謝らない謝罪とは、表面上謝ってはいるものの、ほとんど反省や謝意が感じられない謝罪のことである。英語圏では「non-apology apology」と呼ばれる。日本語版Wikipediaでは「謝罪風の謝罪」で単独記事が存在する(リンク)。
概要
「ごめんなさい」「お詫び申し上げます」などと述べつつも、誰に対して、何をしでかして、その結果どんな事を引き起こして、今後どう対処(償い・再発防止)するのか等が不明瞭な謝罪のこと。または自身を謝罪に追い込んだ人間(批判者)を暗に非難するかのような謝罪のことである。具体例は後述する。
現在、政治・ビジネス・芸能等、ありとあらゆる場面で謝らない謝罪は見かけられる。その多くはマスメディアで取り沙汰されたから / ネット上で炎上したから謝罪するといった場当たり的な対応、あるいは「謝ったら負け」という考えによるものである。形式上の謝罪を済ませたとしても、真に反省し問題を引き起こした要因を根本的に改善しない限り、問題はまた再発するだろう。
具体例
誤解
一見謝っているように見えるが、自身の言動への反省するというよりは、むしろその言動を批判した側を暗に非難している。「私はちゃんと伝えたのに、あなたたちが勝手に間違った解釈をしただけ」「言い方は悪かったけど、考え自体は間違ってない」といった開き直りである。
それならば、謝罪ではなく正しい解釈や自身の考えを伝えるのが筋であるが、多くの謝罪者はそれをせず、炎上の鎮火を待ったり発言の撤回したりするだけに留まる。
感情論
相手に○○な思いをさせてしまい、申し訳ありません。
文章で一般化するのは難しいものの、こちらもありふれた謝罪。しかしあくまで相手がそう思ったことへの謝罪であり、自身の言動での謝罪ではないというのを見落としてはならない。自身の言動がどのようなもので、何がいけなかったのかをセットで述べなければ、それは相手(批判者)がナイーブ・怒りっぽいとほのめかしているのと何ら変わらない。
また謝罪する対象を「世間の皆様」「多くの方々」など不特定多数に広げることで、問題点をはぐらかすこともできる
世間の皆様に○○な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。
多くの人に謝るのは自由だが、まずは自身の言動によって直接傷ついた人に対して謝るのが筋であろう。不倫での謝罪なら自身・相手方の配偶者や子供、差別発言での謝罪なら差別された人・集団など。
仮定法
もし私の言動で○○したようなら、謝罪する。
政治家の謝罪でよく見かける表現。英語圏では「Ifpology」と呼ばれる。「誤解」同様、自身の言動の是非について言及せず、責任を批判者へとシフトする言葉である。「私の言動が実際に悪かったかどうかはさておき、あなたが傷ついたようだからだから謝るわ」といった具合に。このような謝罪からは後悔や反省の意を汲み取ることは難しく、むしろ相手を逆なでにするだけである。
間違いが起きた
日本ではあまり見かけない表現だが、英語圏では「Mistakes were made.」の定型文でしばし使われる表現なので、こちらにも記載する。
「mistakes(間違い)」と内容を抽象的にすることで、どういった問題を引き起こしたのかを曖昧にする効果がある。また主語を特定の人物・組織にするのではなく「mistakes(間違い)」にすることで、責任の所在が誰にあるのかを濁す効果もある。
英語圏でよく使われる表現とあって、英語版Wikipediaが詳しい(リンク)。
関連項目
外部リンク
- 4
- 0pt