成功のありか
怠惰からは
何も生まれないし
執着がすぎると
しくじってしまう。与えられた仕事に
ただベストを尽くし
他人の声に惑わされず
ひたすら全力で挑め。その繰り返しの先に
成功はあるだろう。
ブゼンキャンドル(Buzen Candle)とは、1996年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
中山大障害を目指して生まれたので障害も走った大波乱の秋華賞馬。クロックワークではない。
父*モガミ、母ブゼンスワン、母父アスワンというなんか昭和感のある血統。
父はメジロラモーヌやシリウスシンボリ、レガシーワールドを輩出した名種牡馬だが、見栄えと気性が悪い産駒が多いことでも知られた。障害競走に強い種牡馬としても知られ、シンボリクリエンスやシンボリモントルーなどを輩出している。
母は主にダートの短距離を走って11戦2勝。ブゼンキャンドルは第7仔。
母父は1982年のNHK杯で後のダービー馬バンブーアトラスを下したが、故障でダービーに出られず引退した未完の大器。種牡馬としてはメジロアルダンなどを輩出した。
3代母ムーテイイチは障害重賞2勝を挙げ、1972年の優駿賞最優秀障害馬に選出された馬である。
1996年4月24日、白老町の上田牧場で誕生。上田牧場は1954年の二冠馬ダイナナホウシユウなどを所有した上田清次郎が創業した牧場で、「ブゼン」や「ホウシュウ」の冠名を用いるオーナーブリーダーであった。1988年のオークス馬コスモドリームなどを輩出したが、この頃には経営難で規模を大きく縮小、生産馬の中央での勝利からも遠ざかっていた。
そんな中で牧場はムーテイイチの血統から「中山大障害を勝つ馬」を出すことを目指して、残っていた数少ない繁殖牝馬のブゼンスワンに、障害競走に強いモガミを配合。生まれたのがブゼンキャンドルであった。
しかしブゼンキャンドルは馬体の見栄えがよくなかったためか売れ残ってしまったため、そのまま牧場の所有として走ることになった。
※この記事では当時の表記に合わせ、馬齢を数え年(満年齢+1歳)で表記します。
上田清次郎の時代から繋がりの深い、栗東の上田三千夫厩舎に預けられたブゼンキャンドルは、1998年11月14日、京都・芝1200mの新馬戦でデビューし6着。3歳のうちは芝とダートを交互に試して4戦し3着、6着、3着ときて、明けて4歳初戦、年明けの京都・ダート1800mの未勝利戦を7馬身差で逃げ切り圧勝。上田牧場の所有馬としては実に10年ぶりの勝利を挙げる。
続くダート1400mの500万下も4馬身差で逃げ切り楽勝し、芝に戻って桜花賞を目指すことになったが、エルフィンS(OP)は7着。上田師の定年に伴い、コスモドリームを管理した松田博資厩舎に転厩、トライアルの報知杯4歳牝馬特別(GⅡ)に挑むも見せ場なく9着。ならばオークスへ、とスイートピーS(OP)に挑んだがここも9着に終わり、春の牝馬クラシックには無縁に終わる。
ダートに戻っての香港ジョッキークラブトロフィー(OP)も7着。ちなみにこのレース、8着にはメイショウドトウがいた。
夏場は自己条件の900万下に戻るが、阪神・芝2000mのやまゆりSは3着。小倉・ダート1700mの天草特別も3着。小倉・芝2000mの西部日刊スポーツ杯も2着と勝ちきれないレースが続く。
それでも秋華賞を目指してトライアルのローズS(GⅡ)に向かうと、51.9倍の8番人気という低評価を覆し、後方から上がり最速の末脚を繰り出して、1.4倍の断然人気トゥザヴィクトリー(4着)にハナ差先着する3着に突っ込み、見事秋華賞の優先出走権をゲットした。
ちなみに上田牧場の牧場長は優先出走権を取れるとは思っていなかったのか、ローズSが終わったら障害入りさせるつもりだったという。さすがにまだ障害練習はさせていなかったそうだが。
ともあれ、そんなわけで迎えた秋華賞(GⅠ)。上位人気3頭は同じローズS組のトゥザヴィクトリーと、ヒシアマゾンの妹ヒシピナクル(1着)、フサイチエアデール(2着)。一方、鞍上に初騎乗の安田康彦を迎えたブゼンキャンドルはというと……ここまで2勝はダート、トライアル3着で滑り込んできた芝未勝利の900万条件馬が高く評価されるはずもなく、57.6倍の12番人気であった。
レースは大方の予想通り逃げ馬のエイシンルーデンスが逃げ、1番人気の武豊トゥザヴィクトリーが2番手でそれを追う。ブゼンキャンドルはひっそりと後方に構え、さらにその後ろに横山典弘が騎乗する10番人気の青森産馬クロックワークがいた。
4コーナー、抜群の手応えで1番人気トゥザヴィクトリーが前を捉えにかかる。これはトゥザヴィクトリーが春の悔しさを晴らす貫禄勝ちか……と思いきや、実はこのレース、1000m通過が58秒4の超ハイペース。トゥザヴィクトリーは既にいっぱいでそこから伸びず前潰れの展開となり、それに乗じて後方から外を捲ってきたのがブゼンキャンドル、そしてさらにその後ろから突っ込んで来たのがクロックワーク!
直線向いた、トゥザヴィクトリー先頭! 豊追い出した! 豊が追い出す!
外からヒシピナクル! 外からヒシピナクル! フサイチエアデール! フサイチエアデール!
大~外からブゼンキャンドルが飛んでくるぞー!
ブゼンキャンドル飛んできた! 一緒にオークス馬ウメノファイバー!
さらにクロックワーク! 大外クロックワーク!
ブゼンキャンドルヒシピナクル! 外からクロックワーク~!
ブゼンキャンドルクロックワーク!
大波乱です!! 大波乱です!! 平成11年の秋華賞は大波乱です!
12番人気-10番人気の伏兵、900万条件馬同士のワンツーで、なんと馬連94,630円という大波乱。馬場鉄志アナの大波乱伝説の始まりである。GⅠでは歴代3位の高配当となり、現在もGⅠ歴代7位に残っている。安田康彦騎手はGⅠ初制覇。上田牧場はオーナーとして中央重賞・GⅠとも初制覇となった。
ところでこの秋華賞といえば、関西テレビの中継マイクに拾われたとある観客の絶叫が有名。
なんやおまえぇー!!!
1999年秋華賞というと「クロックワークやんけ!!!」のレース、と記憶している人も少なくないかと思うが、勝ったのはブゼンキャンドルである。そっちもちゃんと覚えておいてください。
さて、中山大障害を目指すはずが、栄えある平地GⅠ馬となったブゼンキャンドル。しかしこの秋華賞が一世一代の大駆けだったのか、続くエリザベス女王杯(GⅠ)は14着、阪神牝馬特別(GⅡ)は11着とともに見せ場なく惨敗。明けて5歳、やっぱりダート馬?とTCK女王盃(GⅢ)に向かうも10着、芝に戻って中山牝馬S(GⅢ)も10着と見せ場のないレースが続く。
この惨敗続きを受け、ブゼンキャンドルは当初の予定通り(?)障害競走に転向。中央の平地GⅠ馬が障害に転向するのは、グレード制導入後ではコガネタイフウ以来2頭目であり、その後もウインクリューガーとビッグウィークの例があるが、牝馬では現在もこれが唯一である。
障害では4戦して3着、2着、2着となかなか勝ちきれず、4戦目で初勝利を挙げる。しかし結局それ以上障害で走ることもなく再び平地に戻り、平地で4戦してやはり全て2桁着順。エリザベス女王杯(GⅠ)を11着に終わったところで現役引退となった。通算27戦4勝 [4-3-6-14]、うち障害4戦1勝 [1-2-1-0]。
故郷の上田牧場は2001年に廃業となってしまったため、引退後はノーザンファームで繁殖入り。ノーザンファームでは6頭の仔を産んだが目立った産駒はなく、2010年の繁殖牝馬セールに出され、栃木県の那須野牧場に900万円(税抜)で購入された。
那須野牧場では2011年にハーツクライの仔を産んだが、2012年5月8日、16歳で死亡。産駒のうち2頭の牝馬が繁殖入りし、2024年現在も牝系の血は細々とではあるが繋がっている。
*モガミ 1976 青鹿毛 |
Lyphard 1969 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Goofed | Court Martial | ||
Barra | |||
*ノーラック 1968 黒鹿毛 |
Lucky Debonair | Vertex | |
Fresh as Fresh | |||
No Teasing | Palestinian | ||
No Fiddling | |||
ブゼンスワン 1985 鹿毛 FNo.12-d |
アスワン 1979 鹿毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer |
Lady Victoria | |||
*リリーオブザナイル | Never Bend | ||
Nile Lily | |||
ブゼンノハナ 1977 鹿毛 |
*プロント | Prince Taj | |
La Caravelle | |||
ムーテイイチ | *ムーティエ | ||
ブゼンアサイチ |
クロス:Northern Dancer 3×4(18.75%)、Nasrullah=Malindi 5×5(6.25%)、Lady Angela 5×5(6.25%)
掲示板
1 ななしのよっしん
2024/08/29(木) 00:34:25 ID: YGy85Wl/1F
この血統でノーザンファームにいたのか…すげぇ意外
提供: 豚麻呂
提供: 黄身丸
提供: めるるーさ
提供: すずくろ
提供: KEN
急上昇ワード改
最終更新:2025/03/26(水) 03:00
最終更新:2025/03/26(水) 03:00
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