セルフ・ハンディキャッピングとは、試験など何かの本番前に予め「全然勉強できてない」「体調が悪い」などと言い訳をしておくアレのことである。
少し真面目な言い方をすると、「自らの失敗理由を外的要因に求め、自らの成功理由を内的要因に求めるための工作」を指す心理学用語である。
[セルフ・ハンディキャッピング Self-handicapping]
ある行為によって自己のイメージが脅かされる結果が生じることが予期される場合、結果が出る時点で自分に有利な帰属がなされるように、あらかじめハンディキャップを自分に与えるような行動をとったり、ハンディキャップがあることを主張しておく行為。
このセルフ・ハンディキャッピング行動は、大きく2つに分類することができる。
特に自身の勝利や成功に確信がない場合、こうした行動や主張をあらかじめとっておくことによって
という効果を期待するものである。つまりセルフ・ハンディキャッピングは、自らの評価や自尊心を守るために人間がとる「自己防衛」といえる。
理論上、セルフ・ハンディキャッピングは成功率や状況を悪化させることはあっても、良化させることはなく、生産的価値は無い。それは結局、失敗や不調の原因が自己の能力ではなく、外部から与えられた要因にあると思い込ませる「逃げ道作り」に過ぎないからである。
これを度々繰り返すと、物事に全力で取り組むことができなくなってしまい、"何かを達成する(ために頑張る)"という本来の目的を途中で見失ったり、失敗を過剰に恐れたり恥と思うような悪癖がつく恐れがある。
ただし、だからといって一概にセルフ・ハンディキャッピングをした人間を責めることは難しい。人間は他の動物と比較しても特に社会的であり、自身と他者とが入り乱れる集団社会において、自己のみなされ方(世間体)を完全に無視して生き続けることは困難だし、自尊心を失った状態で生活することもできない。
多かれ少なかれ評価や優劣を意識する人間にとって、「格好悪くあがいて少しでも成功に近づこうとする」ことよりも「手を尽くしてプライドを守る」ことがより重要だと判断した状況では、セルフ・ハンディキャッピングは誰の身にも起き得ることと思うべきだろう。
実際には精一杯努力したにもかかわらず、努力した事を周囲に言わない、または「努力不足だと自戒する」行動はハンデを獲得も主張もしていないため、セルフ・ハンディキャッピングとは異なる。(cf.謙遜)
また、例えば引越しや大掃除の際、つい作業を中断して部屋に散らかってる本を読んでしまう等は、一部共通する部分はあるものの、世間体や自尊心を守る行動ではないため、セルフ・ハンディキャッピングではないことに注意。(cf.現実逃避)
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最終更新:2024/04/17(水) 10:00
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