Comin' Thro' the Ryeとは、スコットランドの民謡。
作詞はロバート・バーンズ、曲はスコットランドの古い曲である。
概要
スコットランドの有名な歌で、古くから伝えられてきた猥歌をもとに、スコットランドの詩人ロバート・バーンズが歌詞を(比較的)大人しく整えたもの。1782年に発表された。
旋律は「Common' Frae The Town」と呼ばれるスコットランドのミンストレルソングで使用されていたものである。日本では唱歌「故郷の空」の旋律として知られている。
歌詞
ロバート・バーンズによる「Comin' Thro' the Rye」の詞は以下のようなものであったという(Wikipedia英語版「Comin' Thro' the Rye」の記事の2022年9月18日閲覧時点の版より引用)。ただしバージョン違いが多いとされ、バーンズが実際にこの通りに記していたか否かは不明。
O, Jenny's a' weet, poor body,
Jenny's seldom dry:
She draigl't a' her petticoatie,
Comin thro' the rye!Chorus:
Comin thro' the rye, poor body,
Comin thro' the rye,
She draigl't a' her petticoatie,
Comin thro' the rye!Gin a body meet a body
Comin thro' the rye,
Gin a body kiss a body,
Need a body cry?(chorus)
Gin a body meet a body
Comin thro' the glen
Gin a body kiss a body,
Need the warl' ken?(chorus)
Gin a body meet a body
Comin thro' the grain;
Gin a body kiss a body,
The thing's a body's ain.(chorus)
仮の和訳
仮に和訳するとこんな感じか。訳の参考には上記の英語版Wikipediaでの古い単語の解説と、藤井宏行氏による訳例[1]を参考にした。
バーンズの時代の単語の意味は現在の単語の意味と微妙にずれている異なる可能性もあるし、色んな意味に訳せる言葉もある(例えば「poor」は「哀れな」かもしれないし「貧しい」かもしれないし「痩せた」かもしれないのだ)。よって正確性は保証しない。
あぁ、ジェニーはずぶ濡れ哀れな娘。
ジェニーはめったに乾いちゃいない。
彼女はペチコート引きずって、
ライ麦畑を通ってくる!コーラス:
ライ麦畑を通ってくる、哀れな娘、
ライ麦畑を通ってくる、
彼女はペチコートを引きずって、
ライ麦畑を通ってくる!
もしライ麦畑を通って
誰かと誰かが会ったって、
もし誰かが誰かにキスをしたって、
騒ぐ必要なんてあるのかい?(コーラス)
もし峡谷を通って
誰かと誰かが会ったって、
もし誰かが誰かにキスをしたって、
世間が知らなきゃいけないことかい?(コーラス)
もし穀物畑を通って
誰かと誰かが会ったって、
もし誰かが誰かにキスをしたって、
そんなのそいつの問題さ。(コーラス)
より卑猥なバリエーション
民間で歌われるうちに、バーンズのつけた歌詞から発展したバリエーションも多くなったという。その中にはより露骨に卑猥なものもある。
例えばコーラスが「staun o' staunin' graith」となっているものがあり、これは「勃ってる、おぉアレが勃ってるぞ」といった意味であるそう。
他にも「Gin a body kiss a body」(もし誰かが誰かにキスをしたって)が「Gin a body fuck a body」(もし誰かが誰かと犯ったって)になっていたり、「The thing's a body's ain.」(そんなのそいつの問題さ)の「thing」(そんなの)が「cunt」(おまんこ)とされていたり。
ライ麦畑でつかまえて
J・D・サリンジャーによる有名な小説『ライ麦畑でつかまえて』(または『キャッチャー・イン・ザ・ライ』など)は原題を『The Catcher in the Rye』と言い、この歌の歌詞の一部を誤ったものに由来している(本来は「a body meet a body」(出会ったら)なのだが、「a body catch a body」(つかまえたら)と変化している)。
この小説の主人公はこの誤った歌詞に影響されて「ライ麦畑を走り回る子どもたちが崖から落ちそうになる時、捕まえて助けてやる係になりたい」と考えるのであった。
日本への影響
この曲の旋律を用いた日本の曲として唱歌「故郷の空」(当該記事を参照)が有名だが、それ以外にも、様々な日本語版歌詞が存在している。
大木惇夫/伊藤武雄による訳詞の「麦畑」は「誰かと誰かが麦畑(むぎばた)で こっそりキッスしたいいじゃないの」から始まり、「故郷の空」と違って割と「Comin' Thro' the Rye」に近いものになっている。
また「ザ・ドリフターズ」の1970年の楽曲「誰かさんと誰かさん」は「なかにし礼」による訳詞であるが、「誰かさんと誰かさんが麦畑(むぎばたけ) チュッチュチュッチュしているいいじゃないか」から始まる。上記の大木惇夫/伊藤武雄の「麦畑」に非常によく似ているため、それを元にアレンジしたものか。
この「誰かさんと誰かさん」は有名グループ「ザ・ドリフターズ」の楽曲であること、また有名なアニメ『ルパン三世』のテレビ版第2シリーズの第4話「ネッシーの唄が聞こえる」(1977年放映)内で登場人物が歌っていることなどから、日本語版の中でも比較的知名度が高い。
関連動画
Comin' Thro' the Rye
『誰かさんと誰かさん』バージョンの歌詞
インストゥルメンタル
関連項目
脚注
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