむね規模は数十人から200人程度。大尉が司令官となる
- 大隊(Battalion) - 4から6の中隊から構成される。規模はおおむね1000人程度。中佐が司令官となる
- 旅団(Brigade) - 2から3の大隊から構成され、規模は3000人から5000人程度。歴史的には、この規模は連隊(Regiment)がこの役割を果たしていたが、特殊部隊では旅団がこれを担っていたこともあり、2016年には統合されている
- 師団(Division) - 3から4の旅団から構成され、規模は1万人から1万5000人程度。司令官は少将
- 軍団(Corps) - 2から5の師団から構成され、規模は2万人から4万5000人程度。司令官は中将
- 軍(Field Army) - 4以上の軍団から構成され、規模は9万人程度。司令官は大将
- 軍集団(Army Group) - 4から5の軍から構成され、規模は40万人程度。司令官は大将
- Army Region - 定訳が不明。とりあえず規模としては3以上の軍から構成され、100万人から300万人程度。平時に組織されることはなく、おおむね第二次世界大戦レベルの大戦争時にのみ組まれる
アメリカ海軍の場合
通常、艦船が最小の単位になるが、当然大きな船ではその中でさらに細分化される。また、海軍管轄の艦載機はそれ1つが単位になる。
- 艦船(Vessel) - 単一の船
- 戦隊(Squardron) - 複数の船
- 任務部隊(Task Force) - 任務のために戦隊を束ねたもの。海兵隊が加わることもある
- 番号艦隊(Numbered Fleet) - 番号のついた艦隊。現在は2から7と10が存在する。横須賀基地を本拠とするのは第7艦隊
- 指令単位(Component Command) - 司令部1つごとの単位。例えば太平洋艦隊はこれであり、第3艦隊(南米西岸地域を除く東太平洋を管轄)と第7艦隊(西太平洋と中東地域を除くインド洋)を配下に持つ
- 統合軍(Combatant Command) - 陸海空の複数の軍種をまたぐ統合された軍隊
アメリカ空軍の場合
- 分隊(Section) - 2人以上から構成され、基礎的な訓練の単位となる
- 小隊(Flight) - 複数の分隊やそれに属さない個人が所属する
- 飛行隊(Squardron) - 2以上の小隊を持ち、司令部を持つ最小単位。司令官には少佐か中佐がなる
- 運用群(Group) - 2以上の飛行隊を持つ。司令官は大佐
- 飛行団(Wing) - 2以上の運用群を持つ。司令官は大佐もしくは准将
- 序数航空軍(Numbered Air Force) - 複数の飛行隊・運用群・飛行団を束ねる。司令官は少将もしくは中将
- 主要軍団(Major Command) - 作戦単位もしくは地域単位で区分される単位。大将が司令官を務め、空軍の総司令部に直接報告を行う
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関連項目
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